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        <title>WirelessWire &amp; Schrödinger&#039;s</title>
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        <description>for Researchers and Engineers Dedicated to Innovate and Elevate Quality of Life</description>
        <lastBuildDate>Jul 12 2026 05:32:16 +0000</lastBuildDate>
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                <title>高電圧水素製造システムを実現する絶縁配管技術</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/07/93969/</link>

                <dc:creator><![CDATA[日立製作所「協創の森」の現場から]]></dc:creator>
                <pubDate>Jul 09 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[開発・運用]]></category>
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                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>従来の水電解システムによる水素製造は低電圧・大電流を前提としており、設備の大型化や電力変換の複雑化が避けられない、という弱点がありました。水素は脱炭素社会の鍵とされながらも、その製造コストやシステム大規模化がその普及を阻んでいました。日立製作所 研究開発グループはその問題点の核心に、液体と気体との混合流体と高電圧化を両立させるための絶縁の問題があることを突き止め、高電圧水素製造システムを実現する絶縁配管技術を世界で初めて開発し、耐電圧試験に成功しました。この技術およびシステムの将来展望を、Sustainability Innovation R&amp;D 環境システム研究部の杉政昌俊主任研究員とNext Research 水素バリューチェーンプロジェクトの藤田晋士主任研究員に尋ねました。<br>（本記事は、日立製作所・研究開発グループ「研究の現場から」の抄録です。全文は<a href="https://rd.hitachi.co.jp/_ct/17842074" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">こちら</a>）</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>低電圧・大電流という従来方式の限界から高電圧への発想転換</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>藤田：一方で、水素を製造するための水電解システムにも、今後の大容量の水素製造を考えたときに課題があります。それは、既存の水電解システムが「低電圧・大電流」を前提にした構成だということです。1 kV以下の低い電圧で、大電流を与えることで水素を発生させているのが現状です。低電圧であることの最も大きな課題は、低い電圧の直流電流を作る仕組みが必要になること、にあります。工場や大規模住宅などは33 kV、66 kVといった高電圧交流の電力系統に接続していますが、これを1 kV以下の電圧にするためには、多段で変圧器を介して、さらに直流に変換する必要があります。これらの設備の設置や維持には大きなコストがかかります。ですから、電力系統の高電圧をそのまま使って水電解システムを作れないかというところが発想の原点でした。高い電圧で動作させるとシステムは小型化できますし、日立がこれまで培ってきた高電圧の変圧器技術を活かせます。そもそも、高電圧の小型の水電解装置はできないの？という疑問からスタートして検討していったところ、どうやらできそうだということがわかってきました。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>杉政：世界中を見渡しても高電圧の水電解装置の研究はなかったと言ってもいいでしょう。水電解はこれまで電流をいかに多く通すかが開発の要であり、世界の各社のロードマップも低電圧を前提にしていました。水電解装置は電気分解の最小単位のセルを積み重ねた「スタック」で電気分解しますが、装置の大規模化の検討が進められる中で、電力変換器の大型化や高コスト化などの課題も出てきていました。これは「高電圧の水電解装置」という私たちの考え方自体が傍流で、ほとんど検討されていなかった、ということに他なりません。しかし、水素製造システムの大規模化の流れの中で高電圧の水電解装置について改めて検討してみたところ、実現できそうなうえに、効果が得られそうだという判断に至りました。日立は高電圧の電源関連の製品が豊富です。そこに水電解装置をつなげる発想ができたことで、今回のプロジェクトが動き始めました。高電圧製品や水電解装置を作っているメーカーはあっても、それぞれがその専業メーカーですから、それらをつなげる発想はなかったでしょうし、文化が異なります。日立の社内でも異なる技術分野における文化のすり合わせには苦労しますから、企業間でそれをすり合わせるのは非常に難しいと思うのです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>複合素材の絶縁配管で性能検証に成功</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>藤田：高電圧の水電解装置を実現しようとしたときに、大きな課題になったのが高電圧の絶縁でした。<br>水電解装置の内部には、水や電解液に加えて、水素や酸素といったガスが存在します。これらは電気的には導電性や放電リスクを伴う環境であり、高電圧がかかることは避けなければなりません。水素が漏れている環境では、静電気程度の微小な放電でも水素爆発を引き起こします。高電圧で動かすためには、導電性や放電リスクを最小化する絶縁が不可欠なのです。そこで、社内の高電圧の技術を組み合わせて、絶縁を確保する研究を始めたのです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":93972,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none","align":"center"} -->
<figure class="wp-block-image aligncenter size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/p20260708_hitachi1-1024x469.jpg" alt="" class="wp-image-93972"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>従来の水電解装置は、低い電圧で動かすことを想定しています。低電圧用の装置に対して、碍子（がいし）や建屋の壁などを工夫して0Vにする構造は作れました。しかし、水電解装置には配管が必要です。高電圧で絶縁できる配管は、世の中にありませんでした。高電圧の絶縁配管に求められる性能は、電気的な「絶縁性」に加えて、水素が漏れてこない「ガスバリア性」、高温・高圧に耐える「耐熱性」「耐圧性」、不純物による腐食に耐える「耐食性」があります。これら5つの性能を満たす配管が必要なのですが、従来よく使われるフッ素樹脂のPTFE（ポリテトラフルオロエチレン）は、耐圧性に欠け、ガスバリア性でも不安がありました。絶縁性やガスバリア性に優れるセラミック製配管も、接合部からの溶出による耐食性に難があります。1つの素材で高電圧水電解装置の要求を満たせる配管はみつかりませんでした。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そこで、私たちはこれまでに培ってきた絶縁技術を応用し、複数の樹脂に機能を持たせることで1本の絶縁配管を作ることにしましたが、1つの素材で高電圧の絶縁配管を作るとなると、材料開発から研究を始める必要があります。これには長大な時間がかかるリスクがあります。そこで既存のものを組み合わせることで求める性能を得る方向に舵を切りました。具体的には、ガスバリア性が高いEVOH（エチレンビニルアルコール共重合樹脂）、耐圧性が高いGFRP（ガラス繊維強化プラスチック）、耐食性に優れたHDPE（高密度ポリエチレン）を組み合わせて、要件を満たす1本の絶縁配管を作りました。この絶縁配管を使って、実際に水素が流れている環境下で10 kVの高電圧を掛けて性能検証を行いました。その結果、耐圧・耐熱・ガスバリア性を維持しながら、時間変化に対して漏れ電流の増加がないことを確認しました。絶縁に成功したのです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":93973,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none","align":"center"} -->
<figure class="wp-block-image aligncenter size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/p20260708_hitachi2-1024x576.jpg" alt="" class="wp-image-93973"/></figure>
<!-- /wp:image -->

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<figure class="wp-block-image size-large parallax"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/p20260708_MG_5677-1024x576.jpg" alt="" class="wp-image-93980"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>リスクのある試験に立ち向かう緊張感と達成感</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>藤田：複数の素材を組み合わせた絶縁配管の開発には成功しましたが、私たちは元々が素材の専門家ではありませんから、苦労は多かったです。文献調査から始め、素材の専門家に相談しながら研究を進めました。当初は要求を満たす素材を探してもらったのですが、それは難しいことがわかり、素材を組み合わせる方向にシフトしたのは先ほど申し上げた通りです。それでも、耐食性に優れたHDPEと耐圧性に優れたGFRPとの接着が難しいことや、配管に圧力がかかると膨張するため継手が取れてしまうリスクがあることなど、課題は少なくありませんでした。周囲の専門家から意見をもらいながら、どのような接着方法や機械的な構造が適しているかを検証していきました。専門ではない分野からのスタートでしたが、個人的には楽しんで研究に取り組めています。学生時代から今に至るまで、超電導や変圧器、MRIなどテーマは変わってきている中で、そのたびに新しい発見や知識との出会いがありました。水電解装置の高電圧への対応も楽しい研究です。一方で、水電解装置の配管に10 kVの電圧をかけて特性や制御性を確認する試験には、危険が伴います。試験に失敗すると、水素爆発につながりかねないのです。そのため、必ず成功するという見通しが立ってから試験に臨んでいますが、前日は一睡もできませんでした。ですから、きちんと性能が出たときには、数年間取り組んできた研究成果が得られたという達成感と同時に、正直ホッとした、というところです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":93974,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none","align":"center"} -->
<figure class="wp-block-image aligncenter size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/p20260708_hitachi3-1024x462.jpg" alt="" class="wp-image-93974"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>杉政：ほんとうにうまくいって良かったと思っています。絶縁試験を実施した実証機の製作にも藤田さんが大きく貢献しています。水電解装置を格納するコンテナは、本来、研究所で作るような代物ではありませんが、周囲の研究者を巻き込んで、大変な苦労をしながらリスクの高い試験の成功に導いてくれたと思いますし、日立社内でも水素の研究の1つの集大成だと感じています。開発プロジェクトとしては、頑張ってここまで到達しました。将来的には研究所や日立の枠を超えて、多くのパートナーや企業とコラボレーションして100MW級の水素製造システムを実現していきたいです。お客さまが使いやすい水電解装置を作ることが、社会貢献と日立のビジネスにつながっていくと信じています。高電圧の水電解装置は、十分に実現可能性があると考えています。今回は市販の水素スタックを購入して、水素製造システムのコンテナを作って絶縁環境が得られることを実証しました。私たち自身で検討を進めることで、高電圧の水電解装置というコンセプトが絵に描いた餅ではないことを社内外に示せたと確信しています。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":93976,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none","className":"parallax"} -->
<figure class="wp-block-image size-large parallax"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/p20250708_MG_5781-1024x576.jpg" alt="" class="wp-image-93976"/></figure>
<!-- /wp:image -->]]></description>

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            </item>
                    <item>
                <title>フィジカルAIの次の焦点は「安全」へ</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/07/93942/</link>

