マレーシアの携帯電話事情(2) – マレーシアでLTEサービスを使う
Malaysian Mobile Industry Vol. 2 – Use LTE service in Malaysia
2015.04.28
Updated by Kazuteru Tamura on April 28, 2015, 19:40 pm JST
Malaysian Mobile Industry Vol. 2 – Use LTE service in Malaysia
2015.04.28
Updated by Kazuteru Tamura on April 28, 2015, 19:40 pm JST
マレーシアでは移動体通信事業者4社が携帯電話サービスを提供しており、その4社ともがLTEサービスを提供している。データ通信専用で移動体通信サービスを手掛けるTelekom MalaysiaもLTEサービスを提供しており、マレーシアでLTEサービスを提供する移動体通信事業者としては5社が存在することになる。マレーシアではCelcom Axiataのネットワークを利用した仮想移動体通信事業者(MVNO)であるTune TalkもLTEサービスを利用可能としているが、今回は移動体通信事業者のLTEサービスとプリペイドSIMカードに焦点を当てて紹介する。
携帯電話サービスを提供するCelcom Axiata、Maxis、DiGi Telecommunications、U Mobileの4社、データ通信専用でサービスを提供するTelekom Malaysiaの計5社がLTEサービスを導入済みで、いずれもFDD-LTE方式を採用している。マレーシアでは複数のWiMAX事業者が存在しており、将来的にTD-LTE方式を導入する計画である。
LTEサービスを導入済みの5社のうち、Celcom Axiata、Maxis、U MobileがプリペイドSIMカードでLTEサービスを利用できる。2015年3月末の時点でDiGi TelecommunicationsはプリペイドプランにLTEサービスを解放しておらず、またTelekom MalaysiaのLTEサービスはマレーシア国民のみに提供している。なお、国際ローミングではNTTドコモの加入者がMaxis、ソフトバンクモバイルの加入者がCelcom Axiata、KDDIの加入者がCelcom AxiataとMaxisのLTEサービスを利用できる。
マレーシアではプリペイドSIMカードの購入が容易で、国際ローミングより安価に抑えられるため、プリペイドSIMカードでLTEサービスを利用することを推奨したい。マレーシアの玄関口とも言えるクアラルンプール国際空港には移動体通信事業者の販売店が充実している。Celcom AxiataとMaxisの場合はクアラルンプール国際空港内の販売店でLTEサービスを利用可能なプリペイドSIMカードを購入できるため、クアラルンプール国際空港から入国する場合は到着してすぐに高速なインターネット接続環境を得られる。
▼クアラルンプール国際空港内にあるDiGi Telecommunicationsの販売店。プリペイドSIMカードは買えるが、LTEサービスは利用できない。
Celcom AxiataのプリペイドSIMカードはクアラルンプール国際空港で新たに設置された格安航空会社専用ターミナルのklia2内にあるCelcom Axiataの販売店で購入した。Celcom Axiataの販売店は到着口前に設置されているため、気づかない方が難しい。また、24時間営業であるため、早朝便や深夜便で到着した場合も問題ない。このように、場所や営業時間についてはまったく心配する必要はない。
Celcom Axiataの販売店にはCelcom FRENZ、XPAX、TRAVELLER SIMといった複数のパッケージが販売されていたが、Celcom FRENZはパッケージに4G LTEと明確に記載されており、スタッフに質問してLTEサービスを利用できると確認できたため、Celcom FRENZを選ぶことにした。筆者の場合はプリペイドSIMカードに音声通話と有効期間が30日で2GBのデータ通信を含んで59マレーシアリンギット(1マレーシアリンギット=33.386円として約1,970円)を支払った。LTEサービスを利用するためにはデータ通信プランに加入するが、その際に有効期間が30日の月間プランに加入する必要があるため注意したい。開通やプランの加入はスタッフが行ってくれるため、どうしてもLTEサービスを利用したいと伝えれば、スタッフが適切なプランを選んで処理してくれる。
