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新興国市場というと、特に日本では隣国である中国ばかり注目されるが、ここまで見てきたように、国営企業だけの中国の成長の仕方は特殊で、それ以外の世界各地では、先進国主要キャリアや民間資本のおかげで活性化している例が多い。
その最も象徴的な存在が、今年フォーブス誌の「世界一の億万長者」にランク付けされた、カルロス・スリムである。同氏は、「新興国」出身で史上初の「世界一の億万長者」である。
新興国での外資導入にあたっては民族資本の参加が義務付けられる場合が多く、外国のキャリアと地元の資本家という組み合わせが多い。スリムは1990年、メキシコ国営電話会社テルメックスを米国のSBC(当時、現在はAT&T)と組んで落札、その後AT&Tとの合弁で中南米各地の携帯電話会社に出資する持株会社、アメリカ・モビルを設立した。
詳細は中南米編に譲るが、スリムの富はテルメックスとアメリカ・モビルの株であり、その価格上昇により評価額が膨らんで、長年「世界一」の地位にあったビル・ゲイツを追い越した。競争に敗れるキャリアもある一方、セクター全体として、いかに魅力的な投資対象であったかがわかる。
海部美知(かいふ・みち)
ENOTECH Consulting代表。NTT米国法人、および米国通信事業者にて事業開発担当の後、経営コンサルタントとして独立。著書に『パラダイス鎖国』がある。現在、シリコン・バレー在住。
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