                <dc:creator><![CDATA[中村 航]]></dc:creator>
                <pubDate>Jul 07 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
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                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>NVIDIAは6月22日、ロボットやフィジカルAI向けの安全システム「NVIDIA Halos for Robotics」を発表した。自動運転分野で培ってきた安全技術を、産業ロボットや人型ロボットへ展開するものだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>フィジカルAIでは、AIがカメラやセンサーから周囲の状況を把握し、自ら判断して現実世界で行動する。しかし、生成AIが誤った文章を出力する場合と異なり、ロボットの判断ミスは人や設備への物理的な被害につながりかねない。ロボットが人間と同じ場所で働くには、「どれだけ賢く動けるか」だけでなく、「異常時に確実に止まれるか」が重要になる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Halos for Roboticsは、安全機能を備えたコンピューター「IGX Thor」、安全関連の機能を担う「Halos OS」、センサー接続、検査・認証支援などを一つの体系にまとめたものだ。NVIDIAはこれを、業界初の包括的なフルスタック安全システムと位置付けている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>特徴的なのが、ロボット本体のセンサーだけに頼らない「Outside-In Safety」という考え方だ。工場内に設置した外部カメラやAIエージェント、分散センサーを組み合わせて作業員や車両を監視し、必要に応じてロボットを減速・停止させる。照明の変化やカメラの遮蔽などで認識の信頼性が低下した場合にも、安全な動作状態へ戻す仕組みを備える。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>最初の採用企業は、人型ロボット「Digit」を開発する米Agility Roboticsだ。同社はAmazonやGXO、Toyota CanadaなどとDigitの導入・実証を進めており、NVIDIAの技術を使って人間検知システムの安全性を高める計画だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>今回の発表は、日本企業にとっても示唆的である。生成AIの基盤モデル競争では米国企業が先行したが、フィジカルAIはソフトウェアだけでは成立しない。ロボット本体、モーター、センサー、制御技術に加え、工場への導入、安全設計、保守までが必要になる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>国際ロボット連盟（IFR）によると、日本では2024年末時点で約45万台の産業ロボットが稼働し、世界全体の約10％を占める。FANUCや安川電機、川崎重工業、デンソーなど、ロボットや工場自動化を支える企業も多い。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日本の勝機は、必ずしも国産の人型ロボットだけで世界を席巻することではない。海外のAIやロボットを、日本の工場や物流現場で安全かつ安定的に稼働させるための部品、システム、導入ノウハウにも大きな機会がある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>フィジカルAIの競争軸が「最も賢いロボット」から「安全に現場へ導入できる仕組み」へ広がれば、日本の製造業が蓄積してきた知見が、再び強みになる可能性がある。ただし、そのためにはハードウェアの強みを、AIモデルや安全ソフトウェアと結び付けられるかが問われる。<br>（中村 航／翻訳家）</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p><strong>参照</strong><br><a href="https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-halos-for-robotics-the-industrys-first-full-stack-safety-system-for-physical-ai" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">NVIDIA Announces Halos for Robotics, the Industry’s First Full-Stack Safety System for Physical AI</a><br><a href="https://developer.nvidia.com/blog/inside-nvidia-halos-for-robotics-a-full-stack-functional-safety-system-for-physical-ai/" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">Inside NVIDIA Halos for Robotics: A Full-Stack Functional Safety System for Physical AI</a><br><a href="https://ifr.org/img/worldrobotics/Executive_Summary_WR_2025_Industrial_Robots.pdf" data-wpel-link="external" target="_blank" rel="external noopener noreferrer">World Robotics 2025 – Industrial Robots</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p></p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">93942</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>ヴィルスなるもの、生物と無生物の間で――生と死の間で（8）</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/07/93704/</link>

                <dc:creator><![CDATA[村上 陽一郎]]></dc:creator>
                <pubDate>Jul 05 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
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                <description><![CDATA[<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>抗生物質の発見</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>生と死の間にある、あるいは生きているものと生きていない、そのちょうど中間の位置にいる存在、それがヴィルスでしょう。私たちは、ここ数年間、新型コロナヴィルスの世界的流行で、ヴィルスなるものにいやというほど突き合わされた感がありました。ついでに、感染症の「世界的流行」を「パンデミック」と呼ぶことも、定着しました。この言葉に少し拘っておきます。この語の原型である＜pandemic＞という英語は、ギリシャ語に由来します。＜…demic＞は、デモクラシーでお馴染みの＜demos＞つまり「大衆」の派生語であり、＜pan＞は、かつてあった航空会社「パンアメリカン」の「パン」で、「広くすべての」あるいは「全方位的な」というような意味で使われる接頭語になります。従って「全世界的規模の」となるわけです。同類の単語には＜epidemic＞や＜endemic＞があります。＜epi…＞は、＜～の上に＞といった意味を持つ接頭語ですから「人々の間に」の意味で、単に「流行している」ということになりますし、＜en…＞は、「（一部の）人々の間で」を意味し、「地域の限局された」感染症を指します。いわば「地方病」というような感じです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>話を戻しましょう。二〇世紀の医療の世界で、最大の出来事と言ってよいのが、ペニシリンをはじめとする抗生物質の発見と活用です。イギリスの細菌学者フレミング（Alexander Fleming,一八八一～一九五五）によるペニシリンの発見物語は、汎く知られていますが、一応おさらいをしておきましょう。彼の実験室は、科学研究者としては、失格と言えるほど、整理が行き届いていず、雑然とした状態にあった、ということが、この話の前提です。そこで、彼は黄色ブドウ球菌という細菌を培養していました。ところが、培地の管理が悪く、一部にカビが増殖していました。一九二八年のことです。フレミングは、その培地の状態に起こった奇妙な変化に気づきました。カビが生えている場所だけ、培養しているはずの細菌がなくなって、透明に近い状態になっていました。これが「カビが細菌を殺す」ということの最初の発見になりました。ただし、この発見が、人々の命を救う抗生物質としてのペニシリンの活用という事態に発展するのは、十年以上の時間が必要だったようです。一九四〇年代になって、漸く感染症の特効薬としてのペニシリンが開発されることになりました。日本でも、陸軍の医療機関で、ペニシリンの開発が進められ、「碧素」と名付けられて、一九四五年、敗戦直前には一部で使用が始まっていました。もう一つ余計なことを付け加えますと、開発当時のペニシリンが、肺炎にかかったイギリスの首相チャーチルの命を救った、というエピソードが、必ず付け加えられるのですが（かつて私も、そういう記述をしたことがあります）、現在では、これは作り話であった、ということになっています。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>さて、色々と脱線しました。しかし、考えてみると、例えばエタノールや昇汞などは、もともと強い殺菌力を備えていることは知られていましたし、実際に手指の消毒などには使われてきましたが、毒性の問題もあり、また特定の細菌に選択的に利く感染症の治療薬としては、利用される可能性はなかったと言えるでしょう。今では、耐性菌の発現などへの対応から、同じペニシリン系でも、数多くの異型が開発されてきましたし、抗結核剤としてのストレプトマイシンをはじめ、抗生物質は目白押しです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>さて、「抗生物質」（英＝antibiotics）という言葉ですが、当たり前ですが、「生あるものに抗する」という意味を持ちます。そこで、科学が生命の定義をどう与えていたかを思い出しましょう。内と外とが分別された物質系であること、その境界を通して内と外との間に物質の交出し入れがあること（代謝）、そして、自分自身を複製する能力（自己複写、生殖）があること、最小限これらの条件が満足されていることが、「生命」の基本でした（「&lt;a href=””&gt;<strong>科学の外にある「生」と「死」</strong>&lt;/a&gt;」の項参照）。そして、少し先回りして結論的なことを言えば、ヴィルスには、それ自体そして、これらの条件を十分に満足してはいません。つまり、ヴィルスはそれ自体としては、「生命体」とは言えないのです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>ヴィルスに「死」はない</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>私にとって印象的な出来事を覚えています。戦前からヴィルスは「濾過性病原体」という日本語で知られていました。病原の可能性のある細菌類を単離・特定する場合に、色々な透過能力をもった濾紙を使って、いわば大きさでとりあえず分別していく、という方法があります。ところが、確かに病原体が含まれているとされる媒体を、様々な透過力の濾紙を使っても、どうしても捕捉されないものがあることが分かってきた段階で、ヴィルスの存在が浮かび上がったのでした。ヴィルスの特徴の一つは、大きさが通常の細菌類よりも二けたほど小さいものだということでした。しかし、それが病原体であることは確かでした。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>脱線しますが、何ものかが病原体であること確かめるために、あのコッホが開発した三つの原則があります。ある感染症に罹った人から特定の微生物が検出されること、その微生物を単離して、純粋培養ができること、その微生物を人に与えると当該の病気の症状が出、かつ必ず問題の微生物が検出できること。それがラテン語で「毒」を意味する＜virus＞と名付けられたのですが、この段階ではヴィルスは「微生物」と捉えられていました。というのも、人体（あるいは広く生物体）に入り込んで、どんどん増える（からこそ、症状は悪化する）のですから、生物の要件を立派に果たしているからです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>その程度の知識は持っていた学生時代の私は、生物学の講義のなかで、ドイツの植物学者マイヤー（Adolf Mayer, 一八四三～一九四二）が、一八八六年、タバコ・モザイク病というタバコの葉に主として症状が出る病原体として、一種のヴィルスを取り出し、それが結晶として把握できる物質であることを突き止めた、ということを学んだとき、微生物であることと、結晶として取り出せるということとの間の「矛盾」を、受け止めきれなかったのでした。今でもその時の衝撃は胸に残っています。その頃の私は、無機物と有機物との間には根本的に差があると素朴に信じていて、結晶という形態をとるからには、それは無機物ではないか、と考えたからでした。その後まもなく無機物と有機物の差は、炭素化合物であるかないかの違いに過ぎないことも学びましたが。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>別段これは自慢できる話ではありません。単に、その頃の私がナイーヴだった、いや、この言い方さえ聊か自己潤色です。要するに私が無知だっただけの話なのですが、仮に自己弁護の可能性があるとすれば、昭和三十年代頃には、まだ生命現象を、単なる物質現象から、根本的に切り離して考えようとする、一種の思考の慣性が働く時代であったことも事実です。例えば、その生物学の講義ではドリーシュの実験を歴史的な事件として語った先生もおられました。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ドリーシュ（Hans Driesch, 一八六七～一九四一）の実験とは、ウニの発生を巡るそれのことです。ウニの受精卵が卵割をはじめます。最初は縦に半分に割れ（二細胞期）、次いで同じく縦にもう一度半分に割れ（四細胞期）、次は横に半分に割れ（八細胞期）というように、次第に発生の手順を踏んでいくのですが、ドリーシュは、二細胞期の卵を（伝説によれば金髪の毛髪を使って）切り離し、離された細胞をそれぞれ培養し発生させてみました。すると、それぞれがきちんと卵割を繰り返して、二個の完全な成体が生まれました。単なる物理化学的な物質現象ならば、現象の材料が「半分」ならば、結果は「半分」というべきか、何らかの形で欠損が生じるはずで、そうでないことは、生命現象が単なる物理化学的ではなく、生命現象特有の特別な原理がそこに働いていることを立証している、とドリーシュは結論しました。そして、その原理を＜Entelechie＞と名付けました。「最初の状態が違っていても、こうした生命現象では、同じ結果を生じさせる何か」が、物理化学的な原則に加えて働いている、という意味です。「エンテレヒー」は日本語では「等結果性」と訳されているようです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>この一九世紀終わりに行われたドリーシュの実験は、生命現象には、生命現象特有の原理が働く、という古来から信じられてきた考え（しばしば「生気論」＜vitalism＞と呼ばれます）を再確認したことになる、と主張されました。ドリーシュ的な考え方は、それゆえ「新生気論」と呼ばれます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>なお余計なことになりますが、現在牧畜業では、人工受精卵をそのまま雌の個体の子宮に戻すのでなく、ドリーシュの方法を使って複数の卵を造って、それらを多胎として、あるいは複数の雌の個体に、育てさせる方法を実行しているのだそうです。牧畜の世界では、交配料が高いので、その方法が経済的にプラスになるのだと言います。もう一つ、余計なことかもしれませんが、ドリーシュがウニで実験したのは、偶然の幸運に恵まれた結果だったと言われます。例えばホヤの受精卵では、この実験は不成功に終わったはずです。受精卵にはウニのような「調節卵」と、ホヤのそれのような「モザイク卵」とがあって、後者では、一細胞期から、卵割後それぞれの細胞がどの臓器へと発展するかが決まっているので、ウニの実験結果は得られなかったと言われています。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>要するに若かった私は、このドリーシュの実験結果に魅せられていて、時代はそう変わらないタバコ・モザイク病ヴィルスが結晶として取り出されていたことに気づいていなかっただけ、というお粗末でした。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>もう説明するまでもないのですが、ヴィルスは、それ自体としては、代謝も自己複製もしない（できない）ので、生物とは言えないのですが、怪しからぬことに、他の生物の中に入り込んで、その代謝機能などを拝借することができる仕組みを持っています。その意味では「寄生」性を本質としている物質系であります。そこでかつて、この分野の指導的立場におられた川喜田愛郎先生は、一般読者向けに『生物と無生物の間－－ウィルスの話』（岩波新書）というタイトルの名著を世に問われました。学生時代の私は、座右において愛読しました。ここでまた脱線しますが、最後の「間」という字を平仮名に開いただけで、そっくり、自著に同じタイトルをつけた現代の人がいます。まさか、同じ領域の後輩の研究者として、川喜田先生の名著を知らなかったはずはないので、私はいまだに許せない感情を捨てきれません。著書のタイトルを決める際には、出版社編集部の意見が強く働く場合もありましょうが、そうした場合でも、最終責任は当然著者にあります。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>閑話休題。抗生物質（antibiotics）の話に戻りますと、抗生物質は文字通り生き物の成育を阻害する働きを持つ物質です。だとすると、生物とは言えないヴィルスには、論理的にも、機能できないことになりませんか。実際、実質上も、既存の抗生物質のなかでヴィルス性疾患に著効を示すものはないと言えます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>この項では生物と無生物の間の話になりましたが、無生物には当然「死」はありません。ヴィルスも、生物の細胞に取り込まれない限りは、金属や鉱物と同じように、崩壊することはあっても、「死ぬ」ことはないと言えましょう。 自然は色々と面白いいたずらをするものですね。</p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

