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今どきのブログで稼ぐには?

How to make money from blog

2015.07.30

Updated by Ryo Shimizu on July 30, 2015, 10:09 am UTC

 私の個人ブログ(http://d.hatena.ne.jp/shi3z)には時々Amazonのリンクが貼ってあるのですが、これはどういう目的なのかというと、まあ単純にお小遣い稼ぎです。
 
 「あなた経営者なんだから、本業でしっかり稼ぎなさいよ」と思われるかもしれません。実際、私もそう思っていました。
 
 ところがあるとき、はてなとは別のブログサービスを使っていた時、サービスを運営している会社に務める友人から、「君のブログがうちのサービスの稼ぎ頭なんだよ」と聞かされて、なんとも複雑な気持ちになりました。
 
 私は経営者です。
 経営者の本分は、会社を経営して資本を回転させ、利益を出すことです。
 
 私のブログは、私が経営する会社にとっては、広告宣伝手段の一つであり、私の個人的な主義主張を社内外に伝える場でもあります。
 
 しかしそれで他の会社の利益を上げているとなると複雑な心境になります。
 少しでも収益が上がるものなら自分自身に収益が返ってくるようにしたい、というのは人情です。
 
 そこでまず考えたのは、自分自身でメディアを立ち上げてみるということです。今風に言えばオウンドメディアです。
 
 ところがこれもそれほど上手くは行きませんでした。
 メディアにしてしまうと、ある程度の間隔でコンスタントに、しかも同じ傾向の記事を配信しなければならず、有料でも無料でも中々収益が上がりません。また、やはり「仕事」として執筆に時間が取られてしまうと、気楽に書けるブログとは違って時間がかかってしまいます。
 
 また、根本的にオウンドメディアでのブログは、話題になりにくいのも問題です。純粋な記事の内容そのものではなく、どんな会社が書いてるのか、ということが重要になってしまって話題にされづらくなります。
 
 するとやはり何らかのブログサービスで展開する方がやりやすい、ということになります。
 
 そこであちこちのブログサービスを転々とした結果、今は「はてなダイアリー」に落ち着いているというわけです。
 
 はてなダイアリーの良い所は、お金を払わなくてもお金が稼げるということです。
 
 はてなでは、デフォルトの状態ではアフィリエイトや広告収入ははてなに入ります。しかし同時にはてなダイアリーを書いたユーザにも「はてなポイント」が付与されます。
 
 このはてなポイントが500ポイント貯まると、一ヶ月間、自分のAmazonアフィリエイトIDやGoogle AdSenseを貼り付けることができるようになります。
 
 ブログの人気が出るまでは無料でスタートでき、人気が出てきたら自分のアフィリエイトに切り替えることができるのでリスクなしで始めることが出来ます。
 
 あんまり毎回アフィリエイトを貼ると、読んでる方もうんざりしてしまいますから、よほど面白いもの、感動したものがあるとき意外は基本的にはアフィリエイトは貼りません。
 
 アフィリエイトはベタベタ貼ればいいというものでもないのです。
 
 また、最初は高額な商品、たとえばPS3や20万円するデジカメなどといったものも貼ってみましたが、ほとんど売れません。
 
 当たり前ですが高価なものほど人は安く購入したいと考えるので「このデジカメいいよ」という記事にどれだけ共感したとしても、Amazonからリンク一発で衝動買いすることはほとんどあり得ないのです(ごくたまにありますが)。
 
 では何が売れるかというと、本です。
 圧倒的に、本です。
 
 しかも本の中でも、Kindle本です。
 やはり圧倒的に、Kindle本です。
 
 「そんなバカな。電子書籍ってぜんぜん上手く行ってないじゃん」
 
 と思うことでしょう。

 
 実際、本を書いてる立場から見ると、Kindle本の売上は全然です。
 私の書いたKindle本を購入する人よりも、私のブログを1日に読んでいる人の数の方が遥かに多いのです。これが紙の本となると同じくらいの人数になります。ちょっとおもしろい現象ですね。
 
