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2009年創業のInkling社(サンフランシスコ)がSequoia Capitalなど有力なベンチャーキャピタルから資金調達を行った。同社はiPadを使って電子教科書のプラットフォームを開発・提供するベンチャーで、創業者は元アップル(Apple)の従業員であるMatt Mac Innis氏。
同社はすでに大手教科書出版社McGraw-Hillと共同で、インタラクティブでマルチメディアな4タイトル(生物学、マーケティング、心理学、経済学の教科書のベストセラー)を販売している。現在は1章2.99ドル(1ドル=85.28円換算で約255円)、本全体では69.99ドル(約5,968円)だが、今後「出版」されるものは1章3.99ドル(340円)、1冊84.99ドル(約7,248円)となるそうだ。McGraw-Hillのほか、Cengage Learning、John Wiley & Sons、Wolters Kluwerの計4社の教科書をiPad化しているとのこと。
アメリカの大学の、特にハードカバーの教科書は分厚くて重く、バックパックに3冊も詰め込めば背負うのも厭になるほどだから、1学期分のテキストだけでもiPadに入ってくれれば自転車通学も相当楽になるに違いない。しかも、教科書は半期(セメスター)制であれば18週間程度しか使わないし、ある1日を考えれば、持ち歩いて読むページの数はかなり限定される。電車やバスで通学していなければ、移動中に教科書を開くこともない。
単に持ち運びが楽になるだけでなく、InklingはiPadの機能を活用することを主眼に置いているらしく、図表が喋ったり、3D化されたり、ビデオが再生できたり、双方向のクイズ、さらにはソーシャル機能も持たせて、教科書に新しい地平を切り拓こうとしているようだ。
教科書を読みながらWikipediaを調べ、Google Scholarで文献を検索することは当然あるだろうし、レポートの執筆や提出にiPadを使うこともできるだろう。「先輩」の書き込みやアンダーラインが同じ教授の試験準備に役立つとあって、アメリカの大学周辺には教科書の古書市場(書店や生協)が形成されていることが多い。価格から考えて、電子教科書が容易にコピーできるとは思えないが、調査対象へのリンクや「つぶやき」など、上の学年が過去に行った学習過程を学生の「資産」として下の学年に継承することは容易になったはずだ。
幸野百太郎:大手通信キャリア、ISP、ブロードバンドルータのメーカ、通信コンサルティング会社、シリコンバレーの現地法人、ソフトウェア開発会社など一貫してテレコム分野の仕事に従事している。
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