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            </item>
                    <item>
                <title>動画で体験、KDDIが描く情報通信の将来像――WJ×WTP2026 KDDIブースリポート</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/07/93950/</link>

                <dc:creator><![CDATA[WirelessWire &#38; Schrodinger's編集部]]></dc:creator>
                <pubDate>Jul 01 2026 02:53:54 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[科学技術芸術と社会]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=93950</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:html -->
<style>
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</style>
<!-- /wp:html -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>将来の情報通信の世界を支える技術の今を見る。そんなチャンスがワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク2026（WJ×WTP2026）のKDDIブースに設けられていた。KDDIの開発成果やKDDI総合研究所の研究成果など、5Gミリ波から6Gに向かう無線通信やAI時代の情報通信のあり方を考えさせられる多彩な展示やデモがあった。お台場の東京ビッグサイトで5月に開催されたWTP 2026に訪れることができなかった人も、現地でKDDIブースに足を運ぶ時間がなかった人も、キャッチアップはこのページからできる。現地のリアルなデモや展示の説明を、以下のそれぞれのリンクから動画で体験できる。周囲のブースの音が聞こえてくる動画は、より一層会場の雰囲気を感じさせるものだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading">次世代無線を身近にする</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">ミリ波でドラマを「1秒ダウンロード」</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93951,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-1-1024x576.webp" alt="ミリ波でドラマを「1秒ダウンロード」" class="wp-image-93951"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">5Gミリ波通信の活用シーンとして、映像コンテンツの高速ダウンロードのデモが行われた。デモでは、東京ビッグサイトに設置されているミリ波の基地局から端末へのダウンロードと、既存のSub6を使ったダウンロードの比較を検証。ドラマ全10話の映像コンテンツ、約1.4GBのダウンロードが、Sub6では40秒ほどかかるところ、ミリ波では全10話でも10秒ほどでダウンロードできることを示した。すなわち30分番組の1話なら「1秒ダウンロード」が可能というわけだ。駅や空港など、移動前にコンテンツを高速にダウンロードすることで、移動中に途切れがちなストリーミングを利用しなくて済むユースケースも紹介した。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/tFHmD3K4RHg" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
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<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">街中のポスターや看板でミリ波を届ける</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93952,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-2-1024x576.webp" alt="街中のポスターや看板でミリ波を届ける" class="wp-image-93952"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">周波数が高いミリ波は、直進性が高く、障害物に弱い特性がある。人間の影になるだけでも、電波が届きにくくなってしまう。KDDI総合研究所では、メタサーフェス反射板という、電波を狙った方向に反射できる特殊な反射板を使って、ミリ波のエリア確保に取り組んでいる。デモでは、ポスターの形のメタサーフェス反射板を使って、デモを実施するエリアを狙ってミリ波を反射させた。直接波が人体などで遮られたときのスループット低下を防ぎ、ピンポイントで安定したミリ波の通信エリアを低コストに確保する取り組みとして、紹介していた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/6JEVjfuCwAE" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
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<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">ミリ波中継機でエリア拡大を実証</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93953,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-3-1024x576.webp" alt="ミリ波中継機でエリア拡大を実証" class="wp-image-93953"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">電波が届きにくいミリ波の通信エリアを地域などの広域で実現するKDDIの取り組みとして、ミリ波中継機の展示もあった。ミリ波中継機は、ミリ波の電波を受けて、増幅して送信することでエリアを拡大するもの。複数のミリ波中継機を組み合わせることで、メッシュ状にエリアを構成、拡大できる。展示では、2024年に東京・西新宿で実施したミリ波中継機の実用試験の結果を紹介。ミリ波エリアの道路カバー率を中継機なしの33％から99％に拡大でき、拡大エリアで最大2.1Gbpsのスループットを確保できたと説明した。電源さえあれば設置できる小型のミリ波中継機は、バックホール回線が必要な基地局に比べて設置が容易で、面的なエリアの拡大の手法として今後に期待が持てる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/kV2jBJ1oAbw" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
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<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">「つながりやすい」無線通信を提案する新技術</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93954,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-4-1024x576.webp" alt="「つながりやすい」無線通信を提案する新技術" class="wp-image-93954"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">2030年代の6G時代には、人間だけでなく、スマートグラスやロボット、ドローンなどの無線通信がさらに広く普及し、クラウドやAIと連携を強めていく。言い換えれば、無線通信が届かないと、サービスや価値が提供できないケースが生じてしまう。KDDI総合研究所では、「つながりやすい」を当たり前にするための新技術として「セルフリー通信」を提唱し、ユーザーが中心にある形の無線アクセスネットワークである「ユーザーセントリックRAN」の実証を進めている。基地局を中心にセルを作る既存のネットワークと異なり、複数の基地局が協調してユーザーを中心にエリアを構成することで、安定した通信を実現する。ブースでは、KDDI総合研究所で実証した結果を紹介。既存方式では干渉が強かったり電波が届きにくく通信品質が低下する場所でも、セルフリー通信では安定性が確保できることを示した。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/iXpvUezVtRo" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
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<!-- wp:image {"id":93963,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none","className":"parallax mb-xxl"} -->
<figure class="wp-block-image size-large parallax mb-xxl"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-para-1024x576.webp" alt="WTP 2026 KDDIブースリポート" class="wp-image-93963"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:heading {"className":"mt-xl"} -->
<h2 class="wp-block-heading mt-xl">ネットワークを賢くする</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">システムの復旧支援から保全までをAIエージェントで自律的に</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93955,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-5-1024x576.webp" alt="システムの復旧支援から保全までをAIエージェントで自律的に" class="wp-image-93955"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">通信システムは、高度化が進むと同時に複雑化も増している。そうした中で人手による運用保守は限界に近づいている。KDDIでは、AIによる運用の自律化の研究を推進している。WTP 2026の展示では「復旧支援AI」と「保全AI」という2種類のAIエージェントを連携させた障害対応の様子を示した。障害の原因を分析して運用担当者を支援する復旧支援AIは、すでにKDDIのネットワークで運用を開始している。一方、保全AIは障害の予兆を検知し、自律的に復旧措置まで実行することを目指している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/FkMMnwBR3qI" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
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<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">AIが自律的に通信エリアを最適化</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93956,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-6-1024x576.webp" alt="AIエージェントが自律的に通信エリアを最適化" class="wp-image-93956"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">6G時代にはAIの学習や推論を支える高品質なネットワーク、いつでもどこでもつながる高信頼のネットワークが要求される。KDDIとKDDI総合研究所ではネットワークの品質向上について、3ステップのワークフローの取り組みを進めている。現状は大量なデータとエキスパートのナレッジによる通信最適化を行っている。これに加えて強化学習による試行錯誤で最適化を進める。学習量が膨大になる強化学習では、KDDI総合研究所は分散型AIにより学習期間の大幅な短縮を果たした。今後は、デジタルツインRANによるエリア最適化を分散学習AIに組み合わせることで、さらに学習の安定した運用と高度化を目指す。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/_SJzQSMjbRk" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
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<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">将来の通信増大に向けた基地局の省電力化技術を紹介</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93957,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-7-1024x576.webp" alt="将来の通信増大に向けた基地局の省電力化技術を紹介" class="wp-image-93957"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">AIエージェントが普及する今後は、さらに通信トラフィックの増加が見込まれる。そのため通信事業者は高品質なネットワークを低コストで、持続可能な形で提供する必要がある。近づきつつある6G時代に、基地局を省電力で稼働させる技術についての展示もあった。KDDI総合研究所とノキア ベル研究所の共同研究の成果を発表したものだ。通信状況によって「時間」「周波数」「空間」「送信電力」のそれぞれで、リソースの割り当てや使用方法を最適化することで、通信に影響を及ぼさずに省電力化する。5Gに適用した実証の結果、最大40％の消費電力削減が可能になったという。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-buttons mb-xxl"><!-- wp:button {"backgroundColor":"white","textColor":"black","className":"is-style-outline","style":{"border":{"radius":{"topLeft":"0px","topRight":"0px","bottomLeft":"0px","bottomRight":"0px"}},"elements":{"link":{"color":{"text":"var:preset|color|black"}}},"typography":{"fontSize":"15px"}}} -->
<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/n38JiwSVGGQ" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
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<!-- /wp:buttons -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading">情報通信のさらなる広がり</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">Starlink活用の幅を広げるKDDI先行の取り組み</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93958,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-8-1024x576.webp" alt="Starlink活用の幅を広げるKDDI先行の取り組み" class="wp-image-93958"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">「空が見えれば、どこでもつながる」を実現する衛星通信サービス「au Starlink Direct」は、国内で他の事業者に先行して提供を開始し、機能強化も進めてきた。WTP 2026のKDDIブースでは、さらに一歩先を行くユースケースを紹介した。1つ目は、閉域網への適用。KDDI Wide Area Virtual SwitchでStarlink回線を利用できるようになった。2つ目は、通信事業者としての用途で、災害時に備え、予め携帯電話基地局のバックホール回線としてStarlink回線を冗長化しておき、災害時にバックホール回線を遠隔で切り替えを行う検証を行ったことを紹介した。3つ目と4つ目はサービスの拡大について。IoTデバイスとStarlink衛星が直接通信して、携帯電話圏外のエリアでもIoT通信が可能になる。また、海外ローミングの対象国として、米国に加えて、カナダ、フィリピン、ニュージーランドへと拡大した。デモでは、Starlink回線を使って、携帯電話回線が利用できない状況でも地図アプリ上でルート案内が可能なことを示していた。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-buttons mb-xxl"><!-- wp:button {"backgroundColor":"white","textColor":"black","className":"is-style-outline","style":{"border":{"radius":{"topLeft":"0px","topRight":"0px","bottomLeft":"0px","bottomRight":"0px"}},"elements":{"link":{"color":{"text":"var:preset|color|black"}}},"typography":{"fontSize":"15px"}}} -->
<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/TPfKj_rhOeY" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
<!-- /wp:button --></div>
<!-- /wp:buttons -->

