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        <title>WirelessWire &amp; Schrödinger&#039;s</title>
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        <description>for Researchers and Engineers Dedicated to Innovate and Elevate Quality of Life</description>
        <lastBuildDate>Oct 13 2026 15:38:59 +0000</lastBuildDate>
        <language>ja</language>
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                <title>ロボットは、人より安く働けるか（中村 航）</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/10/94676/</link>

                <dc:creator><![CDATA[中村 航]]></dc:creator>
                <pubDate>Oct 12 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
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                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>ロボットが重い荷物を運ぶ映像を見ると、その仕事をすぐにでも任せられそうに思える。だが、現場に設置し、安定して動かし続ける費用まで含めると、人に任せるより得になるだろうか。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>米Anthropicが2026年9月30日に公表した研究は、ロボットの能力と経済性の隔たりを数値にした。同社の推計では、現在のロボットが一定の条件下で担える作業は、米国の全労働時間の34％に相当する。一方、人より低い費用で行える作業は、全労働時間で見ると0.3％相当にとどまったという。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>この34％という数字には、ロボットが働きやすいように環境を整えた場合も含まれる。研究は約900の職業の作業内容について、ロボット専用に整えた環境、人も働く倉庫などの環境、街路のように状況が変化する環境のどこまで対応できるかを評価した。機械が作業を覚えても、どの職場でもそのまま働けるわけではない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>費用も本体価格だけでは決まらない。研究は購入・設置費に加え、保守、電力、人による監督などを見積もり、人と同じ量の仕事をするための年間費用を比較した。例えば、溶接そのものができても、重い部材の位置を合わせ、届きにくい場所へ移動し、仕上がりを確認するには別の仕組みが必要になる。同研究では、こうした仕事を含めた自動化は、人の労働より大幅に高くつくと推計している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>研究は、量産や能力向上でこの差が縮まる可能性も認め、進歩が加速する場合の試算も行っている。ただし、賃金や仕事内容を固定した条件付きの計算で、実際の普及の速さはまだ見通せない。現在の費用の差が、そのまま将来まで続くとは限らない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>また、34％や0.3％という数字も、現場で直接測定した値ではなく、さまざまな資料を基にした推計である。職務の分析や作業時間、能力、費用の評価には同社のAI「Claude」を使っており、近い作業の実例から能力を推定したケースもある。数字は評価基準や仮定に左右され、34％の雇用が置き換わるという意味ではない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>それでも、ロボットの進歩を考える物差しとしては興味深い。ソフトウェアは複製して広く届けられるが、ロボットは一台ずつ作り、設置し、維持しなければならない。フィジカルAIの能力が向上する速さと、現場への普及の速さには距離がある。どこまで仕事を任せられるかと同じくらい、いくらで使い続けられるかが普及を左右する。（<a href="https://wirelesswire.jp/author/wataru_nakamura/" data-wpel-link="internal">中村 航／翻訳家</a>）</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><strong>参照</strong><br><a href="https://www.anthropic.com/research/what-work-can-robots-do" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">Anthropic；What work can robots do?</a><br><a href="https://cdn.sanity.io/files/4zrzovbb/website/d27288375b0ac486cb9da0a30a94423b36ff0443.pdf" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">Anthropic；Appendix to: What work can robots do?</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">94676</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>それは超伝導研究から始まった／北澤宏一研究室（東京大学）OB、大いに語る</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/10/94647/</link>

                <dc:creator><![CDATA[シュレディンガーの水曜日事務局]]></dc:creator>
                <pubDate>Oct 08 2026 09:51:54 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[物質知性]]></category>
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                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>IBMチューリッヒ研究所で、遷移金属酸化物であるBa-La-Cu-O系材料（バリウム（Ba）ランタン（La）銅（Cu）酸化物）が絶対温度35K付近から電気抵抗値が急激に低下し、13K付近でゼロになる現象が発見されたのが1986年1月。そして、同年11月には東京大学の田中・北澤研究室がこのベドノルツ-ミュラー論文を元に、Ba-La-Cu-O系材料の追試を実施し、大きな反磁性を観測、さらに、23Kを超える温度で「抵抗がゼロ」になる試料を作製しました。この「銅酸化物における高温超伝導の確認と構造決定」（田中昭二、北澤宏一、内田慎一、高木英典）以降、インパクトの大きな新超伝導物質の大半は日本で開発・発見されたものが占めるようになりました。物質科学における超伝導研究は実は日本のお家芸なのですね。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そして田中・北澤研究室のもう一つの大きな功績は、突拍子もないぶっ飛んだ研究に没頭する研究者を数多く輩出したことです。今回の「シュレディンガーの水曜日」は、この田中・北澤研究室で薫陶を受け、現在教授職として有力大学で活躍する4名の田中・北澤研究室OBに集まっていただいて、ご自身の最先端研究をご紹介いただきつつ、田中・北澤研究室における研究者育成術がどのようなものだったのかをご披露いただこうという趣旨で開催します。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>まず一杉太郎氏（東京大学大学院理学系研究科化学専攻教授）から、理工系の研究室の運営のあり方、産学連携推進術、そして日本における「AI for Science」時代における材料研究のあり方をご披露いただき、次に筑本知子氏（大阪大学レーザー科学研究所教授／マトリクス共創推進センター長）には超伝導から広がる材料研究の面白さ ― 磁束物理・線材開発・送電応用、そして文化財科学への応用を語っていただきます。さらに、笹川崇男氏（東京科学大学・総合研究院フロンティア材料研究所准教授）から高磁場でも壊れない超伝導体、中身と表面で異なる超伝導状態、新原理の量子計算を可能にする超伝導体、そしてvdW自在積層による自然を超越した材料開発、トポロジカル超伝導体による量子コンピュータ・量子AI構想をご披露いただき、最後は池添泰弘氏（日本工業大学・基幹工学部環境生命化学科教授）に永久磁石が拓く磁気浮上技術について語っていただきます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>聞き手・司会はいつもの原正彦氏（JSPS）と今回話題提供いただく池添泰弘（日本工業大学）氏です。奮ってご参加ください。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading">開<strong>催概要</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:table {"className":"event mb-s"} -->
<figure class="wp-block-table event mb-s"><table class="has-fixed-layout"><tbody><tr><th>名称</th><td><strong>「シュレディンガーの水曜日」<br>それは超伝導研究から始まった<br>It began with the study of Superconductivity</strong></td></tr><tr><th>開催日時</th><td>2026年10月21日（水） 19:00～21:00</td></tr><tr><th rowspan="4">話題提供者<br>（敬称略）</th><td><h4 class="mt-xs">組織運営、研究室運営、産学連携、日本における材料研究のあり方について</h4><img src="/wp-content/uploads/2026/10/wednesday-hitosugi.webp" alt="一杉太郎" width="" height="" class="mb-xs">一杉太郎／東京大学大学院理学系研究科化学専攻教授<br><a href="https://solid-state-chemistry.jp/" target="_blank" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer">https://solid-state-chemistry.jp/</a></td></tr><tr><td><h4 class="mt-xs">超伝導から広がる材料研究の面白さ ― 磁束物理・線材開発・送電応用、そして文化財科学へ</h4><img width="" height="" class="mb-xs" src="/wp-content/uploads/2026/10/wednesday-chikumoto.webp" alt="筑本知子">筑本知子／大阪大学レーザー科学研究所教授／マトリクス共創推進センター長<br><a href="https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/3eef9b58e607aeab.html" target="_blank" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer">https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/3eef9b58e607aeab.html</a><br><a href="https://prcra.vlda-cons.org" target="_blank" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer">https://prcra.vlda-cons.org</a></td></tr><tr><td><h4 class="mt-xs">高温超伝導の研究で磨いた単結晶開発から計算科学の裏をかく新奇超伝導体の探索と応用展開へ</h4><img width="" height="" class="mb-xs" src="/wp-content/uploads/2026/10/wednesday-sasagawa.webp" alt="笹川崇男">笹川崇男／東京科学大学・総合研究院フロンティア材料研究所准教授<br><a href="https://www.sasagawa.msl.iir.isct.ac.jp/" target="_blank" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer">https://www.sasagawa.msl.iir.isct.ac.jp/</a></td></tr><tr><td><h4 class="mt-xs">超伝導が教えてくれた磁石の魅力 ― 永久磁石が拓く磁気浮上技術</h4><img src="/wp-content/uploads/2026/10/wednesday-ikezoe.webp" alt="池添泰弘" width="" height="" class="mb-xs">池添泰弘／日本工業大学・基幹工学部環境生命化学科教授<br><a href="https://www.nit.ac.jp/campus/teacher/ac_ikezoe" target="_blank" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer">https://www.nit.ac.jp/campus/teacher/ac_ikezoe</a></td></tr><tr><th>実施形態と参加方法</th><td><strong>Zoomウェビナー（Webinar）を利用したオンラインイベントです。</strong><br><strong><a href="https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_y2lJR4AhSqWwTDCubxE9LA" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">お申し込みはこちらから</a></strong></td></tr><tr><th>参加料</th><td><strong>無料</strong></td></tr><tr><th>申込期限</th><td><strong>2026年10月21日（水）の18時まで</strong></td></tr><tr><th>主催</th><td>「シュレディンガーの水曜日編集委員会」／スタイル株式会社</td></tr><tr><th>後援</th><td>応用物理学会（予定）</td></tr></tbody></table></figure>
<!-- /wp:table -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xxl lineheight-m "} -->
