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インドネシア:携帯電話端末のデータのバックアップは進むか

Transfer data from device to device

2015.07.13

Updated by Hitoshi Sato on July 13, 2015, 14:36 pm JST

ジェムアルトは同社が提供する「LinqUs Smart Backup」 がインドネシアのモバイルソリューション企業Elasitas に採用され、インドネシアの携帯電話契約者向けに提供されることを2015年6月に発表した。

「LinqUs Smart Backup」 は、ジェムアルトのAllynis Service 上でSaaS型で提供されるソリューション。Elasitas はインドネシア国内の全ての主要通信事業者にサービスを提供しているモバイルソリューション企業。インドネシアの携帯電話の全契約者数は2 億7,000 万を超えており、そのうち4,000 万件がこのソリューションの潜在顧客と考えられており、彼らは、自分の携帯端末に保管した個人情報を安全にバックアップ、同期化、復元できるようになる。

本ソリューションは、Elasitas から「BackApp」というサービス名で提供され、エンドユーザーは異なる端末間およびプラットフォーム間におけるデータ転送が可能となる。またあらゆる端末が本サービスの対象である。特定のスマートフォンしか利用できないということがないので非常に利便性が高い。

電話帳、画像、ビデオ、音楽などの個人情報を1 つの場所で保管・保護する。ユーザーはアプリストアからアプリをダウンロードし、携帯電話を紛失、損傷、機種変更した時はいつでも、どのモバイルにもデータをバックアップ、復元することができる。必要なストレージの容量に応じて、エンドユーザーは数多くあるサービスから自分に最も適したプランを選択できる。

Elasitas の最高経営責任者(CEO)であるArthur Surya 氏は、次のように述べている。「モバイルは個人的な体験の宝庫です。友人からのメッセージからお気に入りの音楽やビデオまで、全てモバイルに保存し、私たちは自分のモバイルに情緒的なつながりを感じています。ジェムアルトのソリューションは安全で使い易く、当社は連絡先だけでなく、マルチメディアコンテンツのバックアップサービスも提供することが可能となりました。本ソリューションは拡張性と信頼性が高く、当社の顧客である通信事業者は幅広い契約者への事業拡大が可能となります。」

またジェムアルトの南アジア・日本地域社長であるMichael Au氏 は、次のように述べている。「当社の調査によると、モバイル契約者の80%が、契約する通信事業者がクラウドベースのデータのバックアップサービスを提供するのであれば利用したいと回答しています。インドネシアなどの新興市場では、スマートフォンの浸透率が爆発的に増加しています。とりわけ小規模企業は電話帳の連絡先を統合したいと考えており、当社では企業データを保護するためのシンプルな方法を提供します。当社では100件を超えるバックアップソリューションを展開しており、世界中の何億人もの個人情報を保護しています。」

インドネシア人にとって一番重要なデータはスマホで撮影した写真

インドネシア人にとって、携帯電話端末やスマートフォン端末にある個人情報やデータで一番重要なものは、写真である。電話帳よりも遥かに重要である。

インドネシア人はスマートフォンでたくさんの写真を撮影する。そしてそれら写真の何枚かはFacebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアにアップしたり、LINEなどで友人間に共有される。それ以外の写真はスマートフォンに保存されている。スマートフォンが水没、破損、盗難にあって一番困るのは「端末内に保存していた写真の損失」で、大騒ぎしているインドネシア人が多い。

端末を変更する時には、写真が格納されたSDカードなどのメディアをそのまま新しい端末に移行して、前の端末で撮影した写真を楽しんでいる。日本人のようにスマートフォンで撮影した写真をこまめにバックアップすることは少ない。

今回のようなバックアップサービスで安心するインドネシア人は多いのではないだろうか。

 

 

【参照情報】
Gemalto cloud service enables mobile subscribers in Indonesia to securely backup personal data 

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。