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[2015年第35週]UQブランドの2社が合併、ドコモがIoT向けプラン、傘立てやゴミ箱もIoT時代

Weekly Report: Week 35 2015

2015.08.31

Updated by Naohisa Iwamoto on August 31, 2015, 11:42 am JST

「UQ」のブランドで事業を展開してきた2社が合併することになった。WiMAXとauのMVNOと提供する事業の範囲も近く、ユーザーにとってもブランドと事業会社の違いの混乱がなくなりそう。IoT関連のニュースも多く、ドコモがIoT向けのLTEプランを発表したほか、法人向けのIoTとSalesforceの連携ソリューションや、パーソナル向けのIoTゴミ箱やIoT傘立てといった新機軸の製品の発表もあった。

UQコミュニケーションズとKDDIバリューイネイブラーが合併

まず「UQ」のニュースから。「UQ WiMAX」サービスを提供するUQコミュニケーションズと、KDDIのau回線を利用したMVNO事業「UQ mobile」を提供するKDDIバリューイネイブラーが、2015年10月1日に合併する。両社は同じく「UQ」ブランドを掲げる事業を提供してきたため、「UQ」ブランドの活用や販売面での連携を行ってきた。今後は、モバイルデータ通信事業とMVNO事業の両方の事業基盤を生かして競争力の強化を目指す。合併はUQコミュニケーションズを存続会社とする吸収合併で、合併後の代表者は現UQコミュニケーションズ社長の野坂章雄氏が務める(報道発表資料:合併に関するお知らせ)。

一方、UQコミュニケーションズは米国におけるWorld WiMAXサービスの終了についてもアナウンスしている。米国CLEARのWiMAXサービスの終了に伴うもので、WiMAX搭載パソコンで利用できるWorld WiMAXサービスがサービスタイプにより10月24日または10月31日で申し込み終了となる。UQコミュニケーションズによれば、韓国KTにおけるWorld WiMAXサービスは引き続き利用が可能とのこと(報道発表資料:米国におけるWorld WiMAXサービスの終了について)。

LTEプランから傘立て/ゴミ箱まで、IoTの話題が続々

この週のIoT関連のトピックを紹介する。NTTドコモは、IoTの利用促進を目的にした料金プラン「LTEユビキタスプラン」の提供を2015年9月1日に開始する。2016年にドコモが販売予定の「LTEユビキタスモジュール」および、各モジュールのメーカーが提供するLTE対応通信モジュールでの通信で利用できる。プランは5つ。128kbpsの通信ができるプランが3つで、2段階定額型が「LTEユビキタスプランS」(月額基本料800円)、「同M」(同1600円)、フラット型が「LTEユビキタスフラット」(同2000円)。LTEの高速通信ができるプランが2つで、「LTEユビキタスプランS(高速オプション)」(月額基本料1000円)、「同M(高速オプション)」(同1800円)(報道発表資料:「LTEユビキタスプラン」を提供開始)。

テラスカイとNTTPCコミュニケーションズ(以下NTTPC)は、Salesforceを用いてセンサーデータと顧客データを掛けあわせたIoTソリューションを9月1日から提供する。センサーから収集したデータを、特定業務への利用にとどまらず、企業全体としての生産性向上やデータを活用した新ビジネス創造を支援する。ユーザーが保有するSalesforcesの顧客データとNTTPCのIoTプラットフォームを短期間で連携、仮説に基づく迅速な構築と軌道修正を可能にし、短いサイクルでのPDCA実践を支援する(関連記事:テラスカイとNTTPC、Salesforceを用いて顧客とセンサー情報をつなぐIoTソリューションを提供)。

パーソナル向けの商品としては、KDDIが2015年8月25日に提供を開始したショッピングサービス「au WALLET Market」で、IoTを活用したauオリジナルのインテリア雑貨を発売した。第一弾は「傘立て(Umbrella stand)」と「ゴミ箱(Dust bin)」。