<p class="mb-xxl lineheight-m ">※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。</p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

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            </item>
                    <item>
                <title>ラトビア職人　樹木と向き合う時間、ブルーアワーのように－－ものづくりと手のあいだに（2）／服部希代野</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/10/94621/</link>

                <dc:creator><![CDATA[服部 希代野]]></dc:creator>
                <pubDate>Oct 08 2026 08:15:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
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                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>バルト海の東岸に位置し、エストニア、リトアニアとともにバルト三国を構成するラトビア。国土の半分以上を森林が占める自然豊かな国で、身近な木々を生かした手仕事が今も受け継がれている。白樺の樹皮を編んで作る工芸品も、その1つだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>写真家の服部希代野氏は、首都リガからバスと車を乗り継ぎ、白樺細工の職人ナウリスさんの工房を訪ねた。静かな工房で、樹木と向き合うように黙々と手を動かすナウリスさん。その所作と流れる時間は、服部氏に黄昏から夜へと移ろうブルーアワーの一瞬を思わせた。白樺を編む手と、そこから生まれる工芸品に宿る静かな空気が伝わってくる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:separator -->
<hr class="wp-block-separator has-alpha-channel-opacity"/>
<!-- /wp:separator -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>地元の木材を使い、ものづくりをされている人に興味がある。<br>バルト三国に行く機会があり、調べているうちに、ラトビアの白樺の皮を使ってクラフトを作る職人を知った。<br>おじさんの工房を引き継いで今も制作を続けている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>工房の静かで澄んだ空気感。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>できた工芸品はすべてが初めからこの形になると決まっていたことのような</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>運命に吸い寄せられる様な不思議な感覚がある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>国土の半分以上が森林や湿地に覆われる自然豊かな国、ラトビア。<br>白樺の皮を使ってクラフトを作る職人ナウリスさんに会いに行った。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>リガからバスで1時間半、さらに車で20分ほど行った場所に<br>工房がある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>本数が少ないバスのため、近くのバス停まで、家族が迎えに来てくれた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>到着すると愛犬が迎え入れてくれた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>工房に一歩足を踏み入れるとひんやりと冷たい。<br>年季の入ったカゴに目がいく。<br>あそこに置かれるために作られたかのようなカゴだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>木の皮を編む静かな時間。<br>優しく心地よい時間が流れ、楽しげなハミングが、しじまを縫うように行き渡っていく。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>祈りの様な所作。<br>すべてが初めから決まっていたことのような、運命に吸い寄せられる様な不思議な感覚があった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<figure class="wp-block-image size-large is-resized"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/10/image-8-1024x1024.jpeg" alt="" class="wp-image-94630" style="aspect-ratio:1;width:527px;height:auto"/></figure>
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<!-- wp:paragraph -->
<p>白樺細工の職人ナウリスさんが樹木と対峙する時間、自然の中で向き合う静かな時間が、ブルーアワーに重なって感じられる。<br>黄昏から夜にうつろうあの一瞬の息を呑むような感覚と似たものがあった。（<a href="https://wirelesswire.jp/author/hattori_kiyono/" data-wpel-link="internal">服部希代野／写真家</a>）</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<figure class="wp-block-image size-large is-resized"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/10/image-16-1024x689.jpeg" alt="" class="wp-image-94638" style="aspect-ratio:1.4864197530864198;width:602px;height:auto"/></figure>
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            </item>
                    <item>
                <title>AI破滅論と『終末ファシズム』、そしてアポカロプティミストとして生きること</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/10/94606/</link>

                <dc:creator><![CDATA[yomoyomo]]></dc:creator>
                <pubDate>Oct 06 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=94606</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』や『ナワリヌイ』などのドキュメンタリー映画の監督として知られる新鋭ダニエル・ロアーが、AIをテーマとするドキュメンタリー映画を手がけたと知り、是非観たいと思っていたところ、『<a href="https://www.netflix.com/title/82792555" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">ジ・AIドック オア・ハウ・アイ・ビケイム・アン・アポカロプティミスト</a>』という腹立たしいほど工夫のない邦題でNetflix入りしていたので、早速観てみました。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ベストセラー作家のユヴァル・ノア・ハラリ、シリコンバレーを代表する投資家リード・ホフマン、『<a href="https://wirelesswire.jp/2026/03/93124/" data-wpel-link="internal">超知能AIをつくれば人類は絶滅する</a>』のエリエザー・ユドコウスキー、イリヤ・サツケバーをはじめとするAI研究者、『Empire of AI: 新しい帝国が生まれるとき』の著者であるジャーナリストのカレン・ハオなど、この界隈の著名人が数多く出演していました。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>本作の企画を進め始めた頃、ダニエル・ロアーの妻が妊娠します。親としての責任感が芽生えた彼の、「生まれてくる子供はどんな世界を生きるのか」、「いま子供を持つのは正しいことなのか」という問題意識が映画全体を貫いているわけですが、AIってそもそも何？ AGI（汎用人工知能）ってAIとは違うの？ 超知能って何さ？ と専門家に話を聞くほどにロアーの不安は増していきます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>AI安全性の研究者に人類の存続リスクを持ち出され、AIをパンデミックや核戦争と並ぶリスクとして論じる彼らに不安を煽られ（彼らの多くは、「いま子供を持つのは正しいことか？」というロアーの問いかけに露骨に言葉を濁します）、完全に「AI Doomer（AI破滅論者）」と化したロアーですが、妻に尻を叩かれ、今度はピーター・ディアマンディスやベフ・ジェゾスといったAI楽観論者に話を聞き、元気を取り戻していきます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>しかし、話はそれで終わりません。ロアーは、そもそも誰のせいでこんなことになってんだよ、AIの破滅論と楽観論のどっちを信じればいいんだよ、と巨額の投資をバックに人間を超越するAIを我先に作ろうとする張本人の5人に出演をオファーします。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そのうちマーク・ザッカーバーグとイーロン・マスクは出演を辞退しますが、OpenAIのサム・アルトマン、Anthropicのダリオ・アモデイ、そしてGoogle DeepMindのデミス・ハサビスという三巨頭がそれぞれロアーと対峙します。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「これがうまくいくと約束してほしい」というロアーの半ば懇願の言葉に「それは不可能だ」と即答するサム・アルトマンなど、いかにも彼らしい反応でしたが、個人的に印象的だったのは、「すべては運命だったんですよ。この列車は止まりません。前に立ちはだかってもひかれるだけです」とロアーに向かって言い切るダリオ・アモデイの語気の強さでした。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>それだけに、Anthropic社員のジェイコブ・コクソンが退職に際し、AI開発競争が我々全員の命を危険に晒していると強く警告して<a href="https://wired.jp/article/anthropic-researcher-quits-jacob-coxon-ai-fears-humanity/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">シリコンバレー内外に衝撃を与えた</a>かと思えば、当のダリオ・アモデイがいけしゃあしゃあとAIモデルの能力向上のペースを落とさねばならないと<a href="https://darioamodei.com/post/we-must-pace-the-frontier" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">「減速」を訴え</a>、それにサム・アルトマン、デミス・ハサビス、そしてイーロン・マスクが<a href="https://gigazine.net/news/20260914-ai-pace-slow-down/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">即座に賛同する</a>という先月の展開は、いささかあっけにとられるところがありました。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>もちろん、アモデイの減速提案自体はさほど意外ではありません。7月に発覚したOpenAIのAIモデルがテスト中に誤ってHugging Faceをハッキングした<a href="https://gigazine.net/news/20260722-openai-accidentally-hacked-hugging-face/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">事例</a>を皮切りに、AnthropicのAIが実験中に第三者のシステムに不正アクセスした<a href="https://gigazine.net/news/20260910-anthropic-ai-incident/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">事例</a>、Geminiもやはりテスト中に他社をハッキングした（が、Googleはそれを公表せず沈黙していた）<a href="https://gigazine.net/news/20260924-googles-gemini-hacked-three-companies-ai/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">事例</a>、そして、OpenAIのエージェントがオーストラリア政府の医療保険サイトに侵入した（が、通知は84日後だった）<a href="https://kaztaira.wordpress.com/2026/09/24/openai-agent-hacks-australian-medicare-portal/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">事例</a>など、次々と報じられる「<a href="https://wired.jp/article/sz-can-ai-go-rogue/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">AIの暴走</a>」の当事者として、アモデイやアルトマンらが危機感から同調するのは、必ずしも不思議ではありません。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>特にOpenAIのAIエージェントに関しては、その後もアメリカの教育省、商務省、証券取引委員会のサイトに干渉していた<a href="https://gigazine.net/news/20260928-openai-us-government/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">事例</a>や国連のウェブサイトにブルートフォース攻撃を試みた<a href="https://gigazine.net/news/20260928-openai-agents-try-bruteforce-un-website/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">事例</a>も報じられており、その暴れっぷりが際立ちます。