筆者が訪問した際は、SIMカードのサイズはMini SIM (2FF)サイズのみ取り扱っていた。Micro SIM (3FF)サイズに切断するように伝えたが、スタッフが誤ってNano SIM (4FF)サイズに切断してしまい、仕方なくアダプタを装着して使用した。切れ味の悪いSIMカッターで切られたために、SIMカードの形がいびつとなり、アダプタの装着も少々苦労した。最悪の場合はSIMカードスロットを破損する恐れもあるため、SIMカッターで切断したSIMカードを挿入する場合は気をつけたい。OPPO Find 7 (X9076)では開通したプリペイドSIMカードを挿入すると、すぐに自動でLTEネットワークに接続された。APNはcelcom.net.myとなっていた。
LTEサービスは2.6GHz帯(Band 7)と1.8GHz帯(Band 3)を使用している。先に2.6GHz帯で始めたこともあり、メインは2.6GHz帯で展開している。1.8GHz帯のみに対応した端末でも十分に利用できるが、屋内局は2.6GHz帯が多いため、2.6GHz帯に対応した端末を利用した方が快適に利用できる。もちろん、2.6GHz帯と1.8GHz帯の両方に対応した端末がベストであることは言うまでもない。クアラルンプール市内ではほとんどLTEネットワークに接続されていた。
Celcom Axiataはklia2において、到着口前と異なる場所にも販売店を設置している。到着口前の販売店とは異なり、スペースが非常に広い販売店となっている。時間に余裕がある場合はこちらの販売店に寄っても面白いだろう。
▼クアラルンプール国際空港内にあるCelcom Axiataの販売店。
▼複数のパッケージが用意されており、Celcom FRENZはパッケージに4G LTEとの記載が見られる。
▼Celcom AxiataのプリペイドSIMカードと台紙。
▼Celcom AxiataのLTEネットワークに接続している。
▼Celcom AxiataのLTEネットワークにおいて通信速度を測定してみた。
MaxisのプリペイドSIMカードもklia2で購入した。Celcom Axiataの販売店の隣で24時間営業であるため、Celcom Axiataと同様に場所や営業時間で心配する必要はない。
SIMカード代は8.8マレーシアリンギット(約293円)で、それに加えてデータ通信プランに加入しなければならない。LTEサービスは有効期間が30日の月間プランに加入する必要があり、筆者は1GBで30マレーシアリンギット(約1,001円)のプランを選択した。Celcom Axiataと同様に開通やプランの加入はスタッフが行ってくれるため、安心して購入できる。
SIMカードのサイズはMini SIM (2FF)サイズとMicro SIM (3FF)サイズのデュアルカットが用意されており、これらのサイズのSIMカードスロットを搭載した端末ではそのまま利用できる。OPPO Find 7a (X9006)にプリペイドSIMカードを挿入すると、すぐに自動でLTEネットワークに接続された。APNはunet、ユーザ名はmaxis、パスワードはwapとなっていた。
LTEサービスはCelcom Axiataと同様に2.6GHz帯(Band 7)と1.8GHz帯(Band 3)を使用しており、先に2.6GHz帯で始めていた。2.6GHz帯をメインとして展開しており、屋内局も2.6GHz帯が中心であるため、こちらも1.8GHz帯のみの端末より2.6GHz帯も利用できる端末の方が快適に使える。MaxisもLTEサービスのエリアに不満はなく、クアラルンプール市内ではほとんどLTEネットワークに接続されていた。
▼クアラルンプール国際空港内にあるMaxisの販売店。
▼パッケージにはSIMカード代が8.8マレーシアリンギットと記載されている。
▼MaxisのプリペイドSIMカードと台紙。小さな4Gの文字が確認できる。
▼MaxisのLTEネットワークに接続している。
▼MaxisのLTEネットワークにおいて通信速度を測定してみた。
