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インサイド・アウト

(1)Android -キャリアとベンダーのエコシステムに入り込むグーグルの目的

2011.02.25
2月16日(現地時間)に行われた、日米欧のコンサルタントによる「MWC2011 ラップアップ」の模様を翻訳付きでお届けする。全体のIndexはこちら
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▼「Android」最初から再生

──今私たちは、MWCのAndroidパビリオンの前にいます、とても、とても大きなパビリオンですが、今年初めてこの規模での展示が行われています。Androidについて、感想や意見を聞かせて下さい。まずは、ヨーロッパの現状からお願いします。

Olivier:Androidは昨年とても飛躍的な拡大をしました。スマートフォンをマスマーケットに投入し、医療、ゲーム、位置情報サービス(LBS)、タブレットなど、マーケットの全セグメントで活躍し、ありとあらゆる場面において力強い拡大をしています。

ソリューションとしてもコストが安いので、現在ヨーロッパのAndroidのシェアは飛躍的に拡大しています。それにくらべ、アップルは市場のローエンドにとってはコストが高く、市場全体の勢力図が変化しており、未来はグーグルの方に向いていると思います。

MWCでも、グーグルの存在は大きいのに、アップルは不在です。今年初めて、グーグルはMWCという場所で、モバイルの今後における自社の考えや存在の大きさを見せつけています。

──でも、ヨーロッパではAndroidよりiPhoneの方が先に市場展開をしていましたよね?また、アメリカの市場ではAndroidがiPhoneのシェアを抜いたと言われていますが、状況はヨーロッパでもおなじですか?

Olivier:そうですね。昨年の夏を境にAndroidがiPhoneを抜いており、シェア拡大のスピードはiPhoneの二倍に達しています。(Androidの)市場を引っ張るリーダーとしての存在が強くなり、現在最も戦略的に重要な技術やマーケットプレイスとしての位置付けになっています。アプリケーションストアの主軸はアップルからAndroidに移りつつあります。

また、アップルのユーザーとAndroidのユーザーでは、ストアに使う金額が大きく違います。たとえば、アップルのユーザーは年間80ユーロ程度を使っているのに対して、Androidのユーザーは15ユーロから20ユーロです、ですからプラットフォームとしてみたときもユーザーの属性に大きな違いがあると言えます。

──ユーザー属性の違いというのは、アプリケーションストアのユーザーのことですか?

Olivier:そうです。

──私自身はアメリカの現状はよくわかっていますが、アメリカの現状も教えてもらえますか?

Derek:いくつかありますが、Androidのパビリオンを見て面白いと思ったのは、日本人にとっても面白いと思いますが、Androidの寿司船がありました。寿司レストランのようにAndroid端末がぷかぷか浮いていて、今まで開発されたすべてのAndroid端末が会場の周りを回って壁にある穴に消えて行きます。

これをみれば、いかにAndroid端末の数が多いか一目でわかると思います。アップルと比べても、売れている端末の数の多さやベンダーの数やベンダー間の競争の激化などに繋がっていると思います。売れている端末の数はそれほど重要ではなく、重要なのはベンダーの多さ。ソニーエリクソン、HTCなど数多くのベンダーがいて、さらにベンダー間の提携などによっていろんな国に対してソリューションを提供することができ、一気に市場拡大を実現するスピードが生まれている事がAndroidにとって重要だと思います。

なので、今年のブースはとても良いと思います。展示されている機器には複数のベンダーによって共同で開発された3D機能を搭載したゲーム機、業務生産性アプリを搭載したモデル、コンシューマー向け機器、地図機能や位置情報サービスが充実したモデル、など多岐にわたった機器を展示する事によって、Androidは使って便利で楽しいというメッセージをうまく伝えています。とても雰囲気の良いブースでした。

Olivier Bourhis氏PTOLEMUS Consulting Group
位置情報サービスにフォーカスしたコンサルティングを提供。
Derek Kerton氏Kerton Group
テレコム企業へのコンサルティングを提供。「シリコン バレー・テレコム・カウンシル(SVTC)」主催。
聞き手:海部美知氏(Enotech Consulting/WirelessWire News特派員)

Interview at Mobile World Congress with Olivier Bourhis, Managing Partner at PTOLEMUS Consulting Group in France which specializes in Strategies for Mobile Companies and Derek Kerton, Principal Analyst at The Kerton Group, a wireless consulting and analysis firm based in the Silicon Valley.

海部美知海部美知(かいふ・みち)
ENOTECH Consulting代表。NTT米国法人、および米国通信事業者にて事業開発担当の後、経営コンサルタントとして独立。著書に『パラダイス鎖国』がある。現在、シリコン・バレー在住。
(ブログ)Tech Mom from Silicon Valley
(英語版ブログ)Tech Mom Version E


翻訳:深田憲太郎(ふかだ・けんたろう)
情報テクノロジーセクターにおいて、シリコンバレーやヨーロッパ企業と日本企業の業務提携に関する代理人業務など、海外企業の日本進出、日本企業の海外進出などを数多く成功させている。

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