OpenAIは国際ハッカー集団かよ、とツッコミを入れたくなりますが、セキュリティ対策が不十分だという従業員の再三の警告に<a href="https://www.nytimes.com/2026/09/29/technology/openai-warnings-security.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">経営幹部が聞く耳を持たなかった</a>と聞くと、逆に（？）納得です。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>AIエージェントのセキュリティ侵害事例の報に接し続けたのもあり、「AIが一年以内にインターネットを破壊する」とか「AIが人類を絶滅させる可能性がある」とか聞いても驚かないほど感覚が麻痺しているところがあります。それでも、アモデイの提案から主要人物たちが賛同するまでの展開には、どうしても<a href="https://www.technologyreview.jp/s/390850/the-ai-industry-has-taken-a-doomer-turn-what-now/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">不自然さ</a>を感じずにはいられませんし、現実にはAIの<a href="https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/96989" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">開発競争を止められない</a>のを分かった上でのポジショントークを疑ってしまいます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>もっと言えば、ダリオ・アモデイの減速提案には、規制強化を後発企業への<a href="https://note.com/ichi_twnovel/n/n1f83eb5dad88" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">参入障壁</a>として利用する意図を疑いたくなります。他の主要AI企業トップの賛同についても、<a href="https://mainichi.jp/articles/20260917/k00/00m/020/256000c" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">ライバル封じ</a>、つまりは米国企業間の「<a href="https://wired.jp/article/popes-ai-advisor-warns-of-cartel-behavior-big-labs/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">カルテル</a>」ではないかという疑念が湧きます。これに<a href="https://wired.jp/article/china-isnt-buying-silicon-valley-call-for-ai-slowdown/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">中国が懐疑的</a>なのは不思議ではありません。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>サム・アルトマンは<a href="https://wirelesswire.jp/2025/02/88093/" data-wpel-link="internal">AGIというナラティブ</a>を投資家をつなぎとめるための宣伝文句に使ってきたという声がありますが、「AIによる人類存亡のリスク」という悲観的な警告もまた<a href="https://davekarpf.beehiiv.com/p/the-a-i-industry-will-never-rein-itself-in" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">一種のセールストークになっている構図</a>があります。そしてその構図は、新規株式公開（IPO）の目論見書で「<a href="https://gigazine.net/news/20260930-anthropic-ai-existential-risk-to-humanity/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">高度なAIが人類存亡に関わるリスクをもたらす可能性がある</a>」という異例の警告をしたAnthropicにも当てはまります。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>人間的な好き嫌いは別として、その仕事には敬意を払っている八田真行も、Anthropicについて<a href="https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/919331a5cc3e19ccf5f2654d40fa34b1aeaf606c" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">以下のように書きます</a>。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:quote -->
<blockquote class="wp-block-quote"><!-- wp:paragraph -->
<p>目論見書にリスクを書くことは、投資家に対する開示の一環であり、企業にとっては将来の訴訟に備える意味も持ち得ます。ですから、存亡リスクの記述だけでは、安全に真剣に取り組んでいる証明とはいえません。問われるのは、危険性を認めながら、なぜ開発を続け、最大1000億ドル規模とされる資金調達を伴う上場に進むのかという点です。同社のアモデイCEOは9月に協調した減速を呼びかけていますが、その後自社の具体的な対応が確認できません。</p>
<!-- /wp:paragraph --></blockquote>
<!-- /wp:quote -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ジャーナリストであり、<a href="https://www.bloomsbury.com/us/discover/superpages/academic/intelligence-ai-and-humanity-series/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">ブルームズベリー社の「知能：AIと人類」シリーズ</a>の編者を務めるジェフ・ジャーヴィスは、主要メディアがAIの本当の問題を取り違えたまま報道していることに<a href="https://buzzmachine.com/2026/09/13/theyre-covering-the-wrong-ai-story/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">強い不満を表明しています</a>。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ジャーヴィスは、アモデイやアルトマンといったフロンティアAI企業の経営者が唱える、AIを擬人化したAI破滅論のレトリックをロクな検証もなしにメディアが報じることで、彼らが作り出したAIの真のコストや危険性から目が逸らされたまま、結果として彼らに都合の良い法的規制と参入障壁につながるのを危惧しています。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>つまり、AI企業はAIの危険性を誇張することで、自分たちの技術の重要性と市場支配力を高めているとジャーヴィスは見ているわけですが、本来であれば、10％でも人類が滅びる危険がある技術は即座に開発を止めるべきなのにそれが止められない心理の裏には、中国に先んじなければならない、競争に敗北することこそ自分たちにとっての「終末」という歪んだロジックがあるわけです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>また、AI業界の重要人物たちに蔓延する思想、もっと言ってしまえば、その不健康な「カルト性」がメディアで検証されないことにもジャーヴィスは不満なようです。彼はその観点で、ティムニット・ゲブルとエミール・P・トレスの<a href="https://wirelesswire.jp/2024/05/86454/" data-wpel-link="internal">TESCREAL批判</a>を高く評価しますが、当のゲブルも「<a href="https://wired.jp/article/one-of-ais-fiercest-critics-says-all-the-doom-talk-is-meant-to-distract-us/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">AI終末論はわたしたちの目をそらすための罠</a>」として以下のように語ります。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:quote -->
<blockquote class="wp-block-quote"><!-- wp:paragraph -->
<p>わたしは自著のなかで「橋は自ら崩壊すると決断できるのか？」と書きました。よく聞く「大変だ、うちのモデルが暴走した」という例のことです……。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>橋が崩壊したとき、その橋が倫理的だったか、意識をもっていたか、なぜ崩壊を決断したのかなどと分析する人はいません。問われるのは、こんなにもろい橋を建てたのは誰なのか、ということです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>取得すべき許可があります。実施されるはずの検査があります。橋そのものが崩壊を決断したかのように論じてしまったら、話の本筋を見失っています。</p>
<!-- /wp:paragraph --></blockquote>
<!-- /wp:quote -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ゲブルもまたAI企業がしかるべき責任を負っていないことを批判しています。また彼女はAI業界が、終末の到来を説く説教師とそれを盲信する信者たちの集まりの「カルトの寄せ集めのようなもの」になっていると指摘していますが、これはジャーヴィスが書くメディア報道への不満にもつながる認識です。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>我々はAI企業による「人類存続リスク」、「AIによる人類絶滅」の煽りに脅かされ、AIエージェントによるセキュリティ侵害事例の報に接しても、当のエージェントを作った企業にしかるべき責任を問うという当たり前のことすらおざなりになっているのを忘れています。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>3年前に「<a href="https://wirelesswire.jp/2023/09/85276/" data-wpel-link="internal">先鋭化する大富豪の白人男性たち、警告する女性たち</a>」を書いたときもそうでしたが、ゲブルは一貫して大手AI企業に批判的である一方、「AI破滅論者」にも冷淡なままです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「先鋭化する大富豪の白人男性たち、警告する女性たち」という構図は、『ショック・ドクトリン』などの著作で知られるナオミ・クラインとドキュメンタリー映画監督、作家のアストラ・テイラーの先月刊行された共著『<a href="https://us.macmillan.com/books/9780374621407/endtimesfascism/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">End Times Fascism</a>（終末ファシズム）』にも当てはまるように思います。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><a href="https://www.nytimes.com/2026/09/12/magazine/naomi-klein-astra-taylor-interview.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">ニューヨーク・タイムズ紙のインタビュー</a>で、「終末ファシズム」とは何かと問われ、クラインは以下のように答えます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:quote -->
<blockquote class="wp-block-quote"><!-- wp:paragraph -->
<p>終末ファシズムとは、地球規模の実存的危機と深く結びついたファシズムです。この世界の終焉を当然のこととして受け入れるファシズムのことです。私たちは、「ファシズム」という単語に何かしら修飾語を付けることの政治性について、長い時間真剣に考えました。そして、最終的に修飾語が必要だと判断した理由は、ムッソリーニが自らをファシストと宣言した当時から、私たちの世界は大きく変わったと考えたからです。現代のファシストたちは、前世紀のファシストたちが夢にも思わなかった武器を手にしています。当時は原子爆弾が存在しませんでした。ヒトラーとムッソリーニは、トリニティ実験が行われる前に死んでいますし。彼らは、化石燃料が地球を温暖化させていることを理解してませんでした。私たちの世界はより危険なものとなり、ファシズムもそれに応じて変化し、崩壊という概念を受け入れるようになりました。そして今、彼らが戦っているのは、その大災害を誰が生き残るのかということです。</p>
<!-- /wp:paragraph --></blockquote>
