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アップル、iOS端末ユーザーのプライバシー保護で方針変更 - 「iOS 5」ではUDIDの利用を推奨せず

2011.08.22

アップル - iOS 5
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アップル(Apple)のiOS向けアプリで、これまでユーザーの識別に利用されてきた固有の識別番号(UDID)へのアクセスが、秋にリリースを予定される「iOS 5」では許可されなくなる可能性が浮上している。

アップルは米国時間19日、アプリなどの開発者向けに配布しているiOS 5のベータ版(バージョン6)を公開したが、これに合わせて「iOS 5で廃止される機能」のなかにUDIDを使った端末の識別が含まれることを明らかにした。ユーザーIDの識別を必要とするアプリの開発者に対しては、同社はそれぞれが独自に識別の仕組みを組み込むようにアドバイスしているという。

iOS端末のUDIDは、個々の端末でのアプリやウェブの利用状況を追跡するために用いられるもので、ソーシャルゲームやモバイル広告などをはじめとして幅広く活用されている。たとえば多くのモバイル広告ネットワークでは、UDIDを利用することで、特定の商品に興味があると考えられるユーザーをターゲットにした広告を配信しているという。

iPhoneやAndroid OS搭載のスマートフォンで、ユーザーへの情報開示が不十分なまま個人の特定につながり得るデータが記録・収集されていることは、以前から問題視されていた。Wall Street Journal(WSJ)が昨年12月に公表した調査結果では、ユーザーの氏名、所在地、電話番号、さらには端末固有のIDなどの情報を本人の同意なく収集し、広告ネットワークの運営者などの第三者に提供していた例が複数存在しており、具体的には対象となった101種類のアプリのうち、端末のID情報を提供していたものが56種類、利用者の位置情報を提供していたものは47種類に上ったうえ、年齢や性別などのより個人的な情報を提供していたアプリも5種類あったという。

また今年の4月には、iPhoneの位置情報の記録・収集をめぐって問題が発生し、各国の規制当局や議会が実態の調査に乗り出したほか、韓国ではこれに関連してアップルに対し罰金支払いを命じる判断が出され、さらに最近では約2万7000人のiPhoneユーザーによる集団訴訟も起こされている。

今回の変更について、プライバシー専門家の間からはアップルの判断を評価する声も聞かれるが、一方でたとえばネットワークセキュリティを専門とするニュージーランドのアルド・コルテージ(Aldo Cortesi)氏は、開発者らが独自に識別番号を作成しても、同様のセキュリティ上の問題が発生すると警告しているという。

またこの方針変更を受けて、アップルが自社のモバイル広告サービス「iAd」でUDIDの利用を止めるかどうかはまだ明らかになっていない。「iAd」でUDIDの利用が続けられた場合には、アップルが競合他社に対して不当な競争力を手にすることにつながりかねないとWSJでは指摘している。


【参照情報】
Apple Shuns Tracking Tool - WSJ.com
Apple Sneaks A Big Change Into iOS 5: Phasing Out Developer Access To The UDID - TechCrunch
Apple releases iOS 5 beta 6 to developers; here's the full change log - BGR
韓国のiPhoneユーザー約2万7000人がアップルを相手取った集団訴訟
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平松波央、三国大洋(スタッフライター)

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