<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">3D点群データをStarlink衛星回線でリアルタイム伝送</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93959,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-9-1024x576.webp" alt="3D点群データをStarlink衛星回線でリアルタイム伝送" class="wp-image-93959"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">衛星通信のStarlink回線を利用して、3D点群データと映像を伝送する取り組みを紹介した。3D点群データは、モノや地形などの立体的な情報を取得でき、現場の作業や災害対策などでの活用が進んでいる。一方で膨大なデータをリアルタイムで伝送する困難さもあった。KDDI総合研究所では、国際標準の3D点群データの圧縮規格に準拠しながら、映像と同時にリアルタイムで圧縮伝送する技術を開発。ブースでは、南極の昭和基地内設備の3D点群データをStarlink回線で日本へリアルタイム伝送した際のデータを用い、受信側の表示を再現したデモを紹介。スマートフォンで3D点群データを取得していくと、配管などの3Dの状況が着々と届く様が確認できた。遠隔地の作業DXや災害対策の高度化に貢献することを想定する。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:buttons {"className":"mb-xxl"} -->
<div class="wp-block-buttons mb-xxl"><!-- wp:button {"backgroundColor":"white","textColor":"black","className":"is-style-outline","style":{"border":{"radius":{"topLeft":"0px","topRight":"0px","bottomLeft":"0px","bottomRight":"0px"}},"elements":{"link":{"color":{"text":"var:preset|color|black"}}},"typography":{"fontSize":"15px"}}} -->
<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/GDoYSlrSTJI" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
<!-- /wp:button --></div>
<!-- /wp:buttons -->

<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3 class="wp-block-heading">光通信技術の進展で実現を目指す「AIデジタルベルト構想」</h3>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:image {"id":93960,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none"} -->
<figure class="wp-block-image size-large"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-10-1024x576.webp" alt="光通信技術の進展で実現を目指す「AIデジタルベルト構想」" class="wp-image-93960"/></figure>
<!-- /wp:image -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xs"} -->
<p class="mb-xs">KDDIは2026年5月に発表した中期経営戦略「Power-to-Connect 2028」で、「AIデジタルベルト構想」を提唱した。通信基盤とAI基盤を統合し、陸海空を網羅した低遅延ネットワークと計算資源基盤を整備する構想だ。WJ×WTP2026のKDDIブースでは、AIデジタルベルト構想を支えるオールフォトニックネットワーク（APN）への取り組みを紹介した。長年にわたる光海底ケーブルで培った光通信技術を地上ネットワークに応用するもので、複数の技術を組み合わせることで伝送容量を100万倍に引き上げる。遠隔地のデータセンターのサーバー同士が同じ場所にあるような新しい用途が生まれるという。さらにAPNの普及促進に向け、APNを単一事業者のネットワークにとどめず、事業者をまたいで利用できるようにする標準化の取り組みも紹介した。データセンター間、データセンター内のAPN接続技術についても説明があった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

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<div class="wp-block-button is-style-outline"><a class="wp-block-button__link has-black-color has-white-background-color has-text-color has-background has-link-color has-custom-font-size wp-element-button" href="https://youtu.be/vIshVu1izR4" style="border-top-left-radius:0px;border-top-right-radius:0px;border-bottom-left-radius:0px;border-bottom-right-radius:0px;font-size:15px" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">動画で体験</a></div>
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<hr class="wp-block-separator has-alpha-channel-opacity mb-xl"/>
<!-- /wp:separator -->

<!-- wp:paragraph {"className":"mb-xl"} -->
<p class="mb-xl">KDDI総合研究所との連携研究にご興味のある方はぜひ下記からお問い合わせください。<br><a href="https://www.kddi-research.jp/inquiry.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">https://www.kddi-research.jp/inquiry.html</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:image {"id":93961,"sizeSlug":"large","linkDestination":"none","className":"image\u002d\u002dfull-wide mb-xl"} -->
<figure class="wp-block-image size-large image--full-wide mb-xl"><img src="https://wirelesswire.jp/wp-content/uploads/2026/07/kddi-foot-1024x683.webp" alt="動画で体験、KDDIが描く情報通信の将来像――WTP 2026 KDDIブースリポート" class="wp-image-93961"/></figure>
<!-- /wp:image -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">93950</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>あなたはもう現代アートがわかっている</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/07/93935/</link>

                <dc:creator><![CDATA[八十雅世]]></dc:creator>
                <pubDate>Jun 30 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[物質知性]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=93935</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading">現代アートがわからない気がするのは、おかしくない</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>私は大学で美術史学を学んだせいか、ときどき友人から「一緒に美術館に行って解説してほしい」と頼まれます。その言葉の裏には、「美術を知りたい。でもハードルが高い」という気持ちが見え隠れしているように思います。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>思えば、初対面の人に趣味を聞かれて「アート鑑賞です」と答えると、「ご高尚ですね」と返され、どこか心のシャッターを下ろされてしまう経験が何度もありました。私自身、就職活動の面接でこの空気になり、会話が急に冷え込んで焦ったことがあります。どうやら「アート」というものは、多くの人にとって身構えてしまう対象らしい。まして「現代アート」となると、その前には分厚い鉄扉が立ちはだかっているようです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ここで、現代アートの定義についてあらためて確認しておきましょう。定義の仕方はいろいろありますが、一般向けにざっくり説明するなら、「戦後、新たなテーマや価値観を提示した作品群」と捉えるのが無難でしょう。（<a href="https://wirelesswire.jp/2025/09/91190/" data-wpel-link="internal">そもそも「現代アート」とはなにか</a>）</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>私は長く現代アートを楽しんできたので、「難しくないよ」「誰でも楽しめるよ」と気軽に言ってしまいがちです。しかし冷静に考えると、確かにハードルは高い。作品解説文はもちろん、展覧会のタイトルからして抽象的で耳慣れない言葉が並んでいます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>とはいえ、「理解できない言葉がそこかしこにある」からといって、「自分は勉強不足だから現代アートがわからないのだ」と思う必要はありません。大丈夫です。長年現代アートを見てきた私でも、わからないときはわかりません。もう一度言います。本当にわからないときは、まったくわかりません。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>みなさんは音楽やファッションに対して、「流行しているものはすべて理解しなければならない」と考えるでしょうか。そんな人はほとんどいないはずです。「これは好きだけれど、あれはよくわからない。でも好きな人がいるのは理解できる」。多くの人はそう割り切っています。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ところが不思議なことに、美術館に展示された作品に対しては、「理解できなくてはならない」という焦燥感を抱くことがあります。美術館というある種の権威が、作品に特別な正しさを与えているように見えるのかもしれません。しかし、そんなことはありません。たとえパリコレに出た服であっても、自分の好みでなければ着ませんよね。業界の評価と、自分が感じる価値は一致しないことがある。その当たり前のことを、アートと向き合うときにも思い出してほしいのです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ということで、みなさんが現在、音楽やファッションを自分なりの価値基準で楽しんでいるならば、すでに現代アートを楽しむ素養がある、ということです。ですので、「美的センスがない」「知識がない」なんて嘆く必要はありません。現に、小学校低学年のわが子は、何の前提知識もなく現代アートを見て楽しんでいます。難しい解説は読めず、作品の背景もわかりません。それでも面白がれるのです。そこに必要なのは、ほんの少しの好奇心だけです。だから、あなただってもう現代アートがわかっているはずなのです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading">現代アートの説明は、あえて小難しい</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>私は、小難しい説明はあまり気にせず、まずは作品を見てほしいと思っています。ただ、なぜ現代アートには難解な解説が付きがちなのか。その背景を知っておくと、作品鑑賞の解像度が少し上がるかもしれません。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>理由のひとつとして、まず「言葉で説明することの限界」が考えられます。現代アートは、しばしばまだ十分に言語化されていない感覚や問題意識を扱います。時代の先を行くがゆえに、既存の言葉では捉えきれないものを作品として提示することがあるのです。そのようなものを言葉で説明するのは簡単ではありません。それは、日本語に存在しない概念を外国語から翻訳しようとする作業にも似ています。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>以前、あるミュージシャンが「インタビュー時に新曲について説明してくださいと言われるのが困る」と語っていました。「言葉で説明できないから音楽にしたのに」と。現代アートも同じです。説明よりも先に、「見れば伝わる」ことがあるのです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>もうひとつの理由は、少々俗っぽい話になります。難しい説明には、市場価値を支える役割がある、ということです。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>現代アートは作品であると同時に商品でもあります。マーケットの中で流通する存在です。アート産業は大量生産型ではなく、付加価値型のビジネスです。他にはない価値を示し、その希少性によって価格が形成されます。その構造は、ハイブランドのバッグやジュエリーとどこか似ています。だからこそ、「なぜこの作品が存在するのか」「どのような問題意識から生まれたのか」という物語が求められます。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>現代アーティストである村上隆氏は、“今の芸術の世界の中心地はアメリカ”であるとし、“欧米の美術市場における芸術作品の制作の必然性には「自分自身のアイデンティティを発見して、制作の動機づけにする」ということ”があると指摘しています（『芸術企業論』）。近年はアジアのコレクターも増えていますが、作品の背景やストーリーが重視される傾向は大きく変わっていないでしょう。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>結果として、何らかの語るべき背景をもった作品が、美術館にも集まりやすくなります。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>私たちは外食をするときでさえ、料理の味だけで判断しているわけではありません。「江戸時代創業の老舗」「ミシュラン掲載店」といった物語込みで価値を感じています。アートもまた、そのような人間的な営みの延長線上にあります。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>もちろん専門家の解説は有益ですし、敬意を払うべきものです。しかし、自分が感じたことを脇に置いてまで、専門家の言葉だけを崇拝する必要はありません。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>こんなことを偉そうに語る私も、著名な現代アーティストとハイブランドがコラボレーションしたバッグを持っています。「本物の作品を買うよりは安い」と自分に言い聞かせて買いましたが、その奥に隠しきれない虚栄心があることを否定できません。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>アートはしばしば崇高なものとして語られますが、同時に私たちの生活に地続きの、きわめて人間くさいものでもあるのです。<br>（八十雅世／情報技術開発株式会社　経営企画部・マネージャー）</p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">93935</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>日立による合成バイオ戦略　IT・OT・プロダクトが融合する「バイオものづくり」の未来</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/06/93928/</link>

