5G・ネットワーク 2020年のネットワークの形

5Gは、現行の第4世代携帯電話(4G)の上位に位置づけられる次世代移動体通信方式。2020年以降の商用化を目標に現在標準化と技術開発が進められている。

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5Gに求められる要件

5Gでは、IoTの普及に伴う端末数や用途の増加に伴い、10Gbpsを超える通信速度、LTEの約1000倍の大容量化が求められている。また、自動運転などをはじめとする制御系のユースケースや、防災などの人命に関わるユースケースが増えることで、高信頼性低遅延が求められるようになる。ITU-Rのビジョン勧告では以下のようなパラメーターが検討されている。

5gspec2015

ネットワークのキャパシティを増やすためには周波数利用効率の向上が必要で、そのためには基地局やアンテナを増やす必要がある。一方で、これらの設備を動かすための電力も増えるようでは持続可能性の観点から問題があり、省電力技術とネットワークアーキテクチャの両方から省電力化を進める必要がある。

また、これまでとは桁違いに多くのアプリケーションがネットワークを利用すると考えられており、なおかつトラフィックの分布も人の移動に合わせて時間経過と共に大きく変動すると考えられている。特に日本においては、2020年の東京オリンピックの期間中、スタジアムなどにさらに大量のトラフィックが集中すると考えられている。通信設備を有効に活用し、多様化するニーズを満たすために、ネットワークにも柔軟性拡張性が求められる。

5G標準化の動向

移動体通信システムの国際標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)では、2015年9月の会合から5G標準化のワークアイテム(詳細な技術要件)に何を取り上げるかを決める「Release13」の議論を開始した。Release13は2016年3月に標準化を終える計画となっている。

5Gの標準化に際しては、複数のフェーズによって段階的に多くのユースケースに対応するという考え方が3GPPに参加する多くのベンダー、オペレーターに共有されている。最初の段階であるフェーズ1ではモバイルブロードバンドの大容量化・高速化に対応するもので、2018年末の標準化(Release15)が予定されている。2020年から商用化される5Gは、このフェーズ1に対応したものになる。フェーズ2以降で低遅延化、大量デバイスへの対応が実装される。

5Gの主な技術

注目されている技術のいくつかを紹介する

ミリ波帯の活用

5Gの要求仕様となっている1GHz以上の帯域幅を確保するためには、現在利用されていない高い周波数帯の電波を活用することが必須となり、ベンダー各社が複数の周波数帯で研究を進めている。NTTドコモはエリクソン(15GHz帯)、サムスン(28GHz帯)、ノキアネットワークス(70GHz帯)などと共同実験を行っている。なお、6GHz以上の周波数帯の5Gへの割当は、2019年のWRC(世界無線通信会議)で議論されることになっており、2020年に商用化されるフェーズ1については、6GHz以下の周波数帯が利用される見通しとなっている。

スモールセル活用

ミリ波などの高い周波数の電波は直進性が高く到達距離が短いという特性があり、従来の基地局に比べると基地局のセル半径が小さくならざるをえない。セル半径の小さいスモールセルを高密度に配置することで、通信可能な端末数と帯域を増やすことができる。従来からHetnetとしてマクロセルとスモールセルを重ねて配置することでキャパシティを増やす技術は利用されているが、5Gでは制御信号とデータ信号を分離して低い周波数帯のマクロセルに制御信号、高い周波数帯のスモールセルにデータ信号を割り当てることで接続性、モビリティと大容量通信を両立する技術(NTTドコモのファントムセル)などが提案されている。

MassiveMIMO

MIMO(Multi Input Multi Output)は、複数のアンテナを使用することで送受信の高度化をはかる技術で、LTE-Advancedでも8×8MIMOの構成までが標準化されている。5Gではさらにアンテナ数を増やして64×64MIMO、もしくは128×128MIMOになると言われている。またアンテナの向きによって電波の方向を絞り込むことで電波の到達距離を延ばす「ビームフォーミング」が注目されている。5Gで活用されるミリ波ではアンテナサイズも電波の到達距離も小さくなるため、MassiveMIMOは相性が良い技術である。

クラウド化・オーケストレーション

NFVによるネットワーク機器の仮想化、SDNによるネットワーク制御のオンデマンド化にとどまらず、基地局機能の一部をも仮想化するソリューションが出てきている。異なる場所にある基地局をイーサネットで接続してキャリアアグリゲーションするような、従来には無かったソリューションも可能になる。これらを自動管理するオーケストレーション技術が5G時代のネットワーク運用技術の鍵となる。

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