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NTT、20m先にいる人の声を区別して拾える「ズームアップマイク」を開発

2014.04.17

Updated by Asako Itagaki on April 17, 2014, 07:29 am UTC

4月16日、NTTは、カメラでズームして撮影するように、遠く離れた場所(約20m)で話す人々の声から、指定した人の声のみをクリアに収音可能な「ズームアップマイク」を開発したことを発表した。この技術を活用することで、スポーツ中継で、離れた位置にいるフィールド内の選手の声をクリアに中継したり、装置を小型化することで大人数のテレビ会議やシンポジウム会場などで特定の人の声だけをクリアに伝えることが可能になる。

▼ズームアップマイクのデモンストレーション(映像提供:NTT)

約100本のマイクを凹型反射板の前に設置し、マイク間に生じる位相差と振幅差を利用し、約3度の空間分解能('約20m離れたところで隣り合って話す人が区別できる程度)で収音する。収音した音声信号をあらかじめメモリ上に展開したフィルタによってリアルタイムに処理することで強調する。さらに、周囲を走査することによって、周囲の雑音を1000分の1まで低減するポストフィルタを設計し、適用する。この3つの技術の組み合わせで、約20㎥離れた場所の狙った音だけをクリアに収音できる。また、すべてのマイクの音声を録音しておき、後から任意の場所の音をズームアップして再生することも可能。

▼ズームアップマイクの仕組み(報道発表資料より)
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従来、遠くの音を収音する技術としては、ガンマイクやパラボラマイクなどがあったが、空間分解能が低く、5m以上隣り合った人の声を聞き分けて収音することはできなかった。また、2~4本程度のマイクを用いたマイクロホンアレイも商用化されていたが、受音時の信号対雑音比が低く、また空間分解能も低いことから、遠くの音をクリアに収音するといった用途に使うことは難しかった。今回開発された「ズームアップマイク」は、これまで実現困難とされていた「遠くの音をクリアに収音する技術」として、世界的に見てもオンリーワンの研究成果となる。

今後は、望遠カメラを組み合わせた臨場感あるスポーツ中継のための収音方法の一つとして、スタジアムへの設置を目指す。また、小型で汎用性あるマイク素子と今回開発した信号処理技術を組み合わせて、騒音や雑音があるところでもクリアに狙った場所の音声を収音できる小型収音装置のソリューションを、NTTグループの事業会社を通じて開発・販売する。

【報道発表資料】
世界初、約20m先にいる任意の人の声をクリアに収音できる技術を開発

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。