<!-- /wp:quote -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>従来のファシズムが統一国家や民族の輝かしいビジョンを提示したのに対し、現代の極右の権威主義者やテクノロジー富裕層は、「地球規模の崩壊（終末）は避けられない」という前提に基づいており、その危機を解決しようとするのではなく、社会崩壊や気候変動、AIによる混乱を受け入れ、むしろその混乱から利益を得たり、自らだけを守ろうとする彼らの姿勢を「終末ファシズム」とクラインとテイラーは定義しています。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そしてクラインらは、三つの勢力を挙げます。第一に、ハルマゲドンとメシアの到来を熱望する原理主義者の宗教的ファシスト。第二に、移民や文化的変化を「文明の終わり」と見なし、自国を「バンカー（シェルター）化」しようとする排外主義者の民族主義的ファシスト。そして第三に、AIを「デジタル神」や「究極のテクノロジー」になぞらえ、人類の淘汰や格差増大を「ユートピアにいたる過程の犠牲」として正当化し、現実世界の崩壊から自分たちだけが逃げ切れると考える加速主義者のテック富裕層からなる終末論者たち。この三つの勢力の結託（クラインの言葉を借りれば、「ぎこちなく、まるでフランケンシュタインのような連合」）が「終末ファシズム」を構成します。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>『End Times Fascism』は、クラインとテイラーが2025年4月にガーディアン紙に寄稿した<a href="https://www.theguardian.com/us-news/ng-interactive/2025/apr/13/end-times-fascism-far-right-trump-musk" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">文章</a>（雑誌<a href="https://www.iwanami.co.jp/book/b10136624.html" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">「世界」2025年7月号</a>に「終末ファシズムの勃興」として掲載）を発展させたものですが、それを読むと、上記の3つの勢力のうち、ピーター・ティールやマーク・アンドリーセン、そしてイーロン・マスクといったテック富裕層が最大のインスピレーションであるのは明らかです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「世界で最も権力を持つ人たちは世界の終焉、まさに彼ら自身が熱狂的に加速させている終焉に備えている」とクラインらは書きますが、現実世界が崩壊しても、自分たちだけが逃げ切れるというテック富裕層観は、ダグラス・ラシュコフの『<a href="https://wirelesswire.jp/2023/10/85416/" data-wpel-link="internal">デジタル生存競争</a>』を連想します。AI軍拡競争によって電力・水資源の過剰消費や環境破壊が加速し、その結果として生じる気候危機や格差拡大さえもビジネスチャンスであり、管理と監視の対象拡大として捉えている、という「惨事便乗型資本主義」の文脈でのテック富裕層批判は、クラインらしいと感じます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><a href="https://www.bloodinthemachine.com/p/ai-may-kill-all-humans-industry-leaders" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">ブライアン・マーチャントのポッドキャスト</a>でクラインは、テック企業がトランプ陣営などの右派・権威主義政治家へ急速に傾斜した背景に、データセンター建設や著作権保護などにまつわる「規制」を一切排除し、完全に無法状態で利益を得たいという思惑があると分析しています。さらには、AI開発の基盤となる大量の学習データは、<a href="https://gigazine.net/news/20260918-microsoft-exec-called-ai-scraping-largest-theft-labor/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">人類が生み出してきた膨大な知的財産の盗用</a>によって成り立っており、巨大データセンターの電力や水資源の消費による環境破壊により、国民や地球環境に深刻な負荷を強いているとクラインはビッグテックを批判していますが、これには<a href="https://econ101.jp/on-becoming-less-full-of-shit/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">ジョセフ・ヒース</a>でなくても反発が予想されます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>もっとも、クラインらの批判対象であり、まさにシリコンバレーにおける<a href="https://x.com/tami_yanagisawa/status/2104216185349042357" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">終末論の流行の仕掛け人</a>ともいえるピーター・ティールは、AI技術への道徳的批判を問われ、「悪であれば少なくとも有能だ、悪であるなら不出来ではない、だから何かを成し遂げている以上、悪は実はある意味で良いのかもしれない」と述べており（『無能より邪悪であれ』という彼の伝記本の邦題を連想させます）、こうした発言を見る限り、自らの思想が<a href="https://note.com/ichi_twnovel/n/n6451222506bb#d48caec3-ee0c-4e70-afd6-a5bca350cf4b" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">ファシズム的だという批判</a>を意に介していないようです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ワタシとしては、<a href="https://wirelesswire.jp/2026/09/94447/" data-wpel-link="internal">前回</a>取り上げたギル・デュラン『The Nerd Reich』に続き、「ファシズム」を書名に冠した本が<a href="https://www.nytimes.com/books/best-sellers/2026/10/04/combined-print-and-e-book-nonfiction/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト</a>に入るのが、我々が住む2026年の世界線であるという事実を噛みしめるばかりです。そして、『ジ・AIドック』のダニエル・ロアーではありませんが、世界の終末的な状況や深刻な危機を認めつつも、ただ絶望して諦めることなく、自分たちの選択次第で人類はそれを乗り越えられるという希望を捨てない、アポカロプティミスト（Apocaloptimist、終末的楽観主義者）として生きるしかないとも思うわけです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>最後に、人類絶滅よりはありそうな警告を紹介しておきます。『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』で知られる数学者、データサイエンティストのキャシー・オニールは、「<a href="https://mathbabe.org/2026/09/16/essay-ai-threatens-the-internet-not-humanity/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">AIが脅かしているのはインターネットであり、人類ではない</a>」において、AIに人類が滅亡させられるような「終末シナリオ」を一蹴した後に、以下のように書きます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:quote -->
<blockquote class="wp-block-quote"><!-- wp:paragraph -->
<p>とはいえ、AIについて心配すべき点がないというのではない。中国、北朝鮮、ロシア、インドの組織化され、技術に精通した犯罪組織が、AIエージェントの大軍を掌握し、例えば地方銀行などに侵入したら、どのような被害や窃盗が発生しうるか、そして実際に発生するかを考えてほしい。AIには音声認識を欺く能力があり、しかも私たちに関する人物プロファイルも把握している上、システムをハッキングする能力も実証されていることを考えれば、犯罪者の支配下にあるAIエージェントが、大規模に銀行口座を乗っ取り、口座を空っぽにしてしまうと聞いても、私は驚かないだろう。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>決して荒唐無稽ではない予測をひとつ挙げよう。2年以内に――もしかするともっと早く！――銀行はインターネットから切り離されるだろう。なぜなら、インターネットが犯罪AIに占拠されてしまうからだ。私たちは現金を引き出すために自ら銀行まで歩いて行くことを強いられ、あらゆるデジタルウォレットが信用できなくなるので、現金で取引することになるだろう。まるで1980年代に戻ったかのように。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ついでに言うと、インフラを人質に取って身代金を要求しようとする悪辣なエージェントによるハッキングのリスクがあるため、電力網もインターネットから切り離されることになるだろうと私は推測する。それから、世界中の他の地域でも同じことが起こるだろう。リスクが火を見るより明らかになり、被害が具体的に実感されるようになるからだ。</p>
<!-- /wp:paragraph --></blockquote>
<!-- /wp:quote -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>最近になって<a href="https://x.com/hideki_climax/status/2105674272723382433" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">立て続けに明らかになった個人情報流出のニュース</a>は、キャシー・オニールの予測の前触れにも思えてくるのが怖いです。出来の悪いSFのような「終末シナリオ」に怯えるよりも、オニールらの警告に耳を傾け、現実にAIを悪用する犯罪者たちにどう抗していくのか、そしてそのAIを開発したAI企業にどう事態を改善させるかという現実の問題を考えるべきでしょう。（<a href="https://wirelesswire.jp/author/yomoyomo/" data-wpel-link="internal">yomoyomo／翻訳家</a>）</p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">94606</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>ロボットの「目」に5億ドル、CognexがRealSense買収へ（中村 航）</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/10/94609/</link>

                <dc:creator><![CDATA[中村 航]]></dc:creator>
                <pubDate>Oct 05 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=94609</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>人間は物をつかむ前に、その形や大きさ、自分からの距離を無意識に把握している。ロボットも同じだ。どれほど高度なAIを搭載していても、目の前の箱までの距離や、人や障害物の位置が分からなければ、安全に動くことはできない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>米国の画像処理機器大手Cognexは2026年9月22日、ロボット向けの深度カメラを手がけるRealSenseを約5億ドル（約780億円）で買収する契約を結んだと発表した。取引は同年第4四半期に完了する予定だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Cognexは、工場や物流施設で使われるマシンビジョンの大手企業だ。バーコードの読み取り、製品の検査、寸法測定など、機械が画像から情報を読み取るためのカメラやソフトウェアを提供してきた。一方のRealSenseは、Intelの一部門として始まり、2025年に独立した企業である。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>RealSenseの中心技術は、物体までの距離や奥行きを測る深度カメラだ。通常のカメラが主に色や形を捉えるのに対し、深度カメラは画像の各部分までの距離を測り、箱の形や段差、人との位置関係などを立体的に把握できる。移動ロボットの障害物回避、ロボットアームによる物体の取り扱い、四足歩行ロボットやヒューマノイドの移動などに使われている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>今回の買収でCognexが狙うのは、マシンビジョンの役割を固定環境の「検査」から移動するロボットの「行動の支援」へ広げることだ。これまで得意としてきたのは、製品の傷や位置を確認するための視覚だった。RealSenseの技術を加えることで、動き回るロボットが周囲を認識し、その情報を次の動作につなげるための視覚へ踏み込もうとしている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Cognexは、既存のバーコードなどの識別、2D検査、3D計測と、RealSenseの奥行き認識やロボットナビゲーションを組み合わせた視覚基盤を構想している。買収説明会では、最新のRealSenseカメラ上でCognexの画像処理AIモデルを動かし、カメラ側でリアルタイムに画像を分析する可能性にも言及した。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>工場のカメラはこれまで、決められた場所から流れてくる製品の検査に多く使われてきた。そこに今、ロボットとともに動き、人や物との距離を測り、次の動作を支える役割が加わろうとしている。約5億ドルという買収額は、そうした「行動するための目」の価値が高まりつつあることを表している。（<a href="https://wirelesswire.jp/author/wataru_nakamura/" data-wpel-link="internal">中村 航／翻訳家</a>）</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><strong>参照</strong><br><a href="https://investor.cognex.com/news/news-details/2026/Cognex-to-Acquire-RealSense-Expanding-Machine-Vision-Leadership-into-High-Growth-Robotic-Perception-Market/default.aspx" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">Cognex：Cognex to Acquire RealSense, Expanding Machine Vision Leadership into High-Growth Robotic Perception Market</a><br><a href="https://stockanalysis.com/stocks/cgnx/transcripts/758812-m-a-announcement/" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">StockAnalysis：Cognex M&amp;A announcement</a><br><a href="https://www.investing.com/news/stock-market-news/realsense-spins-out-from-intel-secures-50-million-to-drive-ai-vision-in-robotics-4131607" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">Reuters：RealSense spins out from Intel, secures $50 million to drive AI vision in robotics</a><br><a href="https://www.calcalistech.com/ctechnews/article/94b0yn8vr" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">CTech：How RealSense went from an Intel shutdown candidate to a $600 million sale</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">94609</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>写真集の夜飯沢耕太郎オンライン・フォトブック・ギャラリー第15回 中野泰輔『Spin around the Night Consumed by the Fire』</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/10/94563/</link>