                <dc:creator><![CDATA[森山和道]]></dc:creator>
                <pubDate>Jun 29 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[開発・運用]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=93928</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>「バイオものづくり」は、これまで化学工業で行われてきた生産プロセスに、酵素や微生物などのバイオテクノロジーを活用することで、医薬品や再生医療等製品の製造、あるいは環境負荷の低い素材や燃料の生産が期待される取り組みだ。さらにAIなどデジタル技術を活用して微生物の物質生産能力を最適化するなど「合成生物学」の研究開発も、持続可能な社会の実現に寄与する可能性が高い。合成生物学で必要とされる、IT（情報技術）、OT（制御技術）、そしてプロダクトの知見を融合させるのは日立製作所の得意技でもある。次世代のバイオものづくりについて、研究開発グループ Next Research 合成バイオプロジェクトの伊藤 潔人 リーダ主任研究員に話を伺った。<br><strong>（本記事は、日立製作所・研究開発グループ「最先端技術の源流」の抄録です。図解付きの全文は<a href="https://rd.hitachi.co.jp/_ct/17846610" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">こちら</a>）</strong></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>合成生物学によるバイオものづくりの潮流</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>これまでの経済成長は、化石資源による製造プロセスに依存してきた。しかしながら化石資源は気候変動のみならず、供給網寸断のような地政学的な脆弱性にも直結している。この課題に対して、石油化学プロセスに依存しない資源自律と、環境中立なグリーントランスフォーメーション（GX）を同時に達成し、経済成長を止めることなく社会課題を解決する手段の一つとして、合成生物学による「バイオものづくり」が世界的に注目されている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「バイオものづくり」とは、バイオテクノロジーとデジタルを駆使して、微生物や動植物の細胞内の代謝ネットワークを人為的に改変し、有用資源の生産力を最大限引き出す次世代の製造技術であり、化学を中心としてきた「ものづくり」プロセスの転換である。遺伝子工学やゲノム編集などを活用し、生物の代謝プロセスをデザインして有用化合物等を高効率に生産する。生物由来なので常温・常圧のプロセスであり、バイオマスや二酸化炭素を原料とするなど、従来の生産プロセスと比べると環境負荷が小さくなる可能性があることも注目される理由の一つだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日本酒、味噌、醤油のような伝統的な発酵食品に代表されるように、微生物の力を利用したものづくり自体は以前から行われてきた。また酵母細胞やヒト細胞を用いた医薬品製造も行われている。一方、伝統的な発酵食品や医薬品の製造とは異なり、「バイオものづくり」では、複雑な生物反応を安定して制御しなければ、大量生産といった、化学品や素材分野で求められる生産性を達成できない。そのため、生物の能力を追求する生物学の考え方（サイエンス）と、安定生産やスケールアップを担うプロセス工学の考え方（エンジニアリング）を、いかに結びつけるかが重要となる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>つまり、合成生物学を応用し、AIなどデジタル技術を活用することで微生物の物質生産能力を、最大限引き出せるようになる可能性があるのだ。想定される市場は多層的であり、医薬品・再生医療・化粧品等のように製造スケールが小さくても利益を確保できる高付加価値領域から、SAF（Sustainable Aviation Fuel：持続可能な航空燃料）・バイオ燃料・素材などのように製造コストの低減が市場浸透の鍵を握る汎用かつ大規模な市場領域まで、幅広い可能性が想定されている。日立では、このような合成生物学によるバイオものづくりの研究開発を、合成バイオプロジェクトとして推進している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>日立の研究開発グループが取り組む合成バイオプロジェクト</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>合成バイオプロジェクトでは、AIとシミュレーション技術を駆使し、生物を利用した「ものづくり」プロセスの実用化をめざしている。現状、バイオ分野は複雑な生体反応を解明するため複数の専門分野に分かれて研究が進展してきたが、それらを応用するバイオものづくり分野は比較的新しく、必要な知識やデータが圧倒的に不足している。そのため、論理を組み立てるAIや、不足データを補完するようなシミュレーション技術、および複数の専門家との連携が重要となる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日立では、培養・発酵プロセスにおける微生物の挙動をデジタルツイン化することで、バイオものづくりを支援する研究開発に取り組んでいる。その全体構想は、生物の複雑な代謝系を数理的にモデリングして挙動を定量的に予測する「生物の挙動のモデリング」と、専門家の知見をAIで活用する「知見のAI化」を組み合わせるものだ。その第一歩として、数理モデリングを軸に、培養条件の変化や槽内環境と菌株・細胞の挙動を結びつけるリアルデータ統合に注力している。将来的には、過去に培ってきた知識抽出AIや専門家知見の活用技術を取り込み、より実用的な培養・発酵デジタルツインへ発展させることをめざしている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>文献情報などから膨大な知見を学習したAIは、人間の経験則を凌駕する精度で最適な代謝反応やそのための遺伝子改変を提案できる可能性を秘める。日立が現在注力しているのは、こうした知見の学習を、菌株そのものの設計にとどめず、培養条件や槽内環境の変化と菌株挙動を結びつけてモデル化することだ。AIを活用して不足する知見やデータを補い、複雑な培養・発酵のプロセスをモデル化することで、プロセス開発における手詰まりを打開し、有用物質を大量に生産できる微生物（スマートセル）の能力を、バイオものづくりの社会実装につなげることをめざすわけだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日立には、長年培ってきた強力な分析・計測技術があり、こうした技術から得られたデータを基盤として、AIを構築できることが日立の強みになっている。<br>物理的な分析・計測技術（OT：制御技術）と、AIやシミュレーション（IT：情報技術）を組み合わせることで、ラボレベルの成果を工場などの大規模プラント生産へ実装する際の、プロセス最適化における技術的役割を果たす。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>シキミ酸の生産改良をデジタル技術で効率化</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日立が現在の培養・発酵プロセス開発へ迅速に舵を切った背景には、これまで注力してきた菌株開発フェーズにおける高度なデジタル技術の蓄積がある。その一例として、インフルエンザ治療薬の原料として知られる「シキミ酸」の生産を改良した事例がある。微生物の代謝設計は、ある宿主微生物（元株）に対して、主要経路の強化・不要経路の抑制・副生成物の抑制といった改変を段階的に積み上げることで、目的物質の生産性を高める。この設計プロセスを模式化すると「元株→改変1→改変2→改変3→次の一手」という改変履歴のツリーになる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>問題は菌株開発における手詰まりを打開する「次の一手」の特定だ。各改変ステップで、研究者は大量の文献を調査し、有望な改変候補を絞り込む。しかし、この作業は属人的であり、調査範囲にも限界がある。そこで日立は、文献調査と候補遺伝子の特定をAIで代替するシステムを<a href="https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acssynbio.1c00234" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">開発</a>した。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>手法は２段階になっている。まずステップ１では、改変候補を自動収集する。遺伝子改変の履歴（遺伝子名・EC番号・改変方向のリストなど）を入力として、関係論文をデータベースから検索・収集する。ここで重要なのは関係していると思われる、つまり「代謝工学らしさ」を定量的に測る文献評価モデルである。そこで、代謝工学関連の文献での出現頻度をスコア化した。ステップ２は履歴との関連度に基づいたランキングである。収集した論文から遺伝子名を全抽出し、「改変履歴中の遺伝子と共起する頻度」を元に候補遺伝子をスコアリングする。出力はランク付きの遺伝子リストと出典文献であり、研究者はこれを「次の一手」の候補として利用する。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>実際にシキミ酸生産の世界記録株を対象にこの手法を適用したところ、専門家も「有望」と判断する遺伝子候補が上位にランキングされた（2020年当時）。さらに実験検証として、提案された上位遺伝子のうち4つを追加で改変した結果、シキミ酸生産濃度が最大19.5%向上するという結果が得られた。これはつまり、世界記録を更新できる可能性があることを意味する。この成果は、熟練の研究者の「洞察」や「ひらめき」に依存していた菌株設計をデジタル技術で効率化できることを示す結果となった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>少数データと専門家の経験値からモデルを構築</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>また、日立は大阪大学との共同研究で、限られた測定データから細胞内の物質の流れを数式で記述し、生産性を予測するシミュレーションモデルを構築した。バイオものづくりにおいて、微生物の細胞内で起こっている無数の反応から目的物質の生産性を下げているボトルネック（律速点）を特定することは極めて重要である。しかし、細胞内の反応をすべて数式化しようとすると膨大なパラメーターが必要になる。そして、裏付けのための実験データは圧倒的に不足しているという本質的な課題があった。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>構築した代謝速度論モデルに、さらに類似株や培養条件に関する定量値や、専門家の知見を拘束条件として数式に埋め込んで各数式のパラメーター推定や解析を効率化した。たとえば「過去の類似株ではこの物質が蓄積していた」といった生物学者の経験知を制約条件とするのである。これにより、開発初期のデータが少ない段階でも、各反応のパラメーターを効率的に推定し、生産性向上に寄与する反応箇所を予測できるようになった （竹谷友之、他：少数の実測データを用いた代謝速度論モデルの作成による大腸菌コハク酸生産株の生産律速点の同定、<a href="https://www.sbj.or.jp/2025/press_release/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">第77回日本生物工学会大会要旨集（2025.9）</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>この手法を、大腸菌を用いて食品添加物や化粧品のpH調整剤などに使われる「コハク酸」の生産系に適用したところ、構築したモデルから律速点を予測することができた。そこで律速箇所の遺伝子系に改良を加えると、実際に生産速度が向上することが確認でき、モデルの有効性が実証された。このような少数データから細胞内の反応や培養条件への応答をモデル化する技術は、現在進めている培養・発酵デジタルツインにおいても、培養条件の探索やスケールアップ時の挙動予測を支える基盤といえる。<br>（森山和道／サイエンスライター）</p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">93928</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>オープンエコシステムによるチップレット集積化の潮流と業界共通課題に高品質化技術で挑む</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/06/93912/</link>

