WWNトップ » 世界の話題

世界の話題

「タダ乗り」は許さない - サムスン幹部、アップルへの攻勢本格化を示唆

2011.09.26

世界各地の法廷でアップル(Apple)と特許侵害をめぐる争いを続けるサムスン(Samsung)が、アップルに対する攻勢を激化させる構えを見せている。

サムスンのモバイル・コミュニケーションズ部門を率いるリー・ヨンヒー(Lee Younghee)SVPは韓国時間23日、AP通信とのインタビューのなかで、アップルがサムスンの技術に「タダ乗り」(free ride)しているとした上で、「この問題に関するわれわれの権利を、今後は従来よりも積極的に追求していく」と語ったという。

同氏によれば、これまでサムスンではアップルとの取引関係を考慮し、同社に対する積極的な攻勢を手控えていたという。同紙はAPに対し「われわれはこれまで(アップルを)大いに尊重してきたが、同時にある意味では受け身になってもいた。しかし、もうそうした姿勢をとり続けるべきではないと考えている」と述べている。

リー氏は、サムスンが無線通信関連の特許を数多く保有しているとし、そのなかには通話中の電子メール受け取りを可能にする技術など重要な技術に関するものも含まれているとした上で、アップルがこうしたサムスンの特許に「タダ乗りしているとわれわれは考えている」と語っている。

いっぽうFinancial Times(FT)では、まもなく発売が予想されるiPhone 5について、サムスンが欧州や韓国などで販売差し止めを求める訴えを起こす準備を進めているとの一部の報道に関し、サムスンに近い情報筋の話として、この可能性が大筋本当のことであるとした上で、同社では現在訴訟を起こす具体的な国の選定を進めていると伝えている。

FTによれば、サムスン関係者はこの可能性についてのコメントを差し控えたものの、同紙に対して「われわれはアップルに対して、これまでの守りの戦略から離れ、現在積極的な法的措置の準備を進めている。われわれがもつ無線通信規格に関連する特許を使えば、大いに勝機はあるというのがわれわれの考えだ。」とし、さらに「WCDMAやHSPAのような無線技術はモバイル端末にとって不可欠な規格であり、われわれにとって大きな武器になり得る」とコメントしているという。

これに関連して、Wall Street Journal(WSJ)では、サムスンがいわゆる「標準特許」(standard patents)に関連する事柄を、アップルとの法廷闘争の中心的な争点に据えようとしている可能性があると伝えている。標準特許とは、企業各社が自社技術の普及・互換性確保のため、国際的な標準化団体を介して他社にも利用できるようにしているもの。

サムスンはすでにいくつかの国で、同社が特許を保有する技術がアップルに無断で利用されているとしてアップルを訴えているが、これに対しアップル側ではこれらの特許の多くはサムスンが標準化団体に提供したものであり、アップルはこれらの標準化団体から利用に関するライセンスを受けている、と主張しているという。

標準化団体への特許提供に際して、提供する各社には「公平で妥当かつ差別のない」(Fair, Reasonable and Nondiscriminatory:FRAND)やり方で他社にライセンス提供を行うことが求められるが、サムスンではこれによってライセンス提供から得られる金額が最小限に抑えられている点に着目し、その価値算定(金額設定)が十分なものではないとの主張を行う可能性があるという。WSJでは、もしこうした主張が実際に行われ、さらにそれが認められた場合、各国の法廷で混乱が生じる可能性があると指摘している。


【参照情報】
AP Interview: Samsung to Step up Apple Patent War - abcnews
Samsung talks tough about future of Apple patent fight - GigaOM
Samsung eyes iPhone 5 legal action - FT.com
Samsung Sows Patent Confusion - WSJ.com
サムスン、アップルへの反攻本格化 - 韓国では「iPhone 5」販売差止請求の計画も
世界各地に飛び火する、アップル対サムスンの法廷闘争 - 新たに仏、英でも
サムスン、欧州でまたも黒星 - 独地裁、「Galaxy Tab」の販売を禁じる判定


三国大洋(スタッフライター)

関連タグ

バックナンバー記事一覧