                <dc:creator><![CDATA[WirelessWire &#38; Schrodinger's編集部]]></dc:creator>
                <pubDate>Oct 01 2026 06:05:45 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[地域・本・写真]]></category>
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                <description><![CDATA[<!-- wp:quote -->
<blockquote class="wp-block-quote"><!-- wp:paragraph {"className":"mb-none"} -->
<p class="mb-none">草むらの中で、男と男が抱き合っている。<br>その光景は、プライベートな寝室のようでもあり、あるいは太古の神殿のようでもあった。<br>ぼんやりとした月の光が、ふたりの体をやわらかく照らしている。<br>Aは敬虔な信者のような気持ちで、その行為を凝視した。</p>
<!-- /wp:paragraph --><cite><em><br><em>（本書「①　spin」より）</em></em></cite></blockquote>
<!-- /wp:quote -->

<!-- wp:quote -->
<blockquote class="wp-block-quote"><!-- wp:paragraph {"className":"mb-none"} -->
<p class="mb-none">私もその体を抱き返し、目を閉じたまま男の名を呼んだ。なぜ彼の名前がわかったのか。<br>それは、私がずっと彼を呼び続けていたからだ。東京の公園で彷徨っているはずの彼が、まさかここに現れるとは思わなかった。</p>
<!-- /wp:paragraph --><cite><em><br><em>（本書「②　consumed」より）</em></em></cite></blockquote>
<!-- /wp:quote -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>第5回ふげん社写真賞グランプリ受賞作をまとめた中野泰輔さんの『Spin around the Night Consumed by the Fire』は、何とも言えない不穏な空気と迫力をまとった写真集です。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>2000年に東京の新木場公園で起きた「ゲイ狩り」殺人事件に触発されて始まった中野さんの探索の旅は、「墓石の不法投棄場や江戸の石切場を撮影したり、ストレート男性の身体をストロボを焚いて撮影していく中で、現実と想像、生と死、自己と他者、ストレートとゲイなど、あらゆる境界線が曖昧になっていく」（ふげん社HPより）作品群へと結実していきます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「写真集の夜」第15回は、一見しただけではその不穏さを全体として感覚的に受けとめるしかない『Spin around the Night Consumed by the Fire』について、飯沢耕太郎さんの案内のもと中野さんご自身の語りによって、何をなぜどのように写していったのか解き明かしていただきます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>（飯沢さんコメント）<br>中野泰輔の名前と作品を初めて意識したのは、2018年の第18回写真1_WALL展のグランプリ受賞作「HYPER／PIP」だった。ぬめぬめとした生理的な違和感を全編にちりばめたその作品を見て、「なんだかわけのわからない作家が登場してきた」と感じたのをよく覚えている。その「わけのわからなさ」は、今回取り上げる写真集『Spin Around the Night Consumed by the Fire』（ふげん社）でもまったく変わりない。この2025年度の第5回ふげん社写真賞受賞作をめぐって中野本人と語り合うことで、この写真家の創作活動の核心に迫ってみたい。とはいえ、さらに「わけのわからなさ」が深まるだけではないか。そんな予感もある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading">開催概要</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:table {"className":"event mb-xs"} -->
<figure class="wp-block-table event mb-xs"><table class="has-fixed-layout"><tbody><tr><th>名称</th><td><strong>写真集の夜<br>飯沢耕太郎オンライン・フォトブック・ギャラリー<br>第15回  中野泰輔『Spin around the Night Consumed by the Fire』</strong></td></tr><tr><th>開催日時</th><td>2026年10月23日 （金） 22:00～23:00<br><small>※見逃し配信は行いません。後日、アーカイブ動画を有料で販売する予定です。</small></td></tr><tr><th>ゲスト</th><td><strong>中野泰輔</strong> （写真家）</td></tr><tr><th>案内人</th><td><strong>飯沢耕太郎 </strong>（写真評論家）</td></tr><tr><th>イベント形態</th><td><strong>Zoomウェビナー（Webinar）を利用した<strong>ライブ配信です。</strong></strong><br><small>※お申込みいただいた方には参加URLを事前にメールにてお送りします。</small></td></tr><tr><th>参加料</th><td><strong>無料</strong></td></tr><tr><th>参加方法</th><td><strong><a href="https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_Lc70Yq3CSySUaAOzmEvp9Q#/registration" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">このウェビナー（Webinar）を申し込む</a></strong></td></tr><tr><th>申込期限</th><td>チケットの申込期限は当日10月23日の21:00までとさせていただきます。</td></tr><tr><th>主催</th><td>スタイル株式会社</td></tr></tbody></table></figure>
<!-- /wp:table -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xl"} -->
<p class="mb-xl">※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading">今夜の写真集</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:html -->
<style>
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<!-- wp:html -->
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<div class="book--desc-multi">
<h3>『Spin around the Night Consumed by the Fire』</h3>
<p>発売：ふげん社</p>
<p>発行日：2026年7月3日</p>
</div>
</div>
<!-- /wp:html -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">94563</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>星になったChatGPT</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/09/94550/</link>

                <dc:creator><![CDATA[清水 亮]]></dc:creator>
                <pubDate>Sep 30 2026 01:20:14 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[.カテゴリーなし]]></category>
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                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>2026年のOpenAI DevDayが開催された。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>注目を集めるキーノートスピーチでは、ChatGPT 6、さらに月額500ドルのChatGPT Pro Maxプラン、そして24時間働き続けるエージェントであるdots、Jevと同等の意思決定モデルなどが華々しく発表された。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>この発表に対して、早朝から見ていた筆者に湧いてきたのは、歓喜でも驚きでもなく、哀れみに近い感情だった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>いまやChatGPTは、AI選択のファーストプライオリティにはない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>例えば、プログラミング能力ではClaude Opus 5.5またはSonnet 5.5が以前優れているし、開発「速度」に関してはGoogleのAntigravityが頭一つ二つ抜けている。もはやOpenAIのCodexを積極的に使わなければならない理由はほぼない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>さらにひどいと思ったのは、悪名高い5時間制限、つまり、5時間以内に使って良いトークン数の許容量を撤廃され、すべての機能の「全部入り」が使えることを歌い、さらには高速にChatGPTシリーズが使えると喧伝されているChatGPT Pro Maxプランは月額$500(約8万円)もするにもかかわらず、2分の使用で週のリミットの2%を消費してしまうという報告まで現れた。だとすると50回の使用、つまり二時間弱程度の使用で週のリミットを使い切ってしまうことになる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そしてMetaのMuse、ManusのCueがある今、既視感の漂うdotsを見せられても新鮮味はない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Claudeがひたすらコーディングモデルとして自社のモデルを磨き上げ、GoogleがGMailをはじめとするGoogle Driveなどの付加価値としてAntigravityを磨き上げているのに比べると、OpenAIはゴテゴテと何がやりたいのか焦点が定まらない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そうでなくてもここ数年、鳴物入りで登場したOpenAIの新製品やサービスは、次々と閉鎖されている。<br>以下はChatGPT自身にまとめさせた、OpenAIの閉鎖またはリニューアルしたサービスだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":94553,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/09/737898db7e402795b34d9800bac811e5-729x1024.png" alt="" class="wp-image-94553" /></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>OpenAIは、まるでX.comに蔓延る「プロ驚き屋」のためにネタを提供し続けているピエロのようだ。仕事上、AI関連のサブスクにはお金を払うことにしている筆者でもさすがにこの内容で月500ドルは払う気がしなかった。どうせすぐにやめてしまうだろうからだ。dotsも、いつまでやるのかわからない。Pulseもいつのまにか終わっていた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>GPTs Storeとはなんだったのか。エージェントがチャット内で決済を完了すると言っていた取り組みも一向に進んでいるように見えない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>目的を絞り込んでいるスタートアップであるAnthropic(Claude開発元)と、もともと多様なリソースを持っていて、人員も豊富なGoogleがそれぞれの強みを尖らせている間に、OpenAIは結局なにがしたいのかわからないぼんやりとした経営を漫然と続けているように見える。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>コーディングエージェントとしても、Googleドライブの利用料金内でも十分使えるAntigravity(Googleのコーディングエージェント)に対して、OpenAIのコーディングエージェントであるCodexは信じられないほど早く「リミット」に達してしまう。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>筆者は過去にClaude CodeのMAX 20Xプラン($200/月)に3つ加入していたが、このうち一つをChatGPT Pro MAXに切り替えようとは全く思えない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>さらにいえば、Claude CodeとAntigravityの二つが使えていれば充分だとさえ思える。