                <dc:creator><![CDATA[森山和道]]></dc:creator>
                <pubDate>Jun 28 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[開発・運用]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=93912</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>半導体産業は、ウエハを製造する「前工程」と、ウエハを切り出して個々のパッケージに実装する「後工程」とに分かれて水平分業することで成長してきた。しかしこの堅牢で順調に思える産業構造を大きく変える可能性があるのが「チップレット集積化」である。AIの発展に伴う半導体需要の急増と、従来の微細化路線の限界を背景に、半導体業界はチップレット技術への移行という転換期を迎えているのだ。チップレット集積化とは、従来のモノリシックと呼ばれる単一のチップ上に集積化をしていくSoC（System on Chip）（単一ダイ集積）とは異なり、機能ごとに分割した複数の半導体ダイ（＝チップレット）を、先進パッケージ技術によって1つのシステムとして統合する設計・実装アーキテクチャである。研究開発グループ Sustainability Innovation R&amp;D グリーン＆コネクティブイノベーションセンタ 先端エレクトロニクス評価・実装研究部の植松 裕 主管研究員、井辻 宏章 研究員、下村 颯志 研究員の３人に業界動向の概要と、日立での取り組みについて話を伺った。<br><strong>（本記事は、日立製作所・研究開発グループ「最先端技術の源流」の抄録です。図解付きの全文は<a href="https://rd.hitachi.co.jp/_ct/17840310" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">こちら</a>）</strong></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>半導体の作り方はオープンエコシステムによる「チップレット」へとシフト</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>半導体市場はニーズの拡大を受け、CAGR（年平均成長率）約10％で成長中だ。一方、性能向上とコスト削減を両立させてきた微細化は、物理的・経済的な限界に直面している。5nm以下のロジックではマスクセット費用や検証コストが急増し、巨大なモノリシックダイは経済合理性を失いつつある。微細化の進展に伴って登場したFinFET（FinField-Effect Transistor）やGAA（Gate-All-Around）のような3次元構造への移行も、複雑化による歩留まりの低下とコスト高騰につながっている。そもそも機能ブロックごとに最適なプロセスノード（製造技術の世代）は異なるのだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そこで注目されているのが、機能ごとに製造した小さなチップ（チップレット）を1つのパッケージに統合する「チップレット化」である。機能を複数ダイに分割すれば、歩留まりの改善によるコスト低減が期待できる。また、高性能CPUコアは、3nmなど微細な先端ノードが望ましい一方、入出力（I/O）やアナログ回路は、安定した製造ができる22nmや28nmといった成熟ノードのほうが特性・コスト面で有利である。モノリシック設計ではこれらを同一ノードに載せる必要があるが、チップレット方式であれば機能ごとにノードの最適化が可能になる。再利用可能な半導体IPを構成要素として組み合わせることで、開発期間の短縮、製品バリエーション展開や世代更新を高速化できるメリットもある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>つまり、単一ダイ設計は製造コストの急増や歩留まりの悪化といった壁に直面しているが、機能を分割して最適なプロセスで製造して組み合わせるパッケージング技術（ヘテロジニアス・インテグレーション）が解決策として提示されている、と考えれば良い。この動きを背景に、半導体後工程のチップレット・パッケージング市場は、CAGR 42.5%で急成長している。プリント基板上での集積から、より高度なパッケージング技術による集積へとシフトしているのだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>進む標準化とオープンエコシステム化</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>この動きを加速させているのが、異なるベンダーのチップレットを接続するためのオープンな高速・低遅延の通信規格「UCIe（Universal Chiplet Interconnect Express）」や、業界団体OCP（Open Compute Project）が標準化を進めている設計言語「OCP CDXML（Chiplet Data Extensible Markup Language）」などである。標準化により複数社のチップ混在が容易になり、特定の企業がすべてを開発する垂直統合モデルから、インテグレーターがさまざまな企業のチップレットを組み合わせて最適なシステムを構築する「オープンエコシステム」への移行が期待されている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>米国、欧州、韓国、そして日本など世界各国も、半導体製造の強化にフォーカスしたCHIPS（CHIPS and Science Act）法やコンソーシアムの設立を通じて後工程・パッケージング技術への投資を強化しており、業界全体で、従来の微細化路線から集積化、そのための標準化といった、新しい製造パラダイムへの対応が進みつつある。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>新たな未解決課題「サイレントデータ破損（SDC: Silent Data Corruption）」</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>半導体の微細化・高性能化により、新たな信頼性の課題も発生している。近年注目されている課題の一つが、エラー検出機構をすり抜けてシステムが誤作動、あるいはデータの破損が静かに発生する「サイレントデータ破損（SDC）」だ。ハイパースケーラー（主要クラウドサービス事業者）からは、データセンターにおいてSDCがAIの学習阻害や推論結果の誤りを引き起こし、サービスの信頼性を損なう重大な問題となっていることも報告されている。「今後は自動車向け半導体でも問題となる可能性がある」と井辻氏は語る。Meta社の<a href="https://engineering.fb.com/2025/07/22/data-infrastructure/how-meta-keeps-its-ai-hardware-reliable/" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">調査</a>によれば、学習時の中断の66%以上はハードウェアに起因し、特にGPUやHBM（High Bandwidth Memory）などの最先端デバイスに起因する事例が全体の約半数を占める。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>SDCの根本原因はサプライチェーン全体にわたって存在しており、単一の要因では説明できない。宇宙線由来の中性子によるメモリのビット反転（ソフトエラー）、製造時の微細な欠陥、熱や電圧変動などの環境要因、あるいは最先端デバイスならではの性能を限界まで引き出す設計マージンの厳しさなどが、仮説として挙げられている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>現状でも深刻なこの問題は、将来的に異なるベンダーが製造したチップレットを組み合わせて1つのシステムを構築するオープンなエコシステムが普及した際、さらに複雑化・深刻化する恐れがある。各チップレットの相互作用によって予期せぬ不具合やSDCが多発し、システム全体の信頼性確保が極めて困難になる可能性があり、その診断と解決手法の確立は業界全体のオープンクエスチョン、未解決問題となっている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>日立の検査・診断・設計技術による高信頼化</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日立は、このようなチップレット化がもたらす信頼性の課題に対し、長年培ってきた技術的ケイパビリティを核としたアプローチで取り組んでいる。特に、サーバーや車載分野で培った実装技術と信頼性評価の知見を基盤に、後工程における「品質と信頼性の最大化」を核心戦略と位置付けている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>まず1つ目は検査技術の高度化である。日立ハイテクがもともと持っていた、前工程で強みを持つ検査・計測技術を、パッケージングを中心とする後工程へも展開する。大型パネルや3次元積層といった新しい実装形態で生じる特有の課題に対応するため、サブマイクロメートル（μm）単位の接続部においても、内部の微細構造を評価できる新しい検査技術の開発を進めている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>2つ目は診断技術の開発である。チップレット単体の健全性を保証する技術として、GPUの動作をリアルタイムで診断する独自技術を開発している。従来、性能低下を招いていた診断処理を、一部のコアだけに割り当てて演算処理と並列実行させることで、アプリケーションのスループットの低下を抑制して、効率的な故障診断を可能にした。これにより、SDCの要因となり得るチップ内部の制御異常の一部を効率的に検知することができる。この成果は2025年7月にIEEE Accessに<a href="https://ieeexplore.ieee.org/document/11062630" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">掲載</a>された。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>3つ目は高度なパッケージ設計・解析技術だ。チップレットの高密度実装では、電流による発熱、信号の速さ、パッケージの大きさ、熱による応力など、複数の物理現象が相互に影響し合う「マルチフィジックス」の課題が顕在化するため、高度な解析技術が必須となる。下村氏は「それぞれのドメインで独立した設計を行う従来のやり方では、物理限界に近づいたパッケージではドメイン間でのインタラクションを再現できない」と表現した。たとえば大電流が流れるとジュール熱が無視できない量となる。先端パッケージ設計においては熱と電流といった物理量を独立に見ることはできないのである。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日立はもともと、サーバー開発、ストレージ開発などで培った解析技術を応用し、これらの複雑な相互作用を考慮したパッケージ設計を行う。加えて車載エレクトロニクスやパワーデバイスなど過酷な環境で用いられる半導体を設計する技術も所有している。これらのケイパビリティをパッケージの高信頼化に活かすことができるという。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>チップレット化に伴って、複数のダイを接続するための中間基板となるインターポーザー技術も重要になっている。通常はシリコンインターポーザーが用いられるが、コスト増などの課題があるため、低コストな代替技術も注目されている。日立では低損失なガラスインターポーザが引き起こす特有のノイズ（空洞共振）をうまく抑制する技術なども保有しており、性能と信頼性を両立させる設計ソリューションの提供をめざす。これらの技術を統合し、オープン化するチップレット市場と市場ニーズに対して、高品質かつ安全な製品の実現に貢献する方向性である。<br>（森山和道／サイエンスライター）</p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">93912</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>脆弱性調査時間を45％削減 － 「AI for Security」が切り拓く”脱・人海戦術”のセキュリティ運用</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/06/93907/</link>

