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ロンドン電波事情

ロンドン電波事情

あんた何様、エンジニアのあたしゃ神様だよ

2012.06.23

今週のロンドンは大規模ストが目白押しです。

まず木曜日には医師が40年ぶりの大規模ストを実施しまして、イギリス全土の医師の約11%が参加。休診や緊急以外の手術がキャンセルになりました。(手術って医者が休みだとか、やりたくないって理由でキャンセルになっちゃうんですよ。。。)理由は医師年金の掛け金が上がるのは許さん!という理由でございました。

その翌日の金曜日はロンドン中でバスがスト。オリンピック中に出勤すれば手当が出るという話だったのに(深夜勤とかではなく普通に出勤するだけで出る)、いやそれはやり過ぎじゃないの(ワシもそう思いますぜ)、と組合と従業員が揉めたのが原因であります。

告知も特になく、とりあえず気がついたらバスが走ってない、事情がわかってない人は突風の中、バス停で立ち尽くしてるという状況でありました。

ええ、健気な勤労者のワシは何キロか歩きましたよ。。。ああ、そういえば同僚は休みが多かったですわ。昼なんか人が少なかったし。(どうせどっかで飲んでたんでしょう)

とまあ、不満があれば文句を言う、他人がどう思おうが、嫌がらせしまくって自分の要求を通しちゃうぜ!というのが、海賊の末裔であるイギリスの皆様なわけですが、「俺団体行動嫌だもんねえ。そんな暇があったらネトゲやってますよう」というIT業界および通信業界の技術者様でさえも、ストをやるんであります。

2011年には同僚のリストラや昇級凍結などに反対したFujitsu UKの技術者やその他の社員が「条件飲まないならストやるで。システム止まるで」と会社と交渉を繰り広げたということがございました。

ストは回避されたんですが、この会社、イギリスの税務署やら運転免許試験場などお役所やら大手の会社にサービス提供してたために、イギリス中に「ITの奴らは怒らせたらいかんわ。。。」と恐怖を植え付けました。

皆さん、想像したことありますかね。

どっかのプロバイダやキャリアの技術者がいきなり全員休んで

システムが止まっちゃうとか

インシデントがずべて放置されるとか

携帯がつながらなくなるってことを。

でもね、よく考えたら、IT業界および通信業界だからこそ、ストやるの簡単なわけですよ。システムもサービスもブラックボックス状態で、協力会社や担当技術者じゃなきゃ直せない。ケーブル切って逃げられたらおしまい、仕様書焼いて捨てられたら終了って状況が山の様にあるではないですか。

イギリスの客や経営者サイドは、「ストやられたらおしまい」「逃げられたら終了」「俺、直せないじゃん」とわかってるので、「ITの奴ら」は丁重に扱い、技術者個々にも協力会社にもそれ相当のお金を払い、多重下請け構造で搾取しまくりってのはあまりないわけですよ。

デスマーチもありえません。そんな酷い仕事ふったら、色々やられて逃げられますから。技術者はね、色々できるんですよ、ええ、色々ね。。。


今の所、日本は人の良い技術者が沢山いるみたいですから、多重下請けで搾取しようが、デスマ仕事で技術者をつぶそうが、営業や管理業務の人より安い給料を払おうが、熱心に働いてくれてますけどね。


でも、それっていつまで平気なんですかね。


そろそろ限界なんじゃないですかね。


技術者はゴッド、つまり神様だから、絶対に怒らしてはならんてのは、よく覚えておいた方がいいですよ。


谷本 真由美(たにもと・まゆみ)
NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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