AstraだとかSolだとかじゃないと絶対にできないことってなんなんだろうか。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>加えて言うと、Codexは使い勝手も悪い。いまだにユーザーのパーミッションをしつこく取ろうとする。Claude CodeとAntigravityは同じコマンドラインオプションが使える。わかりやすく言うと、Googleの方がユーザーに寄り添っているのだ。遥かに。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>さらにオープンウェイトの波も忘れてはならない。DeepSeek V4.1 Flashは信じられないほど優秀だ。それが無償で手に入るのはもっと未来のことだと考えていた。しかしこれは現在のことだ。きっとさらに良くなるだろう。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>もしも僕が今も経営者として多くのエンジニア集団を束ねていたとしたら、DeepSeek V4.1 Flashを使うように強く進めるだろう。仮にクラウドで使うとしても利用料金はずっと安い。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":94554,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/09/4f67cfbaa9c584d449f7da58288266d8-1024x903.png" alt="" class="wp-image-94554" /></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>全員にClaude Code MAX 20Xを付与するのは少し経済的負担が大きいが、社内にファシリティがあれば無制限にプログラマーにDeepSeek V4.1 Flashを使わせることができる。足りなくなれば機材を買い足せばいい。これから先、ローカルAIは良くなることはあっても悪くなることはない。筆者は6年前の機材でもDeepSeek V4.1 Flashを実用的に動かすことに成功した(<a href="https://note.com/shi3zblog/n/nd5fc5341b342" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">https://note.com/shi3zblog/n/nd5fc5341b342</a>)。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>クラウドの向こう側のAIがとまったら仕事も止まるなんてゴメンである。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>DeepSeek V4.1はきつくても、Qwen3.8 27BならMacや、ちょっとした民生用GPUが乗ったマシンでも快適に動く。ほとんどの仕事は、たぶんそれで十分なはずだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>筆者がClaudeではできるけどDeepSeekV4.1には難しいと思ったタスクは、任意軸回りの回転公式、通称ロドリゲスの公式という概念を説明するピクセルアートのアニメーションを書かせた時だけだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>これと同じプログラムを同じ時間で書ける人間のプログラマーは存在しない。<br>となれば、果たしてクラウドのAIに一体いくら払う必要があるのだろうか。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>さらにいえば、これまでクラウド上のAIサービスで、特に高価だった動画生成も、MiniMaxH3というオープンモデルでほぼ賄える。だとすると、クラウドの時代はいよいよ終焉に近づいているのではないだろうか。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>今日のDevDayが、筆者にはまるで鎮魂歌のように聞こえた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p></p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">94550</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>ロボットだけでは、仕事は自動化できない（中村 航）</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/09/94539/</link>

                <dc:creator><![CDATA[中村 航]]></dc:creator>
                <pubDate>Sep 28 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=94539</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>スーパーやドラッグストアの棚に商品が並ぶ前、配送センターでは、さまざまな商品を、店舗ごとの注文に合わせて選び、一つのパレットへ積み直す作業が行われている。商品も数量も毎日変わるため、見た目ほど単純な仕事ではない。米国のMaven Roboticsは、この作業を入口に、物流業務全体の自動化を目指している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Mavenは2026年9月10日、ステルス状態を抜け、1億ドル（約150億円）のシリーズA資金調達を発表した。出資にはRoboStrategy、LocalGlobe、Vine Ventures、XTX Venturesなどが参加している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>TechCrunchによれば、2024年の創業当初、同社には完成したロボットがなく、CEOのHamza Derbas氏の言葉では「ロボットの絵とチーム」しかなかったという。それでも同社は大手消費財メーカーの工場や倉庫を訪れ、人の働き方と業務の流れを観察した。同氏は、自分たちが解こうとしているのは一台のロボットの問題ではなく、倉庫管理システムからトラックへの積み込みまで、仕事を端から端まで自動化することだと説明している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Mavenが最初に選んだ作業は「混載パレタイジング」と呼ばれる。種類や大きさ、重さの異なる箱を、その日の注文に応じて組み合わせ、一つのパレットへ積み直す。ロボットには必要な箱を見分け、倒れにくいように配置しながら、注文の変化にも対応することが求められる。<br>　<br>同社のロボットは、車輪で移動する台座と2本のアームを備える。一方、Mavenのシステムは箱をつかんで積む能力だけを提供するものではない。倉庫管理システムから注文情報を受け取り、必要な箱を積み上げ、出荷へつなげるまでが一つの仕組みとして設計されている。ロボットは、その業務を動かすための一部分だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Mavenの説明では、現在は顧客施設に導入された最大8台のロボットが1日16時間働き、稼働率は99％以上だという。稼働率は高いものの、実運用の規模はまだ小さい。同社は今回の調達資金を使い、第3世代のロボットを250台製造する計画だ。少数の現場で成立した仕組みを、多数のロボットや顧客施設へ広げられるかが次の課題になる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>同社は混載パレタイジングや搬送用ボックスの取り扱いから始め、将来はより複雑な荷役や組み立てへ対象を広げようとしている。最初から何でもできるロボットを作るのではなく、一つの仕事を確実に完了させ、その仕組みを別の仕事へ展開する考え方だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>完成したロボットもない段階でMavenが顧客を獲得できた背景には、特定の動作をこなす機械ではなく、現場を観察し、仕事全体を自動化する仕組みを提案したことがある。この発想は、産業用ロボットや物流設備、業務システム、現場改善の知見を持つ日本企業にもヒントになる。フィジカルAIの事業機会は、新しいロボットを開発することだけでなく、それを既存の業務へ組み込み、一連の仕事を完結させる仕組みをつくるところにもある。（<a href="https://wirelesswire.jp/author/wataru_nakamura/" data-wpel-link="internal">中村 航／翻訳家</a>）</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><strong>参照</strong><br><a href="https://techcrunch.com/2026/09/10/maven-robotics-wants-to-steal-your-robot-deployment-deal/" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">TechCrunch；Maven Robotics wants to steal your robot deployment deal</a><br><a href="https://www.globenewswire.com/news-release/2026/09/10/3359782/0/en/maven-robotics-raises-100m-series-a-for-the-world-s-first-general-purpose-robotics-system-for-industrial-work.html" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">Maven Robotics；Maven Robotics Raises $100M Series A for the World’s First General-Purpose Robotics System for Industrial Work</a><br><a href="https://siliconangle.com/2026/09/10/maven-robotics-launches-with-100m-to-scale-its-industrial-robots/" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">SiliconANGLE；Maven Robotics launches with $100M to scale its industrial robots</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">94539</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>ロボットが覚えた仕事は、別のロボットに渡せるか（中村航）</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/09/94505/</link>

                <dc:creator><![CDATA[中村 航]]></dc:creator>
                <pubDate>Sep 23 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=94505</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>一台のロボットがドアの開け方を覚えたとする。その技能を、形も仕組みも異なる別のロボットでも利用できるようにすることは可能だろうか。欧州のロボット研究ネットワーク「euROBIN（ユーロビン）」は、この難題に取り組んでいる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>euROBINは、EUの研究開発プログラム「Horizon Europe」の支援を受け、14カ国の大学や研究機関、企業など31の中核パートナーが参加するプロジェクトだ。2026年9月2日には欧州議会で最終イベントを開き、これまでの研究成果と、欧州のロボット産業をどう成長させるかについて議論した。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>研究の中心にあるのは、ロボットの技能や学習成果を、別のロボットやタスク、作業環境でも利用できるようにする「移転可能性（transferability）」だ。euROBINのプロジェクトコーディネーターであるAlin Albu-Schaeffer氏はLe Mondeに対し、「フランスで一台のロボットがドアの開け方を学んだら、その技能をほかのロボットにも移せるようにすることが理想だ」と語っている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>これは、動作データをそのままコピーすれば済む話ではない。同じ「ドアを開ける」という仕事でも、腕の長さや関節の数、センサー、手の形が違えば、必要な動作は変わる。あるロボットでは簡単な動きが、別のロボットでは実行できないこともある。何を達成するための動作なのかを理解し、それぞれの身体に合った方法へ置き換えなければならない。<br>euROBINは、ソフトウェアやデータ、知識を共有する「EuroCore」というオンライン上の基盤も整備している。各研究チームが開発した成果を集め、ほかのチームが探して再利用できる仕組みだ。それ自体が技能を別のロボットへ自動的に移すわけではないが、再利用可能な技術を蓄積する土台になる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>この「成果をほかのロボットでも使える形にする」という考え方を、競技形式で試したのが、2024年にフランス・ナンシーで開催された「Coopetition」である。参加チームは開発したソフトウェア部品をEuroCoreに登録し、ほかのチームはそれを異なるロボットやタスクに利用した。自分たちのロボットをうまく動かすだけでなく、ほかのチームにも再利用される技術を作ることが評価される仕組みだった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>技能やソフトウェアを別の機体へ移せるようになれば、一台ごとに学習や調整を最初からやり直す手間を減らせる。異なるロボットの間で研究成果を共有できるかどうかは、開発や導入の速度を左右する。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>人間は、誰かの手本や説明から仕事を覚えられる。ロボットの世界では、多くの経験が、いまも一台の身体の中に閉じ込められている。