                <dc:creator><![CDATA[森山和道]]></dc:creator>
                <pubDate>Jun 25 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[開発・運用]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=93907</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>IoT環境の複雑化に伴い、セキュリティ対応は人手による力技が通用しない領域に達しつつある。日立が考える「AI for Security」は、製品企画から設計、運用までのライフサイクル全体をカバーし、属人化解消とセキュリティ品質の向上を同時に実現するAI技術群だ。その中でも脆弱性管理技術は、膨大な脆弱性情報から自社製品への影響を自動で解析し、専門知識が少ない担当者でも判断可能な日本語のチェックリストを生成することで、調査時間を約45%削減する。欧州サイバーレジリエンス法などの国際的法規制対応を背景として必要性が増している製造業におけるPSIRTの業務を支援する。この技術について、日立製作所研究開発グループ Digital Innovation R&amp;D システムイノベーションセンタ セキュリティ＆トラスト研究部の森田伸義 主任研究員と、粕谷桃伽 研究員に話を伺った。<br><strong>（本記事は、日立製作所・研究開発グループ「最先端技術の源流」の抄録です。図解付きの全文は<a href="https://rd.hitachi.co.jp/_ct/17826969" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">こちら</a>）</strong></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>限界を迎えた「人海戦術」とデータ構造化のニーズ</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日立は、IoT製品・システムなどの製品セキュリティにおける脆弱性対処に必要な知見を補う、生成AIを活用した「脆弱性分析サービス」を2025年3月5日から販売開始し、PSIRTソリューションを強化すると<a href="https://www.hitachi.co.jp/products/it/security/news/20250305.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">発表</a>した。生成AIを活用して脆弱性情報の分析を自動化し、専門知識の乏しい設計開発者でも迅速な判断を可能にする技術である。一言で言えば「AIを使ってセキュリティ業務を改善しよう」という取り組みだ。熟練者に依存することなく、知識が少ない顧客の業務も支援することでセキュリティを確保する。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>脆弱性データベースであるCVE (Common Vulnerabilities and Exposures）における新規登録される脆弱性の件数は年間約3万件に及ぶ。さらに2027年12月に全面適用される欧州のサイバーレジリエンス法（CRA：Cyber Resilience Act）をはじめとする国際的な法規制の強化なども背景として、製造業におけるPSIRT（Product Security Incident Response Team：製品セキュリティインシデント対応チーム）の負担は日々重くなっている。なにしろ年間ベースで３万件なので、製品に関連するかどうかを確認しなければならない運用段階においては時間を遡って数十万件分を探索する必要がある。膨大なデータと自社のSBOM（Software Bill of Materials、ソフトウェア部品表）を照合し、対処すべきリスクを特定するコストは、もはや物理的に困難なレベルに達し、設計開発現場において甚大な負荷となっている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そもそも非専門家では、この情報だけ渡されても、どこの何が自社製品に関わっているのかを把握することすら困難だ。現状の体制では製品ラインナップやサービス規模の拡大に追従できない。結果として専門家任せ、つまり「判断のブラックボックス化」を招き、経営層がパッチ適用の是非やサービス停止の判断といった迅速な意思決定を行えないリスクが生じている。すなわち、求められているのは、単なる自動化ツールだけではない。熟練者の思考プロセスそのものをAIによって構造化し、誰もが論理的な判断を下せるよう支援する「セキュリティ運用の標準化」である。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>簡単には止められないシステムに対するリスク管理</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>このサービスでは生成AIを活用して、専門的知見を必要とする脆弱性情報を解析し、脆弱性の影響を受ける条件だけをチェックリストとして提供する。適用分野はヘルスケア、産業機器、自動車など、いわゆる「OT/重要インフラ」領域、すなわちなかなかアップデートできない種類の製品であり、特に稼働を止められない、あるいは止めると莫大なコストがかかるといった分野の製品・サービスのセキュアな開発・運用に適用される。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ITセキュリティの原則が「機密性」や「完全性」を重視し、リスクがあれば即座にパッチを適用、あるいはシステム停止するのに対し、これらの分野では「可用性」が重視される。不用意なパッチ適用による再検証・再認証のコストや社会的・経済的損失の問題もあるため、アップデートも難しい。脆弱性を報告されてもどこをどう確認すればいいのか分かりにくく、すぐにパッチを当てられない場合も少なくない。その結果、セキュリティ熟練者に依存した属人化した対処が行われているのが現状だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そのためリスクを緩和・軽減する、いわゆるリスク・ミティゲーション（Risk Mitigation）の考え方が重要となる。この脆弱性管理技術では、AIが生成したチェックリストに従って「以下の全てに該当すると攻撃を受ける可能性がある」と誰でも判定できるようにすることができる。つまり、「この設定条件さえ回避していれば、脆弱性は発動しない」という根拠を提示できれば、即時のパッチ適用やシステム停止を回避しつつ、運用継続を選択できるというわけだ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>生成AIによる「論理構造の抽出」によって高度な分析・対策が誰でも可能に</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>脆弱性管理プロセスは主に「検知」「トリアージ」「対策要否推定」の3段階に分かれる。日立は脆弱性の検知から影響判定までのプロセスを論理的に構造化する、3つのコア技術を確立した。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>まず「検知」技術においてはSBOMと脆弱性情報の高精度突合を行う。生成AIが製品名、バージョンなどの表記揺れ文脈から吸収し、正確な紐付けを実現した。これにより調査対象の自動絞り込みによる、初期フェーズの劇的な工数削減が可能になる。そして「トリアージ」においては優先順位の定量的評価を行う。大量の未対策情報に対し、リスクベースで着手順を評価する。これにより運用初期の混乱を回避し、限られたリソースを重要案件に集中することができるようになる。ただしここは現在も研究開発中だ。3つ目は「対策要否推定」だ。論理的判断の自動生成により、脆弱性情報や修正パッチを解析し、具体的な影響判断条件を抽出する。専門知識なしで「論理的な運用継続」の根拠を提示することができることで、どんな順番で何を確認すればいいのかがわかる。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ポイントは、生成AIを単なる要約や検索に使うのではなく、脆弱性の「発動条件の論理構造化（Boolean Logic Extraction）」に応用している点である。単に「影響あり／なし」を判定するのではない。AIがCVEなどの脆弱性情報などを使って、脆弱性の顕在化条件（ソフトウェアのバージョン、特定の関数の使用、引数の処理方法、ネットワーク設定等の具体的な条件）を抽出・解析することで、成立条件（and/orロジック）として構造化された判断テーブルを出力する技術も研究中である。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>つまり分析者は、提示された条件をすべて満たす必要があるのか、いずれかで良いのかを判断できるようになるため、自社製品の仕様を確認するだけで、高度なセキュリティ判断を下すことが可能になる。要するに、実際の製品で顕在化するかどうかがチェックリストに従ってチェックしていくだけで判断できるのだ。「従来手法に比べて調査時間を約45％短縮できる」という評価も頂いた。生成AIがチェックリストを自動生成することで、担当者ごとのスキルのばらつきを排除し、抜け漏れを防止する品質の均一化も可能だ。調査時間の短縮だけではない。繰り返しになるが、この技術は「論理的な運用継続」の根拠を提供できるという点が大きな特徴だ。つまり「どの条件を満たせば、この脆弱性は発動しないか」を定式化することで、不要なシステム停止を回避しつつ、安全性を担保した運用の継続を支援することができるのである。<br>（森山和道／サイエンスライター）</p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">93907</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>冷媒ガスを使わず効率良い冷却を実現する「磁気冷却」</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/06/93903/</link>

                <dc:creator><![CDATA[森山和道]]></dc:creator>
                <pubDate>Jun 24 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[開発・運用]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=93903</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>「冷却」は、エアコンや冷蔵庫などで馴染みが深いだけに簡単に実現できるものと考えられがちだ。しかし、冷媒規制および脱炭素社会にむけた消費電力の削減の2つの社会課題との関係を考えると、従来通りの冷却、冷凍の技術を使い続けることに懸念が生じる。日立では、冷媒ガスを使わず、同時に効率が高い冷却技術として、磁気の作用によって冷却する「磁気冷却（磁気冷凍）」の研究を進めている。日立製作所 研究開発グループ Sustainability Innovation R&amp;D 計測インテグレーションイノベーションセンタ ナノプロセス研究部の山本浩之 主任研究員に、磁気で冷やすという発想が、未来の冷却技術をどう変えるのかについて尋ねた。<br><strong>（本記事は、日立製作所・研究開発グループ「最先端技術の源流」の抄録です。図解付きの全文は<a href="https://rd.hitachi.co.jp/_ct/17823917" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">こちら</a>）</strong></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>社会課題の解決に有望な常温の磁気冷却技術</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>近年は冷凍や冷房などの熱交換に用いる代替フロン（HFC）冷媒の規制強化が進んでいる。対応として、温室効果が少ない新しい冷媒の開発も進んでいる一方で、冷媒ガスを一切使わない冷却技術の実用化にも目が向けられてきている。同時に脱炭素社会に向けては、冷房や冷却に使っている消費電力の削減も大きな社会課題になっている。日立では、冷媒規制と脱炭素社会という2つの課題に応える技術として、『磁気冷却』の研究を進めている。磁気冷却は、一言で説明すると「磁気エントロピーを用いた冷却技術」である。山本は「磁気冷却は、冷媒ガスフリーで、かつ電力効率が良いというポテンシャルを持っています。極低温での冷却の効果が認められていた技術ですが、室温での冷却を可能にする室温磁気冷却技術が開発されてきたことで、今後の社会課題の解決に貢献できる可能性が高まってきているのです。既存の冷却方式と比較すると、ペルチェ効果を使った熱電冷却より高効率で、蒸気圧縮冷却で不可欠な冷媒ガスが不要という特徴があります」と説明する。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>磁気冷却の中核を担うのは、『磁石』と『磁気熱量効果材料』の2つだ。磁気熱量効果材料という言葉は聞き慣れないものかもしれない。これは、磁場を印加したり除去したりすることで、温度が上昇したり低下したりするような材料のことを指す。磁気によって温度が上昇・低下する原理を簡単に見ていこう。「磁気熱量効果材料に磁場を印加します。すると、材料原子の中の電子のスピンが磁場によって整列します。これは磁気エントロピーが減少することを意味します。一方、材料全体で見ると、電子のスピンが整列することによるエントロピーの減少分の熱が、原子が配列した結晶格子系に放出されることになり、温度が上昇します。逆に磁場を除去すると、スピンの整列が解けてエントロピーが増大し、その分だけ結晶格子系から熱が奪われるために温度が低下します。この仕組みを使うことで、磁場をコントロールして冷却システムが作れるのです」（山本）。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>磁場による磁性体の温度変化の現象は、1881年にすでに発見されていた。その後1920年ごろに磁気冷却（磁気冷凍と呼ぶことも多い）の基本原理が解明され、絶対零度（摂氏-273℃）に近い極低温物理分野での冷却技術の発展に大きく貢献した。潮目が変わったのは1970年代からで、室温領域での磁気冷却の動作が実証されたことが大きな転換をもたらした。その後、1990年代には蓄熱・再生型磁気冷却法（AMR：Active Magnetic Regenerator）と呼ぶ、室温で効率的に磁気冷却の効果を取り出すための技術が開発された。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>磁気の印加と除去のサイクルに、水などの熱交換媒体と組み合わせることで、磁気熱量効果材料の両端に大きな温度勾配を生成することが容易にできるようになったためだ。AMRサイクルの採用により、室温で動作する磁気冷却システム――すなわち室温磁気冷却機――の実現が原理的に可能になった。1990年代後半から2000年代にかけて、さらに巨大磁気熱量効果を示す新しい材料の発見もあり、実用化に向けた研究が加速している。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>試験システムの構築から材料の研究まで幅広く研究</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>磁気冷却の技術が、実用化に向けて進展しているといっても、まだまだ製品に使えるような段階ではないという。山本は、「巨大磁気熱量効果を示す新しい材料の発見は大きな成果ですが、AMRサイクルを実際に具体化するためのシステム構造にもまだ確定的なものはありません。循環のためのシステムが複雑なのです。さらに、高磁場が求められることから、希少元素などを用いた高価な磁石が必要になり、コストが高いことも課題のひとつです。冷却の出力を上げようとすると、磁石を駆動するためのエネルギーも多く必要になり、効率が下がることも課題です。電力消費を抑えながら、適切な用途に必要な冷却能力を提供するような、用途と性能のバランスを捉えることも必要なのです」と語る。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>超電導やスピントロニクスの磁気メモリーの研究を経て永久磁石の研究をしていた山本が、磁気冷却を本格的な研究テーマとして開始したのは2022年、磁性材料についての応用研究の新しいテーマを探している中で磁気冷却に着目したという。「日立ではかつて極低温の磁気冷凍機を作っていた歴史がありましたが、室温磁気冷却については研究しているチームはありませんでした。環境への負荷という点で社会課題の解決につながるポテンシャルの高い研究だと考え、自ら立ち上げることにしました」（山本）。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>そうした研究により、現在までにAMRサイクルを採り入れた室温の磁気冷却機を試験的に開発した。磁気冷却の実用化に向けた課題のひとつは、高い冷却パワーと電力効率を両立させること。 そのために、材料の特性改善に加え、要素機能を組み合わせたシステム全体の設計が重要になる。磁石の素材の選定や磁場発生機構の構築、磁気冷却ユニットの全体構造の決定、熱交換媒体として使う水の流体制御など、さまざまな知見が組み合わさった新たな磁気冷却システムを作った。冷却パワーと電力効率の両立に向けた研究の足がかりを作った段階だ。山本は、「日立は、磁性材料や周辺の磁気応用技術に強みがありますから、それらの技術を生かしながらより高効率で高出力の磁気冷却システムへの適用をめざしています」と語る。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>環境への貢献とコストとのトレードオフができる用途から実用化へ</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>磁石コストの問題について山本は、「既存の材料をうまく使いこなすことで解決の可能性があると考えています。永久磁石と磁性材の組み合わせや構造の工夫により、磁気回路の設計を適切に行えば、コンパクトで効率よく高い磁場を発生させられるでしょう」と見る。それでも磁気冷却をコンシューマー向けの製品などに利用するのは、コストと性能のバランスを考えると、まだ遠い未来の話かもしれない。一方で、日立が着目しているのは産業への応用だ。「工場で利用するような高額の製造装置の冷却装置への適用に可能性を感じています。既存の製造装置に対して、冷媒ガスを使わない高効率の冷却装置として取り付けるような使い方です。冷却水などを循環させるチラーの冷却装置としての用途が考えられます」（山本）と未来を見据える。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ここで根底にあるのは、産業用途での磁気冷却の利用であれば、システム全体のコストの中で高効率かつ低消費電力の冷却装置として、導入コストの高さが大きなデメリットにならないという考えだ。冷媒ガスを使わずに高効率の冷却ができることによる環境負荷軽減の価値を認めてもらうことで、磁気冷却の実用化の第一歩になると想定している。磁気冷却の実用化には、さまざまな技術要素や実現課題が関連している。冷却性能や装置の大きさ、そして冷却する温度帯などの要件を整理して、ターゲットとするシステムを精査していく必要がある。「それには、社内だけではなく、グループ会社や社外パートナーと連携する必要があると考えています。こうした連携をもとにして、大規模な産業機器などの冷却用途からの実用化をめざします」（山本）。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>日立は、磁性材料や、周辺の磁気応用技術の強みを生かし、より高効率で高出力の磁気冷却システムの実現をめざして実用化のための研究開発を推進していく。さらに、外部の材料メーカーや機器メーカーなどとも連携しながら、磁気冷却技術の社会実装に向けた取り組みを加速させ、環境負荷低減と電力効率の両立を実現する新たな冷却技術の道を切り拓こうとしている。<br>（岩元 直久・WirelessWire &amp; Schrodinger’s編集長／森山和道・サイエンスライター）</p>
<!-- /wp:paragraph -->]]></description>