シンガポールを訪問した際にシンガポールと国境を接するジョホールバルに寄ってU MobileのLTEサービスを試した。ジョホールバルではタマンモレックがジョホールバル唯一のLTEサービスのエリアである。そのタマンモレックにはU Mobileの販売店があるため、そこに足を運んでプリペイドSIMカードを購入した。
U MobileもCelcom AxiataやMaxisと同様にLTEサービスを利用するためには有効期間が30日のプランを選ぶ必要がある。筆者はデータ通信が無制限で高速なデータ通信が1GBのデータ通信を含むプランを選んだ。このプランは38マレーシアリンギット(約1,269円)で、音声通話やSMSも含まれている。SIMカードを購入後にトップアップをしてからプランに加入する手順となる。本来はLTEサービスを使うためにSMSでLTEサービスの有効化が必要であるが、店頭では購入するプランなどすべて口頭で伝えればプランの加入やLTEサービスの有効化など、すべてスタッフが行ってくれる。
SIMカードはMini SIM (2FF)サイズのみが用意されており、Micro SIM (3FF)サイズに切断してOPPO Find 7aで使用した。開通後すぐにLTEサービスを利用できるわけではなく、15分ほど待つ必要があると説明を受けた。スコールの影響で店外に出られない状況であったため、店内で待機していると15分ほどでSMSを受信して同時に自動でLTEネットワークに切り替わった。APNはmy3gで、3gという文字を含むがLTEサービスを利用できる。
U Mobileはklia2にも販売店を設置しているが、klia2の販売店で取り扱うプリペイドSIMカードはLTEサービスを利用できないとのことである。なお、LTEサービスは使えないが、SIMカードのサイズはMicro SIM (3FF)サイズが用意されていた。
LTEサービスは2.6GHz帯のみを使用し、エリアは非常に限定されている。マレーシアの首都であるクアラルンプールでさえLTEサービスを提供しておらず、エリアはクアラルンプール近郊のスバンジャヤ、プチョン、そしてシンガポールと接するジョホールバルのわずか3都市のみである。あまりにもLTEサービスのエリアが狭いため、LTEサービスを利用できるプリペイドSIMカードを取り扱う販売店が少ないと思われる。スバンジャヤ、プチョン、ジョホールバルの各都市でもLTEサービスのエリアは非常に狭く、ジョホールバルではタマンモレックを出るとすぐにLTEサービスのエリア外となった。
なお、マレーシアで携帯電話サービスを提供する移動体通信事業者としては最後発のU Mobileは国内ローミングを提供している。国内ローミングではMaxisと提携しており、U MobileのLTEサービスおよびW-CDMAサービスのエリア外では自動的にMaxisのGSMサービスに接続される。ジョホールバルで国内ローミングを使う状況にはならなかったが、シンガポールに入るとU Mobileがエリア外ながらMaxisのネットワークが届くという状況になり、シンガポールのネットワークで国際ローミングするのではなくMaxisのGSMサービスに接続された。シンガポールでマレーシアの国内ローミングを使うという、少し珍しい現象を体験できた。
▼タマンモレックにあるU Mobileの販売店。
▼U MobileのプリペイドSIMカードと台紙。
▼U MobileのLTEネットワークに接続している。
▼U MobileのLTEネットワークにおいて通信速度を測定してみた。
▼U MobileのプリペイドSIMカードを挿入しているが、MaxisのGSMネットワークに接続している。
U MobileのプリペイドSIMカードではマレーシアの国内ローミングを体験できて楽しかったが、やはりLTEサービスのエリアはあまりにも狭すぎる。それに対してCelcom AxiataやMaxisは広い範囲で快適にLTEサービスを利用できた。低遅延かつ高速なLTEサービスを実用的に利用したければU Mobileを選択する理由はなく、Celcom AxiataまたはMaxisを選ぶことが無難と言える。
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登録はこちら滋賀県守山市生まれ。国内外の移動体通信及び端末に関する最新情報を収集し、記事を執筆する。端末や電波を求めて海外にも足を運ぶ。国内外のプレスカンファレンスに参加実績があり、旅行で北朝鮮を訪れた際には日本人初となる現地のスマートフォンを購入。各種SNSにて情報を発信中。