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[2015年第13週]ドコモがLTE-Advancedを開始、商店街で手軽にBeacon利用、光セット割の利用意向は3割台

Weekly Report: Week 13 2015

2015.04.01

Updated by Naohisa Iwamoto on April 1, 2015, 11:23 am JST

ドコモのLTE-Advancedサービス「PREMIUM 4G」の提供が始まった。当面はモバイルルーターだけの利用となるが、2015年度の早期に対応スマートフォンの投入も計画しており、225Mbpsの高速サービスが広がりを見せる。Beaconを使ったソリューションとして、商店街などで手軽にコンテンツを提供できる新システムと、コーヒーマシン利用者に情報を提供する新サービスがお目見えした。NTT東日本、NTT西日本の光回線サービスの卸売を利用した「光セット割」に関する認知度調査では、名前としての認知度は高いものの、実際の利用意向は3割台にとどまる結果が見えた。

PREMIUM 4Gスマホも登場へ、IIJが法人向けのKDDI網MVNO

NTTドコモは、次世代ネットワークの「LTE-Advanced」の技術を利用し、国内最速となる下り最大225Mbpsのデータ通信サービス「PREMIUM 4G」を3月27日に提供開始した。全国22都道府県の都市部から提供を開始し、2015年度のうちに全国主要都市へと順次拡大する。当初、対応するのはモバイルルーター2機種だが、2015年度の早期にLTE-Advanced対応スマートフォンの発売を計画している(関連記事:国内最速となる受信時最大225MbpsのLTE-Advanced「PREMIUM 4G」を提供開始)。

インターネットイニシアティブ(IIJ)は、KDDIのau 4G LTEネットワークを利用した法人向けモバイルデータ通信サービス「IIJモバイルサービス/タイプK」を4月1日に受注開始すると発表した。ドコモ、ワイモバイルに加えてKDDIのネットワークも利用できるようになることで、バックアップ用途などマルチキャリア対応のメリットを生かした利用が可能になる。エントリープランの「定額プランライト」は、月間3GBの高速データ通信が可能で、月額費用は900円(関連記事:IIJ、KDDI回線を使う法人向けデータ通信サービス「タイプK」、月間3GBで月額900円から)。

NTTコミュニケーションズは、IP電話アプリ「050 plus」と、企業向けの050IP電話サービス「050 plus for Biz」に、アプリを起動していなくても着信できる「プッシュ着信通知機能」を追加した。これまではアプリが起動していないときの着信は留守番電話センターで預かり、メールで着信を通知していた。プッシュ着信通知機能では、Androidならば着信時に自動的にアプリが起動、iOSの場合は着信の通知画面をスライドすることでアプリが起動し、スムーズな着信が可能になる(報道発表資料:IP電話アプリ「050 plus」と「050 plus for Biz」にアプリを起動していなくても着信できる「プッシュ着信通知機能」を追加)。

商店街もコーヒーマシンもBeaconで情報発信

Beaconの実用化の事例が広がっている。この週は商店街などで利用しやすいTwitter連動のBeaconのニュースと、オフィスのコーヒーマシンにBeaconを装着した新サービスのニュースがあった。

商店街などに向けた新システムは、アプリックスIPホールディングスが開発したもの。Beaconを利用したスマートフォンへの情報配信システムで、配信するコンテンツとしてTwitterに登録した情報を活用できる。東京都世田谷区の経堂農大通り商店街が採用した。コンテンツにTwitterの情報を利用できるようにしたことで、運営者はTwitterに情報を登録するだけでBeaconと連動したコンテンツをスマートフォンに表示させることができるようになった(関連記事:アプリックスのTwitterとBeacon連動システム、世田谷区の商店街が採用し鉄道運行情報発信)。

コーヒーマシンで提供するサービスは、ネスレ日本が提供するもの。職場などで同社のコーヒーマシンを無料で利用できる「ネスカフェ アンバサダー」に向けて、Beaconの位置情報を利用したコンテンツ配信サービス「ネスカフェ アプリ」を提供する。バリスタに装着したBeaconにスマートフォンを持ったユーザーが近づき、コーヒーを抽出する音を検知することで、情報提供やポイント付与などが行われる。サービスのBeaconのプラットフォームとしては、ACCESSの「ACCESS Beacon Framework」(ABF)が採用された(関連記事:職場のコーヒーマシンと連動して情報提供する「ネスカフェ アプリ」に、ACCESSのBeaconが採用)。

認知が進む光セット割、ドコモがペット保険やモビリティシェアも

このほかの主なトピックを紹介する。光セット割に関するユーザーの認知度、導入意向についての調査結果が発表されている。MMD研究所が、16歳以上のスマートフォン利用者の男女2220人を対象に実施した。それによると、光セット割の認知度は82.3%と高いものの、その中の65.5%の回答者は「サービス内容をよく理解していない」のが現状のようだ。光セット割の利用意向は33.9%と3分の1位程度。加入したい理由は、「回線料金が安くなるから」が85.1%と圧倒的に多く、2位以下の「サービス内容が魅力的だから」(27.4%)、「固定回線を変更しようと思っていたから」(11.9%)を大きく引き離した(報道発表資料:光セット割の利用意向は33.9%、認知度は82.3%あるも65.5%が「サービス内容をよく理解していない」)。

NTTドコモは、ペット保険サービスに参入し4月1日にサービスの提供を開始する。ドコモのペット保険は、通院から入院、手術まで補償する「ドコモのペット 保険トータルケア」(トータルケア)と、高額になりがちな手術費用を補償する「ドコモのペット保険 手術ケア」(手術ケア)の2種類を用意する。ドコモは愛犬の健康管理ができるペット向けサービス「ペットフィット」を提供しており、ドコモのペット保険とともにペットフィットのノウハウも生かして、ペットとの共生社会の実現を目指すという(関連記事:ドコモがペットの保険に参入、トータルケアと手術ケアの2種類を提供)。

またドコモは、移動環境を提供する機器をシェアして使うための「モビリティシェア」事業について複数の施策も発表している。1つは、次世代型電動車椅子を開発するWHILLと業務提携し、ドコモのモビリティシェアシステムに対応させること。もう1つはRT.ワークスおよび片山工業と電動歩行アシストカートなどを使ったモビリティシェアの実証実験を行うことである。いずれも通信機能、GPS機能、貸出・返却管理やバッテリー残量の把握に関する遠隔制御機能などを提供するドコモのモビリティシェアシステムに対応させ、複数の利用者による共同利用を実現する(関連記事:ドコモ、電動車椅子や電動歩行アシストカートなどのモビリティシェア事業を推進)。

ドコモ、電動車椅子や電動歩行アシストカートなどのモビリティシェア事業を推進

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。