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なぜ日本のITエンジニアの報酬は安いのか?

Why Japanese IT engineers are not well paid

2017.12.21

Updated by Mayumi Tanimoto on 12月 21, 2017, 07:10 am JST

日本人SEが外資系ITに大量流出、これでいいのか?

という記事が話題になっていましたが、その中ではは外資系企業の報酬にも触れていますね。

今回は、なぜ日本のIT企業は企業の報酬体系が外資系の様にならず、全体的に安いのかについてです。

この記事では、日本人が外資系の IT 企業で働くことは、日本国内の企業にとっての刺激になり、国内市場活性化するので良いことだということが書かれています。

しかし、私個人としては大した変化は起こらないと思っています。

確かにエンジニアは妥当な報酬を得るべきなのですが、ただ心理的に、外資系企業の環境に身を置きたいという日本の エンジニアはそれほど多くないでしょうから、民族大移動は起こりにくいはずです。

今回の記事の本題に戻りますが、日本の企業が外資系の IT企業のような報酬体系や意思決定の仕組みを導入するには、企業全体で、雇用制度の設計を全てやり直さなければいけません。

つまり、企業経営そのものの話になるわけです。

仮にエンジニア部門と、その他(販売管理部門や営業部門等)で報酬体系や雇用体系を変えるのであれば可能かもしれませんが、 日本企業の報酬体系の仕組みから考えると、実現可能性は低いです。

日本企業はシニオリティペイ(年功序列賃金)を採用しているところが多いですから、特定部門の人が高額報酬を得るというのは珍しく、なかなか実現が難しい。長期雇用が前提の賃金体系になっているからですね。

英語圏の場合、シニオリティペイは古い企業や官公庁、大学職員、病院、軍隊などで採用されていますが、最近では職能別の報酬を採用する所も増えていますから、徐々にマイナーになっています。特に動きの激しいIT業界だとマイナーな方です。

IT業界ですと、職種別、スキルベース、階級別の報酬が当たり前ですから、例えばエンジニアの報酬が、幹部クラスの人や上級管理職の報酬を超えてしまうこともあります。しかしシニオリティペイを全社で採用している日本企業ではそんなことをOKする上役はいないでしょう。

さらに、こういう報酬体系は職能別採用の制度が背後にあり、 「こういう技能があったらこのぐらいの報酬を払う」という「客観的な指標」が確立している必要があります。

北米や欧州北部の場合は、どういうスキルであれば市場レートでだいたいどのぐらいの報酬というのが、企業を超えた形で共有されており、結構厳密です。何分、人の移動が激しいので、相場以下の賃金だとうわさがあっという間に広がり、良い人が来なくなってしまいます。

こういうレートがあるので、例えば個人事業主の人を外部からのコンサルトして短期間で雇う場合も、妥当な報酬を出します。企業によって増減はありますけど、例えばどこかで日当15万円だった人が、同じ街の他社で1日5万円になるということはないです。ですから、個人事業主になっても報酬の交渉は割とスムーズで、足元を見られて悲惨な目にあうことは案外少ないんです。日本でも一応相場というのはあるわけですが、北米や欧州のように厳密に適用されているわけではありませんね。

 

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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