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テレビでシニアと離れて暮らす家族のコミュニケーションを支援するAngela

Independa - Angela

2015.05.18

Updated by Kenji Nobukuni on May 18, 2015, 18:52 pm JST

日本では郵便局とアップル、IBMが手を組んでiPadを活用した高齢者見守りサービスの実証実験をはじめると報道されたが、アメリカではテレビを活用した見守りサービスが始まっている。

Independa社(カリフォルニア州サンディエゴ)のアンジェラ(Angela)──語源はギリシア語の「使者」らしい──は、テレビを使ったシニア向け健康サポート・サービスで、LG製のテレビに同社のソフトウェアを組み込み、ネットに接続し、高齢者が自宅などで利用する。価格はテレビの機種により800ドルから1,400ドルで、月額の利用料は50ドル。シニアが独立して(independent)生活するのを支援するというのが社名の由来のようだ。

アンジェラのテレビを使うと、テレビ番組を視聴するだけでなく、遠方の家族などと簡単にビデオチャットが可能で、ゲームやSNSなどインターネットのサービスを利用できる。遠方の家族は、写真や映像を送って遠くに住むおじいちゃんに見せることもできる。大き目のフォントを使い、コントラストのはっきりした明るい色の文字で見やすくする工夫もなされている。服薬のリマインダーとして使ったり、血圧を記録したりするのに使えるが、高齢者自らが設定するのではなく、遠方の家族などがスマホのアプリを介して行えるようになっている。

スマートフォンやタブレットを使いこなしていない高齢者が数々のパスワード、ウイルススキャン、ソフトウェアのアップデート、各種設定などを自分で行うのは不可能だ。アンジェラは遠方に住む家族や親せきとシニアを結びつけ、遠くから見守るための機能をいくつも搭載している。

パソコンが普及し始めた頃、テレビはほぼ全ての家庭に1台はあったから、テレビに外付けの装置を接続して、インターネットに接続する試みがあった。マイクロソフトのWebTV(日本では1997年末にサービス開始)は、テレビを電話回線などでインターネットに接続し、その名のように主にウェブサイトを見たり、メールを送受信したりするための装置だった。

そのずっと以前の1980年代に電電公社(NTTの前身)が提供していたCAPTAINも電話回線などで画像と文字を受信してブラウン管に表示していた。WebTVもCAPTAINも当時の粗い画質のスクリーンに表示すると小さな文字は読み取れず、映像も今一つだった。また、テレビのリモコンでメールの文章を書くのは大変だし、テレビとソファーの距離を置いて膝に置いたキーボードで入力するためには文字を大きく表示する必要があった。

結局、ノートPCなどの普及によりWebTVは役目を終えた(Xbox Oneに役目の一部を引き継いだ)のだが、その間にテレビは高画質化して、小さな文字も見やすく表示できるようになった。YouTubeを始めとして、映像のコンテンツが溢れるようにもなっている。

こうして昔に戻ったように、テレビをネットにつないで通信するサービスが復活できる素地ができていた。しかし行動範囲の広い若者や壮年期の人々には最新のスマートフォンが歓迎され、テレビの前で過ごす時間が長いのはシニア層が主体になってきている。アンジェラはこうした流れに合致した、高齢社会対応サービスと言えそうだ。

【参照情報】
Angelaの製品ページ

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来