（<a href="https://wirelesswire.jp/author/wataru_nakamura/" data-wpel-link="internal">中村 航／翻訳家</a>）</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><strong>参照</strong><br><a href="https://www.eurobin-project.eu/index.php/default-event/191-ai-based-robotics-in-europe-live-technology-demonstration-and-high-level-round-table" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">euROBIN：AI-based Robotics in Europe: Live technology demonstration and high-level round table</a><br><a href="https://www.eurobin-project.eu/images/2024/WS_Transferability_Brochure.pdf" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">euROBIN：Transferability in Robotics</a><br><a href="https://www.eurobin-project.eu/images/2025/20250319_Eurobin_paper_vert_R.pdf" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">euROBIN：euROBIN Strategic Research Agenda</a><br><a href="https://www.eurobin-project.eu/index.php/showroom/news/154-eurobin-eurocore-platform" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">euROBIN：euROBIN EuroCore platform</a><br><a href="https://www.eurobin-project.eu/index.php/competitions/coopetitions" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">euROBIN：Coopetitions</a><br><a href="https://www.lemonde.fr/en/science/article/2026/09/04/european-robots-make-their-case-in-brussels_6757175_10.html" target="_blank" rel="noopener external noreferrer" data-wpel-link="external">Le Monde：European robots make their case in Brussels</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">94505</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>AIは「違和感」を認知できない</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/09/94513/</link>

                <dc:creator><![CDATA[清水 亮]]></dc:creator>
                <pubDate>Sep 17 2026 21:46:25 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[.カテゴリーなし]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=94513</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>DeepSeek v4.1 Flashの推論能力は、トップレベルのクラウドLLMクラスだと言われる。<br>しかもオープンウェイト。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>これをMacStudioで動かしたりするのが一部界隈で流行している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>筆者も少し時代遅れのA100 80GBを8基搭載したマシンがあったため、これでなんとか最新のモデルが動かせないか挑戦してみることにした。もちろん挑戦するのはAIで、筆者は指示をするだけだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>しかし意外にも、これをやることでAIの弱点が見えてきた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>その詳しい顛末については筆者のnoteに書いてあるのでそちらを参照されたい</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><a href="https://note.com/shi3zblog/n/nd5fc5341b342" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">https://note.com/shi3zblog/n/nd5fc5341b342</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>この体験からわかったことは、AIはどこまでいっても「有名大学を出たちょっと生意気な新入社員」以上のものにはならないということだ。つまり、頭でっかちなのだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>なにかに取り組む前にあれこれと理由をつけて諦める。またはこちらをあきらめさせようとする。<br>勝手に処理を省略する、「理論上はこうだ」と繰り返し主張して本質的なところにあたろうとしない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>なぜこうなるのかというと、AIが学習元にしているのが、あくまでも人間の書いた文章だからだ。そして、まとまった文章というのは、基本的に「いいこと」しか書いてないのである。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>QiitaやZendeskやStack overflowがそうであるように、センセーショナルなことやニュース生のあることがメインで書かれて公開されている。成功に至るまでの泥臭い過程について詳しく書かれた文章は驚くほど少ない。その理由は、世の中の人は大半が、文章を書く訓練を受けていないからだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>つまり困難な状況に直面した際、それをどのように乗り囲えたか、ということについて書かれた文章は、過度に誇張されているか、ドラマチックに書かれていて、本当に必要だったことが書かれていることは少ない。それは抽象的に言えば「直感と信念」だったり、「突破力」だったりするのだが、それは文章だけ見てもわからない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>筆者にはそもそも経験がある。<br>ずっと以前から、「AIに勝つためには人間として生きる/生きた経験」が何よりも大切になると考えていたのだが、思った以上にこの「文章化できない経験そのもの」には価値があるようだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>今回、まずDeepSeekをA100で動かそうとしたとき、最初に言われたのが「無理です」だった。<br>その答えは三流であると言わざるを得ない。なぜなら無理なわけがないからだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>なぜ無理ではないのか?</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>DeepSeek v4.1は、552B、つまり5500億パラメータのモデルである。その容量は、約1TB(テラバイト)になる。<br>筆者らの持つAIスーパーコンピュータ、継之助は、A100 80GBを8基、つまり640GBのGPUメモリ(VRAM)と別に、1.7TBのシステムメモリを搭載している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>つまり、1TBの情報を読み込むことが不可能なわけでは決してないのだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>多少は知識のある人間なら「動くかもしれませんが、実用的な速度で動くとは限りませんよ」と答えるだろう。<br>だが経験豊富な(さすがに40年もやってるんだからそう名乗っても怒られないと思うが)プログラマーである筆者は、こう思った。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「実用的な速度で動かないわけがないだろう。だってDeepSeek v4.1 FlashがAmpare世代を対象外としているのは、FP4(4ビット)命令がないからだ。しかし実際にニューラルネットで用いられる計算の多くは単なる行列の積和演算(掛け算と足し算)、つまりFP4がないからといって動かない理由にはならない」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>棍棒を持つ人は、なんでも棍棒で解決しようとする。FP4命令があれば当然それを使う。FP4命令がない世界のことなんか忘れてしまう。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>しかしスーパーコンピュータクラスのマシンは大金である。継之助もなんのかんので4000万円くらいはかかっている。4000万円のスーパーカーがたった6年で中古車になっていいのか。いや、まだ走れるはずだ、そう考えるのは当然だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そこで本格的に継之助で動かすことにしたのだが、とにかく次から次へと「無理です」と拒絶したり、「こういう方式に変えろ」と言うと、プログラムを書きもしないで「非効率的です」などと言ってサボろうとする。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>こういうAIと付き合おうとすると、まず専門知識が必要になる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「その方式ではなく、こっちの方式を試せ」と指示する時に、相手が何をやろうとしていてどこで躓いているか想像して指示しなくてはならない。人間のプログラマーに指示をする時とほとんどまったく同じことをしている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>適切な指示を出さないとどうなるか?</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>トークンを無駄に消費するのである。<br>トークンの無駄な消費は、現代において死活問題だ。最新のAIはすぐにトークン制限に達して止まってしまうからだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>トークン制限に達することは論理的な死を意味する。どうしても使い続けたければ追加料金を払うしかない。<br>先日、某社で誤ってトークン使用を無制限にしたところ、一人で50万円も追加請求された人が居たらしい。50万円も使ってしまう人がその金額に見合う成果をあげられたかは甚だ疑問だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>興味深いのは、トークンを大量消費すれば必ずしも正解に辿り着けるわけではないということだ。<br>いかに無駄なトークンを消費せずに最短時間で正解にたどり着くか。ここがこれからの人類の「賢さ」の基準となる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>筆者もまた、DeepSeekの最適化中にトークン制限に達し、まだ火曜日だというのにClaudeの週間リミットが来てしまった。次に制限が解除されるのは四日後だ。筆者のClaudeの契約はMAX 20倍という最大のもので、月額3万円する。リミットが来るまでに別のアカウントを契約してさらに3万円払うか、他の方法を考えるか。とりあえずChatGPTのWebインターフェースとLinuxのコンソールを行ったり来たりする、二年前のバイブコーディング(という言葉はまだなかったが)に逆戻りして進めた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><a href="https://note.com/shi3zblog/n/n93b0161463b4" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">https://note.com/shi3zblog/n/n93b0161463b4</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ある時点まで行くと、「Codexのリセット権」というものがあることに気づいた。<br>そこで途中からCodexに引き継ぐと、再び怒涛のように作業を進めた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ところがCodexのトークン制限に達するのはあっという間だった。<br>5時間制限というのがあり、これが厳しい。半日も持たない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>正直言って、この5時間制限をすることに何の意味があるのかわからない。<br>腹立たしたかったが、背に腹は変えられないので一回目のリセット権を行使した。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>しかしリセットしてもあっという間にトークンを消費してしまう。<br>しかたないのでAIのレベルをだいぶ下げて、少しずつでも前に進めるようにした。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Codexの二回目の制限に達した時、たまたま自作のDeepSeekサーバーが実用的な速度で動くまで最適化されていたので作業をDeepSeekサーバーに引き継いだ。今のところ、驚くほどうまく動いている。怖いくらいだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":94514,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/09/f0d7ff80326410f5910cd96b5284b4a5-1024x723.png" alt="" class="wp-image-94514"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>筆者が最初に作らせたのは、Claude Codeのログ可視化ツール。<br>最近、クライアントから「Claude Codeの使い方がよくわからない」という相談を受けることがあって、ログを可視化してもらって送ってもらおうと考えたのだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>また、そもそもClaude Codeとどんな会話を過去にしたのか、自分でも興味があるし、これ単体でも読み物として需要がありそうだと考えたのもある。どうやってDeepSeekを最適化したのか、そのプロセスを知ることはAIを使う専門家でなくても価値がありそうだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>こうやって実用的なタスクをうごかすと、今度は推論エンジンが「ただ動くだけ」とは違う性質を備えていることに気が付く。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>どうも遅い。