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絵を描くために必要なものは、紙ではなく空間である

Folks, time to get creative

2015.07.17

Updated by Eri Hosokawa on July 17, 2015, 08:49 am JST

小さい頃、誰しもが1度は経験したであろう「お絵描きの時間」で、必ず用意されたものと言えば、「紙とペン」だったのではないだろうか。絵を描くには紙とペン、もしくはクレヨンや絵の具などが必要であり、ほかの選択肢は無いに等しかった。しかし、3Dプリンタの出現により印刷の概念が覆されたように、お絵描き体験も3Dペンの出現によって大きく変化する日が近づいているように感じる。

表参道にあるMoMAデザインストアでは、空中に絵を描ける世界初の3Dペン「3Doodler(スリードゥードゥラー)」の最新モデル「3Doodler2.0」の店頭販売が6月より開始され、店頭では実際に3Dアートを体験できるワークショップも展開している。

3Doodler2.0 本体価格14,904円(税込)

3Doodler2.0 本体価格14,904円(税込)

3Doodler 2.0で作られたバイク

3Doodler 2.0で作られたバイク

「3Doodler」は米国のクラウドファンディングサービスサイト『Kickstarter』で約2億4千万円もの資金を集め、世界初の3Dペンとして手工芸に決定的な革命を起こし話題となった。その最新モデルをここで少し紹介しよう。ボディは75%小型化したことで手にフィットしやすいデザインになり、重さも半分以下に軽減。ペン先が細くなったことでより細かな作業も実現可能となった。消費電力や動作音も大幅に軽減し、2段階のスピードコントロールや連続描画用のダブルクリック機能など、機能面でも大きく改良。従来品と比べ価格もややお手頃に設定され、より多くの人に3Dアートを楽しんでもらえるきっかけになるのではないだろうか。

従来モデル(右)、最新モデル(左)

従来モデル(右)、最新モデル(左)

空中で自由にオブジェクトを作製することが3Dペンの大きな特徴なのだが、同社のホームページではバイク、イス、指輪などのシンプルなものから、東京タワー、飛行機、ランプシェードなどの高度なものまで作製できる専用テンプレートも無料で公開している。ガイドラインに沿ってペンを動かすだけなので、簡単なテンプレートだと初心者でも十分に楽しむことができる。

テンプレートによって難易度も様々

テンプレートによって難易度も様々

3Dアートを楽しむためには3Doodler本体のほか、スティック状になったプラスチックフィラメントが必要となる。プラスチックフィラメントには固さの異なる2種類があり、用途に合わせて使い分けることが出来る。テンプレートを使用する場合は柔らかく、紙にくっつきやすい性質を持つPLAを。また、テンプレートを使用せず空中で作製する場合は固めのABSの使用を勧めている。色も豊富に展開しているため組み合わせも無限だ。

テンプレートに沿って慎重にペンを動かす参加者

テンプレートに沿って慎重にペンを動かす参加者

デザイナーのピーター・ディルワース氏とマックスウェル・ボーグ氏は「いたずら書きやなぞり書きができて空中で指を動かせる人なら、誰でも3Doodlerを使えます」との声明を発表しているように、最初こそはたどたどしかったものの、最後にはテンプレートを使用せず空中で自由に作製を楽しむ参加者も続出した。

感性の赴くままに描く参加者

オリジナルで“猫”を作製中

ワークショップ参加者作品

ワークショップ参加者作品たち

3Dペンを1年以上使い続けている上級者ともなると、10分あれば指輪を、2日もあれば恐竜までも作製可能というのだから、諦めずに挑戦し続けたいものだ。

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細川 依里(ほそかわ・えり)

1986年大阪府大阪市生まれ。映画「天使にラブソングを2」をきっかけに外国に憧れを抱き、15歳で渡米。高校はユタ州、大学はカリフォルニア州立大学にてグラフィックデザインを専攻。在学中にはフリーマガジンのインターンシップを経験。帰国後、女性ファション誌に編集者として携わる。趣味:ファッション、旅行、映画鑑賞。