スーパーボウル2014:年々拡大するスタジアムでのデータ通信
2014.02.14
Updated by Hitoshi Sato on February 14, 2014, 02:00 am JST
2014.02.14
Updated by Hitoshi Sato on February 14, 2014, 02:00 am JST
2014年2月2日、ニュージャージー州イーストラザフォードのメットライフ・スタジアムで48回目のスーパーボウルが行われた。スタジアムには8万2,500人の観客が見に来た。1か所に多くの人が集中する場所では、ネットワークが繋がりにくいことが多い。これは日本でもよく経験することでアメリカでも同じである。今回のスーパーボウル開催中にメットライフ・スタジアムにおいてアメリカの通信事業者3社のうち、どこの通信事業者のネットワークがよかったのかNexgen Wirelessがテストを行った。結果は以下の通りである。
(テスト結果を元に筆者作成)
ネットワークテストは、試合前、試合中、試合後で6回続けて行われ、それぞれスタジアムの室内、屋外で実施した。1回のテストは28分で、音声通話20秒を10回、音声通話2分を3回実施。データ通信の方は2分間のYouTubeの動画を再生、20Mと10Mのファイルのアップロード、100回のpingテストを行った。データ通信ではAT&TがVerizon、Sprintに大差をつけた。音声通話ではSprintの成功率が一番高く、ドロップはどの事業者もなかった。
アメリカでも多くの人がスマートフォンを利用するようになり、スタジアムの観客らは観戦しながら撮った写真や動画をFacebook、Instagram, SnapchatやTwitterといったソーシャルメディアに頻繁にアップしていたのだろう。さらに音楽やゲーム、動画のダウンロードなども多くなってきている。
年々、このようなイベントでのデータ通信量は増加していく一方である。AT&Tによると、今回のスーパーボウルのスタジアムの観客でAT&Tユーザが通信したデータトラフィックは624GBであり、この数字はAT&T にとって1つのイベントでは最高のデータ量だった。また昨年の388GBから大きく伸びた。2011年の177GBからは約4倍も増加しており、今後もさらに増加するであろう。なおスタジアムでのAT&Tユーザによる音声通話は55,000回あったそうだ。
AT&Tは今回のスーパーボウルに備えて、従来の3倍のキャパシティを持つDAS(Distributed Antenna Systems)を4つとスタジアムと駐車場に配置した9台のCOW (cell on wheels)によって大量のトラフィックを処理した。
これからもスマートフォンはアメリカや日本だけでなく世界中で普及し、それに伴ってデータ通信のトラフィックも右肩上がりに増加するだろう。この流れを止めることはできない。現在、ロシアのソチでオリンピックが開催されている。1か所に多くの人が集まるイベントは今後も世界中開催される。そのような場所でユーザがイライラしないで、気持ちよく通信できるような環境を提供することが世界中の通信事業者には求められている。イベント時には多くの人がそこでの現状を写真や動画でソーシャルメディアでアップし、情報発信を行う。そのような時に、ネットワークの品質が悪いと、そのような情報も一緒にアップされてしまう。快適なネットワークの提供はそのような悪評を封じ込めることにもつながる。
(AT&T )
【参考動画】
スーパーボウルでのVerizonの広告。「Powered by the most powerful network」とのことだが、今回はAT&Tに軍配が上がった。
【参照情報】
・AT&T blows out Verizon and Sprint in Super Bowl data speeds
・AT&T リリース:Running up the Scoreboard: Big Game Brings in Big Numbers
・How AT&T Prepared MetLife Stadium for Super Bowl Sunday
※修正履歴:
(2/14 13:50)記事公開時、Nexgen Wirelessによる比較表のアップリンクとダウンリンクが逆になっておりましたので、修正いたしました。ご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。(編集部)
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。