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いずれもアプリックスIPホールディングスが提供する組み込み用Beaconの「お知らせビーコン」を採用し、スマートフォンとBluetooth Low Energy (BLE)により通信する。傘立ての「Umbrella stand」は、「今日、傘を持っていく必要があるかどうか」を傘立ての底部に内蔵したLEDの色で知らせる。ゴミ箱の「Dust Bin」は、忘れがちなゴミ収集日をLEDの発光で知らせてくれる(関連記事:降水確率を知らせる「傘立て」、ゴミ収集日を教える「ゴミ箱」--KDDIがIoT雑貨を発売)。

教育機関や中堅・中小企業のICT活用の活発化に動き

ダイワボウ情報システム(DIS)とマイクロソフトは、Windows搭載スマートフォンを含むWindows搭載モバイルデバイスの導入支援組織である「Windowsモバイルビジネスセンター」を共同で設立した。中堅・中小企業や教育市場のICT利活用促進を目指す。新設のセンターでは、これまで取り扱っていたタブレット型デバイスに加えて、今後の開発・発売が進むWindows搭載スマートフォンを含めて、製品の取り扱いや、販売・導入支援を販売店パートナーに提供する(関連記事:ダイワボウ情報とマイクロソフト、中小企業や教育市場向けにWindowsスマホなどの導入支援組織)。

教育関連では、ノキアソリューションズ&ネットワークス(ノキアネットワークス)が国内の2つの教育機関に合計500台のLTE対応タブレットを提供し、学習環境の整備を支援するというニュースもあった。ソフトバンクの協力を得て実施するもの。対象となるのは千葉工業大学の2015年度入学の大学院生と、日本電子専門学校の学生である。ノキアネットワークスのCSR(企業の社会的責任)活動の一環として実施する(関連記事:千葉工業大学と日本電子専門学校、ノキアが500台のLTEタブレットを提供し学習支援)。

利用者に優しいインタフェース、Netflixは月額650円から

そのほか、この1週間の主なトピックを紹介する。利用者にやさしいユーザーインタフェースの実現の話題としては、NTTドコモが利用者に対して優しいスマートフォン向けの2つの技術の提供をアナウンスしている。1つはスマートフォン向けの新しい文字入力アプリで、視覚障がい者でも容易にフリック入力で文章を作成できるようにする。もう1つは緊急地震速報などを提供するエリアメールで平易な日本語を表示する「やさしい日本語」機能への対応で、子どもや来日歴の短い外国人などにも避難、警戒情報を伝わりやすくすることが狙いだ(関連記事:エリアメールで平易な日本語、画面を見ずにフリック入力--ドコモが使う人に優しい技術を提供)。

ソフトバンクと米Netflixの日本法人であるNetflixは、動画配信サービス「Netflix」の日本でのサービス取り扱いについて業務提携を結んだ。Netflixは、世界50カ国に6500万人以上の会員がいる世界最大級の定額制の映像配信サービス。9月2日に国内でサービスが始まる。視聴可能な画質と同時ストリーミング数に違いがある3つのプランを用意し、料金は月額650円、同950円、同1450円で提供する。今回の提携により、サービス申込受付から料金の請求までをまとめて提供できるのは、ソフトバンクだけとなる(関連記事:9月2日開始の「Netflix」、ソフトバンクが提携してサービスを提供)。

KDDIは、自宅に居ながら健康チェックを行えるセルフ健康チェックサービス「スマホdeドック」の全国一斉受付を開始した。専用の在宅検査キットとWebサービスを組み合わせて、気軽に素早く健康をチェックできるサービスで、2015年4月以降に全国の15自治体、3つの企業の健康保険組合と実証事業を通じた提供を開始している。今回開始する全国一斉受付では、サービス改良も行った上でauユーザーに限らず「スマホdeドック」のサービスサイトから、1検査につき4980円(税抜)で申し込みが可能となる(報道発表資料:セルフ健康チェックサービス「スマホdeドック」全国一斉受付開始について)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。