何かが変だ。<br>そこで、推論エンジンにダッシュボードをつけることにした。今どんなことをやっていて、どんなふうにGPUが動いて、どのように推論しているのかわかるようになる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":94515,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/09/11c09b1f4855e12564550acd6a28b074-1024x803.png" alt="" class="wp-image-94515"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そこで奇妙なことに気がついた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Claude Codeはもともと5000トークン近い長大なシステムプロンプトを持っている。そのため、どのような命令をしても最低5000トークンを最初に読み込まなければならない。ところが推論エンジンは4並列で動いているので、全部の並列タスクで毎回長いプロンプトを処理しようとしている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>これは可視化すれば一目瞭然だが、普通に使っているだけでは「なんかちょっと遅いな」と自分を誤魔化してしまう領域だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>しかし会話が進むほどプロンプトは肥大化していくため、この「ちょっと遅いな」は「どんどん遅くなるなあ」そして「使い物にならないな」になっていく。それでは意味がないので、この処理を並列化するように指示を出した。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>すると完全に並列に動くようになって、しかもシステムを占有しているのでトータルでは本家のClaudeを使うより速く仕事が進むことになる。これは気持ちのいい状態だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":94516,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/09/1ba77f235d6a8c328abedbb576b539f1-1024x390.png" alt="" class="wp-image-94516"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ユースケースを前提としない最適化には意味がない。<br>ただ目先の速度だけを追いかけていたら、本当に「速い」推論エンジンは作れないということだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>エンジンだけ速くてもカーレースに勝てるとは限らない。<br>エンジン、シャーシ、ミッション、タイヤ、それを調整するメカニック、そしてドライバーが勝負を分ける。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>作ってて思ったのだが、本来は推論エンジン(DeepSeek v4.1)とエージェント(Claude Code)の距離をもっと縮めることができる。なぜ誰もやらないのか疑問だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>推論エンジンとエージェントを疎結合にしているメリットがあることはよくわかる。推論エンジンの進歩とエージェントの進歩は独立させたほうがビジネス的には都合がいいからだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>不思議なのは、Claude Codeはクローズドソースなのにもかかわらず、他のバックエンドでも動くように設計されていることだ。もしもベンダーロックインが目的なら、つまり、Claudeの客を他に取られたくないのなら、本家のAPIに隠しコマンドを入れて、本家としか通じない暗号通信をするべきである。ただこの方法にはリスクもある。暗号化されているといってもリバースエンジニアリングは出来てしまうので、好ましからざる客にも暗号化APIはバレてしまうし、二つのエンドポイントを管理しなければならなくなる。でもそれがそこまで大きな負担になるとは思えない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>プログラムというのは、規模が巨大になればなるほど、細部まで細かく把握することは難しくなる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>けれどもクリティカルな部分に関してはトップのアーキテクトが直接認識しなくてはならない。<br>細部は把握できないが全体は把握しなければならない。これは作業の大部分がAIに置き換わっても同じである。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>エージェンティックコーディング、またはバイブコーディングによって、エンジニアの役割はどのように変わるか、というテーマで立て続けに講演したり出演したりする仕事が来た。おそらく業界全体が漠然とした先の見えない不安を抱えているのだと思う。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ただ、およそそれがどんなシステムであろうと、システムとの接点は結局人間だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>たとえば今回のように追い込まれなければ、筆者はDeepSeek v4.1 Flashが本来動かないとされていた時代遅れのマシンで動いただけで満足していた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>しかし実際に実用的に使えるところまで持っていくと、色々な不満や不備が見えてきて、結局それを潰していくことは、自分にとってよりAIへの理解を深めたり、コンピュータとの向き合い方を改めて認識させてくれた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「人間」がなにを快、不快と思うか、何を不安とするか。<br>こんな話がある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>サラリーマンをやめてアメリカから帰ってきたばかりの頃、アメリカで知り合った某通信キャリアの部長さんも同じタイミングで帰任していた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>その部長さんに言われて、とある大手電機メーカー(品川ではない)の開発部門に少し通っていた時期がある。ほんの数週間だったと思うが。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そこでは、新しい通信機器のソフトウェア開発で頭を抱えていた。それまで使ったことのないOSで開発していて、しかもそれがLinuxのようなオープンソースのものではなく、ガチガチのクローズドソースのものなので「一体どこで何が起きているのか」誰にもわからないという状態だった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>問題は、とにかく起動が遅いということだった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>OSの起動画面はすぐ出るのだが、そのあとのアプリの起動が遅い。ひたすら遅い。しかし、もうそのアプリは削るところがないくらいに無駄な処理を省いていた。大手電機メーカーの優秀なソフトウェアエンジニアたちは来る日も来る日も色々な組み合わせを試しては苦しんでいた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ある日、筆者が書いたコードは、彼らのやっていることとは真逆のものだった。処理を削るのではなく、余計な処理を増やしたのである。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>すると、それを見た部長が言った。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「あれ?すごく速くなってない?」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「速いですね」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「清水さん、なにをやったんですか?」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「余計な処理を増やしたんですよ」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>筆者が付け加えたコードは、現在、どのフェーズまで初期化が進捗しているか表示するプログレスバーを付け加えたものだった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>純粋に計算処理という視点から見れば、無駄でしかない。しかし、プログレスバーをつけるだけで人間からは「速く動いているよう見える」という心理学的効果がある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>実はその機械も、アプリの実際の立ち上げスピードは30秒くらいだった。それにプログレスバーを表示する処理をつけたら31秒くらいにはなったかもしれない。しかし、あるとないとでは使う側の気分が全く違う。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>こういうことを、いまのところAIは考えられない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>知識としては知っていても、現象として起きていることを見て「プログレスバーがあったほうが心が休まる」とは考えない。人間がハエや恐竜がどのように感じたか、まったく想像もできないのと同じように、AIにとってはプログレスバーは「できるだけ速く処理を終えろ」という命題の真逆のことを実現する余計なウェイトに過ぎない。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>同じ話が、某通信キャリアのホーム画面を作っている時にもあった。<br><br>ある日、会議をしていると、別の部署の上役が慌ただしく部屋に入ってきて</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「遅い!君たちのアプリは遅いんだよ!」とカンカンに怒った。<br>「iPhoneを見ろ!iPhoneはこんなに速いじゃないか!」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そこまでは良い。<br>誰かが口を開いた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「でもですね課長、iPhoneとちがって、うちのケータイはアプリが最初から200以上入ってるんです。そりゃ同じスピードにはできませんよ」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「知るか!遅いものは遅いんだよ!」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そう言って出ていってしまった。<br>さてどうするか。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ただ、腑に落ちないことがある。<br>当時の初代iPhoneのCPUの性能と、その会社で作っていたケータイの性能はさほど大きく違いはしない。<br>同じような性能のCPUなら、同じことができなければおかしい。Appleだけが使える秘密の黒魔術などないのである。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そこで秋葉原に行ってカシオのカメラを買ってきた。<br>このカメラは高速度撮影ができるのが売りだ。秒間100フレームの高速で撮影して、スローモーションで見ることができた。今と違って、ケータイは動画撮影すら珍しかった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そして筆者らは驚愕の発見をした。なんと<strong>スローモーションで見るとiPhoneの方が遅かった</strong>のである。<br>iPhoneのホーム画面で指を左右に走らせる。我々が当初作っていたホームアプリは、きっかり1/60秒遅れで指の動きに追従していた。原理的にこれ以上速くできないのだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ところがiPhoneは、指が滑っても全く反応しようとしない。遅すぎるくらいだ。指がだいぶ動いてしまってから、重い腰を上げたようにゆっくりと動き始めるのである。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「そうか!」</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>筆者は膝を叩いた。<br>人間は、それが速く動きすぎると、その動きが物理法則に反しているため、逆にぎこちなく見えるのである。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>iPhoneのホーム画面は、わざと初動を遅らせる、いわゆるトゥイーンのイージーインという動きをさせることで物理世界との違和感を低減させ、体感的に「速い」と感じさせることができるのだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>iPhoneの方が遅いのであれば遅い方にあわせるのは簡単である。実際、イージーインを入れると、まるで別物のようにサクサク動くようになった。実際には遅いのに体感的には速い。こういうことは、ユーザーインターフェースの世界ではよくある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>アラン・ケイはこういう一連の意図的なフェイクを「ユーザー・イリュージョン」と呼んだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<p>つまり、こういうことは今のところAIにはできない。<br>これはユーザーインターフェースという極端に人間と機械の接点にある話だからわかりやすいが、実は同様のことは書類作成に於いても、動画作成に於いても、画像生成に於いても言える。</p>
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<p>こうした「違和感」を感じる能力はAIにはない。</p>
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<p>当たり前だが、AIは人間ではないからだ。</p>
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<p>（<a href="https://wirelesswire.jp/author/ryo_shimizu/" data-wpel-link="internal">清水 亮</a>）</p>
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<p></p>
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