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第24週

[第24週の一週間]ニュースアプリは若手よりベテランがよく利用、Beaconのソリューションが続々登場

Weekly Report: Week 24 2015

2015.06.15

Updated by Naohisa Iwamoto on June 15, 2015, 16:17 pm JST

ニュースアプリの利用は若手ビジネスパーソンよりもベテランの方が積極的という調査結果が発表された。スマートフォンの利用ならば、なんでも若者が優位かというと、必ずしもそうではないことを示す面白い結果だ。またこの週は、Beaconに関連したソリューションの話題が続々と流れてきて、Beacon利用が試験から本格導入へと移行していることを感じさせた。

利用のトップは「Yahoo!ニュース」、スマホ利用は月額6000円以上

市場調査の興味深い結果から紹介していこう。MMD研究所は、「ビジネスパーソンのニュースアプリに関する利用実態調査」を実施し、結果を発表した。スマートフォンを所有するビジネスパーソンにニュースアプリの利用について尋ねたところ、ニュースアプリをダウンロードしているとの回答は62.7%に上った。年代別では20代が52.2%、30代が59.0%であるのに対して、40代は67.7%、50代になると73.7%とニュースアプリのダウンロード比率が高まる。ベテランのビジネスパーソンほどまとまってニュースを読める「ニュースアプリ」への関心が高いようだ。最もよく利用するニュースアプリは、「Yahoo!ニュース」(46.8%)、「SmartNews」(22.1%)の順だった(報道発表資料:ビジネスパーソンのニュースアプリダウンロード、世代別で比較すると50代が最も高い結果に)。

MM総研は、携帯電話端末契約数と、月額利用料金に関する調査結果を発表した。その中で注目したいのが料金関連の調査結果だ。2014年6月以降に当時の主要4キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ワイモバイル)が提供を開始したいわゆる「新料金プラン」の加入状況は、フィーチャーフォン利用者では加入率が11.3%、スマートフォン利用者では32.9%と、スマートフォン利用者の加入が多い結果となった。また、通話料、データ通信料、オプション料金を含む月額利用料金について分析したところ、フィーチャーフォンユーザーは2739円であるのに対して、スマートフォンは6342円と、2倍以上の利用料金を支払っていることが改めて浮き彫りになった(関連記事:新料金プランはスマホで3分の1が利用、スマホの月額利用料金は6000円超)。

Beaconで気象情報収集から日用品の購入まで

Beacon関連のトピックが多かったのもこの週の特徴だ。アプリックスIPホールディングス(以下、アプリックス)は、Beacon技術を使ったクラウドセンシングを実用化し、ウェザーニューズと共同で気象情報のクラウドセンシングに活用すると発表した。アプリックスの「センサー対応お知らせビーコン」を利用する。センサー対応お知らせビーコンを使うことにより、クラウドセンシングの参加者は対応アプリをダウンロードするだけで、クラウドセンシングを意識することなく自動的にセンサーの情報を収集しクラウドに送信できる(関連記事:竜巻や局所豪雨の予報にクラウドセンシング、ウェザーニューズがアプリックスのBeacon利用で

このほかにも、アプリックスはBeaconを使ったソリューションを続々と発表している。その1つが、Beacon技術を活用してスマートフォンと連携することにより、ボタンを押すだけで商品が注文できる「お届けビーコン」の提供。ミントタブレットのケースに近い大きさの製品で、利用者がお届けビーコンのボタンを押すだけで、スマートフォン経由でネットストアなどに商品を発注できるというもの。3万個の利用で、ハードウエアを単価500円で提供可能にした(報道発表資料:アプリックスIPホールディングス、ボタンを押すだけで商品が注文できる「お届けビーコン」を提供開始)。

またアプリックスは、家電製品への組み込み用に提供している「お知らせビーコン」のオプションとして、量産価格が500円という超低価格の「Bluetooth/Wi-Fi ゲートウェイモジュール」の発売もアナウンスしている。このモジュールを使うことで、BeaconをBluetooth Low Energy(BLE)だけでなくWi-Fiからも利用できるようになり、家庭の外からスマートフォンで「お知らせビーコン」搭載機器の操作が可能になる(報道発表資料:アプリックスIPホールディングス、家電製品や家庭用品に内蔵可能な超低価格(500円)の Bluetooth/Wi-Fi ゲートウェイモジュールを開発)。

ACCESSもBeacon関連のソリューションを発表している。同社が提供するIoTクラウド統合ソリューション「ACCESS Connect」に、人間の位置情報や移動履歴に連動したサービスの提供を支援する「Location Profile」を拡充したというトピックである。新しく提供するのは、キーホルダー型のBeaconを活用したサービス。スマートデバイスなどを家の玄関や学校、企業の施設などに設置するだけで、位置情報を利用したサービスを提供できる。高齢者や子供の「見守りサービス」の提供や、人の位置情報を活用した業務効率化システムの導入を検討している企業や団体に向けて販売する(報道発表資料:ACCESS、人の移動履歴に連動したサービスを実現する、IoTクラウド統合ソリューション 「ACCESS Connect Location Profile」を提供開始)。

ソフトバンクは「ブック放題」、KDDIはiOS版「データお預かり」

このほかのこの週のトピックを見ていこう。ソフトバンクモバイルは、130誌以上の雑誌と1000作品以上のマンガを月額500円で読み放題にできる電子書籍サービス「ブック放題」の提供を開始する。ソフトバンクのiPhone、iPad、スマートフォン、タブレットが対象で6月下旬以降に提供を開始する。ブック放題の提供により、これまで提供してきた定額制の電子書籍サービス「ビューン」のうち、Android版(月額300円)の新規加入を停止した。読み放題の電子書籍サービスに新規加入者する場合、今後はブック放題を利用することになる(報道発表資料:130誌以上の雑誌と1,000作品以上のマンガが読み放題! 「ブック放題」を提供開始)。

KDDIは、端末上のデータを保存するサービス「データお預かりアプリ」にiOS向けアプリを追加して提供を始めた。データお預かりアプリは、Android端末向けに4月23日に提供を始めたサービスで、アドレス帳、写真、動画、カレンダーなどのデータを、サーバーに預けられる。同時に、インターネットを使わずに端末間でデータを移行できる「ダイレクトデータ移行機能」の提供も開始する(関連記事:KDDI、「データお預かりアプリ」のiOS対応と、端末間ダイレクト移行の提供を開始)。

20150609_netgear001格安SIM利用を想定したモバイルルーター新製品。ネットギアジャパン(NETGEAR)は、SIMロックフリーのLTE対応モバイルルーター「AirCard AC785 モバイルホットスポット」を6月下旬に発売する。SIMロックフリーのモバイルルーターで、MVNOが提供するいわゆる格安SIMサービスのmicroSIMを挿入することで、低廉なランニングコストでモバイルルーターを運用できる。本体にはカラー液晶パネルを採用。希望小売価格は税込みで1万7800円(関連記事:NETGEAR、格安SIMでの利用を想定したSIMフリーのLTEモバイルルーター)。

最後にNTTドコモのトピックを紹介する。ドコモは、同社のVoLTEネットワークを携帯端末認証団体「GCF」(Global Certification Forum)の認証試験の環境として提供開始した。VoLTEネットワークをGCF認証試験の環境として提供するのは通信事業者として初めてのこと。ドコモ網が認証試験環境として使えるようになることで、端末メーカーは3GPPの標準仕様に準拠したVoLTEの商用環境における接続性確認が可能になる(関連記事:ドコモの「VoLTE」、3GPP標準に準拠した端末試験環境として提供)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。