欧州委員会、音楽ストリーミング分野に関心 - 複数のレコード会社から情報収集
EU Commission is into music, what are you into?
2015.04.03
Updated by WirelessWire News編集部 on April 3, 2015, 12:06 pm JST
EU Commission is into music, what are you into?
2015.04.03
Updated by WirelessWire News編集部 on April 3, 2015, 12:06 pm JST
アップル(Apple)が準備中とされる音楽ストリーミングサービスについて、欧州の規制当局が早くも関心を寄せているようだ。欧州委員会(European Commission)が複数の大手レコード会社などに対して、音楽ストリーミングサービスを提供する各社との契約内容などを把握するための質問状(アンケート)を送付したことが明らかになったと、FTやBloombergなどが米国時間2日に報じている。
FT記事によると、欧州委員会がとくに関心を寄せているのは、アップルが自社のストリーミングサービス開始に向けて、楽曲を提供するレコード会社との間で進めている交渉の中味。具体的には、有料サービスを予定するアップルが、無料サービスを提供しているスポティファイ(Spotify)などの競合各社に楽曲を提供しないよう、レコード会社各社に圧力をかけたとする疑いなどが浮上しているという。また欧州委員会はすでにスポティファイ(Spotify)などの競合各社にも問い合わせをしているという。
FTは、欧州委員会によるこの種の情報収集は正式な苦情申し立てがあった後に行われることが多いとし、また情報収集の結果次第では正式な調査開始に至らない場合もあると記している。同時に、音楽業界内ではすでに誰がこの苦情申し立てを行ったかについて詮索する動きが見られ、一部には無料サービスを提供する既存業者のどこかが申し立てたのではないかとする声も聞かれると記している。
いっぽうBloombergでは、欧州委員会の主な関心が寡占状態にある音楽業界のほうに向いており、特定のストリーミングサービスの焦点をあてたものではないとし、「大手レコード会社3社のうち、どこか1社が楽曲提供を拒否すれば、拒否されたサービスはお手上げ状態になる」などとする業界アナリストのコメントを引用している。
欧米の音楽市場では、ストリーミングサービスの人気の高まりを受けて、iTunesなどでのダウンロード販売の売上が減少。また広告収入を柱とする無料サービスからの収入が少な過ぎるとするアーティスト側の不満の声もたびたび報じられており、昨年後半には人気アーティストのテイラースウィフト(Taylor Swift)がスポティファイから自分の楽曲を引き上げるという騒ぎも起こっていた。また今週はじめには、ビヨンセやマドンナなど十数人の有名アーティストがオーナーとしても参画する「Tidal」という新たなサービスの立ち上げが発表されていたが、その際にも利益分配の問題解決に向けた取り組みという面が強調されていた。
ストリーミングサービス最大手のスポティファイはユーザー数が世界全体で約6000万に達しているものの、月額約10ドルを支払う有料会員数は約1500万にとどまっている。
アップルでは、昨年買収したビーツ(Beats)の「Beats Music」をiTunesに組み込むかたちで、新たに音楽ストリーミングサービスを開始するとの見方が強まっている。
【参照情報】
・European regulators scrutinise Apple over music streaming plans - FT
・Apple, Spotify Streaming Music Deals Said to Be Probed by EU - Bloomberg
・Apple's deals with music labels examined by European regulators - The Verge
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