                <post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">93903</post-id>
            </item>
                    <item>
                <title>「本当のゼロトラスト」を支える基盤となるゼロ知識証明</title>
                <link>https://wirelesswire.jp/2026/06/93897/</link>

                <dc:creator><![CDATA[森山和道]]></dc:creator>
                <pubDate>Jun 23 2026 21:00:00 +0000</pubDate>
                                                    <category><![CDATA[開発・運用]]></category>
                                <guid isPermaLink="false">https://wirelesswire.jp/?p=93897</guid>

                <description><![CDATA[<!-- wp:paragraph -->
<p>ゼロ知識証明とは自身が持つ知識や命題の真実を、それ以上の情報を提供せずに証明する技術である。「不正していないこと」を保証できることから、これまでミッションクリティカルシステムの構築で培ってきたセキュリティ技術や分散データ処理技術を活用しブロックチェーンの研究開発を加速させる日立にとっても、プライバシーと透明性のトレードオフを解決する手段として急速に進展しつつある。加えて、サーバー計算の検証や電子証明書の一部の情報開示と検証、耐量子計算機暗号など広範なセキュリティ基盤に貢献する技術として期待されているので、量子コンピュータにおいても研究の先頭を切る同社との相性も良い。セキュリティの基盤として、いわば「本当のゼロトラスト」を実現し得るゼロ知識証明の現在と社会実装の可能性について、日立製作所研究開発グループ Digital Innovation R&amp;D システムイノベーションセンタ セキュリティ＆トラスト研究部の長沼健 主任研究員に話を伺った。<br><strong>（本記事は、日立製作所・研究開発グループ「最先端技術の源流」の抄録です。図解付きの全文は<a href="https://rd.hitachi.co.jp/_ct/17824011" target="_blank" rel="noreferrer noopener external" data-wpel-link="external">こちら</a> ）</strong></p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>ゼロ知識証明　「秘密を知っている」ことを、秘密の内容を漏らさずに証明する</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>ゼロ知識証明（Zero-Knowledge Proof、ZKP）とは、ある人（証明者）が「特定の秘密を知っている」という事実を、その秘密自体を一切明かすことなく相手（検証者）に証明するための暗号技術である。証明者は「自分は答えを知っている」ことを示せる。だが検証者は「答えが何であるか」については一切の情報を得られない。つまり、ある主張が正しいことを証明するために、その主張の中身（たとえば秘密の情報）そのものは明かさないで済む仕組みが「ゼロ知識証明」だ。日立でゼロ知識証明の研究を行なっている長沼は「ゼロ知識証明は暗号のコンテキストで長年研究されてきた技術だが、ブロックチェーンに取り込まれてから一気に進んだ」と紹介する。「特にここ1〜2年では、1年が10年分に相当するほどの急激な進歩を遂げ、実用性が大幅に向上している」という。ゼロ知識証明を使うことで、自分が持っている知識や命題----たとえば「自分は20歳以上だ」とか「暗号の鍵を持っている」ということを、余計な情報を与えることなく他者に証明することができる。たとえば、「20歳以上だ」ということを証明するときには、運転免許証やマイナンバーカードなどの適当な身分証明書を提示するのが一般的だ。しかしそうすると、単に20歳以上であることを証明したいだけなのに、余計な情報まで漏れてしまう。ゼロ知識証明はこれを防ぐための技術だと考えれば良い。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>アリババの洞窟</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「暗号の鍵を知っている」ことを証明したいとき、一番単純な方法は鍵を渡すことだ。しかし渡したくないときには、暗号を復号してみせればいい。これを洞窟の出口探索で例えたものである。<br>「アリババの洞窟」では二つの出口を想定する。この二つの出口は奥で繋がっているが、通路には「呪文」を唱えないと開かない扉がある。この状況で、検証者は洞窟の外で待つ。証明者は洞窟に入って、どちらかの出口から出る。検証者は証明者が秘密の呪文を知っているかどうか疑っており、ランダムに、どちらからの出口から出てくるよう要求する。この要求に証明者が何度でもこたえることができたら、検証者は証明者が「本当に呪文を知っているのだな」とみなせる。だが、呪文そのものについての知識は得られない。これがゼロ知識証明の例え話である。要するに「秘密を知っている証拠は示すが、秘密そのものは守ることができる」のだ。この利点からゼロ知識証明は、ブロックチェーンを使った暗号資産、認証システム、プライバシー保護などに用いられている。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>「アリババの洞窟」は、証明者と検証者が何度もやりとりする必要がある対話型の「Interactive ZKP」だ。だがこれでは現実には使えないケースも多い。現在のブロックチェーンなどに実装されている主流の技術は非対話型「Non-Interactive ZKP（NIZK）」特に、非対話型の中でもデータサイズの小さい「zk-SNARK（Zero-Knowledge Succinct Non-interactive Argument of Knowledge) 」と呼ばれている。zk-SNARKでは、証明者は「証明（proof）」と呼ばれる短いデータを作成し、送り検証者はそれをチェックするだけで真か偽かを判定できる。つまり一度のやりとりだけで済むのである。ブロックチェーン上でゼロ知識証明を利用する場合、サーバーを介さずに直接通信をおこなうP2P(Peer to Peer)ネットワーク上の不特定多数が検証者となるため、証明者との対話を行うことは非現実的だ。よって、ゼロ知識証明をブロックチェーンに活用する際にはzk-SNARKが必須条件だ。</p>
<!-- /wp:paragraph -->

<!-- wp:heading -->
<h2 class="wp-block-heading"><strong>量子コンピュータでも解読できないzk-SNARK方式を開発</strong></h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>zk-SNARK最大の利点は、生成される証明データサイズが小さく、検証も高速で済む点である。ブロックチェーンでゼロ知識証明を利用する際には、トランザクションデータ（取引内容のデータ）に証明データを追加することになるが、ブロックチェーンのブロックサイズは限られており、手数料もデータサイズに比例する。コスト削減のためにもデータサイズは小さいことも重要なのだ。ただし課題もある。現在の主流のzk-SNARKは楕円曲線暗号やペアリング暗号に依存している。これらの安全性は現実的な時間で暗号のベースとなっている数学的な問題を解くことが難しいことを根拠としている。しかしながら将来、これらの問題を高速に解ける量子コンピュータが実用化されると破られる可能性がある。その結果、秘匿したい情報が暴かれてしまうかもしれない。金融庁なども2030年頃を目標に現在の暗号を、量子コンピュータでも解くことが難しい数学的構造を基盤にした「耐量子計算機暗号（Post-Quantum Cryptography、PQC）」へと移行する必要性を指摘している。</p>
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<p>日立は2020年、この課題に対応するために量子コンピュータでも解読されないと期待されている「量子コンピュータ耐性」を持つzk-SNARK方式を開発した。耐量子性を実現するためのアプローチとしてハッシュベース暗号や格子ベース暗号などが研究されている。長沼は耐量子性を持ちつつ、証明のデータサイズが小さいといった利点を持つプロトコルの研究開発に取り組んでいる。目標は、仮想通貨の盗難などを防ぐこと、そして安全なゼロ知識証明技術の確立だ。日立の強みは、量子コンピュータそのものの研究と、それによって新たに生まれる脆弱性をカバーする暗号研究双方に取り組んでいる点にある、と言えるだろう。<br>（森山和道／サイエンスライター）</p>
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