 ところがアフィリエイトとなると、これが逆転するのです。
 紙の本が10冊売れる日は、同じ本のKindle版が100冊売れます。
 
 しかも今はAmazonのアフィリエイトのルールが改定されて、紙の本のアフィリエイトは3%に、Kindle本のアフィリエイトは8%になっています。
 
 普通、紙の本の印税は10%ですから、ただ本を紹介するだけでそれに近いアフィリエイト収入を得ることになります。
 
 つまりAmazonアフィリエイトで成功するというのは、本を書かずして印税収入を得ているのに等しいのです。
 
 ただし、これを本業にしようと思っている人はいないと思いますが、いるとしたら全くお勧めできません。
 
 私が稼げるのも「今月はだいぶ売れたなー」という月で10万円ちょっとです。
 
 普通の月で5万円くらいです。
 いくらなんでも、この収入だけでは東京で生活するのは無理です。
 
 ですからやはりAmazonアフィリエイトはお小遣い稼ぎ以上のものにはなりません。
 
 ブログを続けていて、人気が出てくると本を書かないか、と言われることがあります。
 
 有名なのは「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
」の岩崎夏海さんですが、「もしドラ」くらいのヒットになると印税10%、Amazonでは1382円で売られている本ですから一冊あたり138円として、2013年時点で紙の本だけで255万部売れてるので少なくとも3億5千万円以上の売上ということになります。電子書籍でも15万部以上売れていて、映画にもなっているので収入はもっとでしょう。
 
 ただしこんなホームラン球のヒットが出るのはごくごく一部ですから、普通はここまでは望めません。
 
 普通はだいたい、定価1500円で初版3000部からスタートします。
 すると、印税率10%で150x3000=45万円です。あ、現実見えてきましたね。
 
 さらにKindle版が出ると、Kindle版は完全な出来高制なので、普通に売ると20〜25%が印税になります。定価を紙と同じ1500円に設定して、高めに見て印税が一冊あたり375円。でもKindle版はやっぱり紙に比べると1/10以下の売れ行きなので、300部売れたとして(これはKindleとしては大ヒットです)、11万2500円。紙の本の保証部数とあわせると56万2500円ということになります。
 
 これが多いか少ないかは微妙なところですが、毎月コンスタントに書ける作家はやはり一握りですし、良くて一年に一冊書かせて貰えるかどうかです。もしかしたら最初の本がぜんぜん売れなかったら、もう半永久的に本を書くチャンスがなくなる可能性もあります。
 
 そもそも編集者の人のマンパワーもあるので、仮に毎月12万字の原稿を上げたとしても毎月本が出せる可能性は限りなく低いです。
 
 なので、体力的にも現実的にも良くて一年に1冊、多くて2冊と考えると、二冊分の印税は112万5000円です。
 
 これに月のアフィリエイト収入平均5万円を想定して12倍すると60万円、年収172万5000円ということになります。厳しい。
 
 しかし別の考え方もあります。
 これを逆に月平均に均してみましょう。
 
 172万5000円を12で割ると14万3750円です。
 これがお小遣いだと考えると、凄い得した気分です。
 
 平均的なサラリーマンのお小遣いは3万円〜5万円と言われていますから、アフィリエイトを軌道に乗せればうまくいけばお小遣いは2倍、そこから本まで書けるようになればお小遣いが3倍増します。
 
 家族でちょっと贅沢な旅行に行ったり、月に一回豪華なディナーを食べたりすることができます。会社の事業としては小さすぎて成り立たないのですが、個人のお小遣い稼ぎと考えると悪くないはずです。
 
 そう考えるとなかなか悪くないと思えるのではないでしょうか。
 
 ブログを地道に続けると「本を書いてください」と言われた時にすぐに本にできる原稿が手元にある、というのもありがたいポイントです。
 
 筆者は今回、立て続けに本の依頼が来て、さすがに本業に差し支えては本末転倒と全ての依頼を一度は断ったのですが、「インタビュー本でもいい」とか「ブログの再編集でもいい」と仰っていただいたので、まあそれくらいなら書けるかな、と思って引き受けたところ、この一週間で三冊の紙の本と四冊のKindle本を発売することになってしまいました
 
 発売日が重なったのはほとんど偶然なんですが、一番驚いたのは自分で書いた本でもやはりアフィリエイトではKindle本がダントツに売れることです。
 
 自分で書いたKindle本をAmazonで売る場合、25%の印税にさらに8%上乗せされて33%の印税収入になるので、ここはぜひともKindle版にもっと売れて欲しいところですが、どうもやっぱり本は紙で読みたいという方が圧倒的多数のようです。
 
 そして紙で読むならわざわざAmazonで注文しなくても、最寄りの書店に行って立ち読みしてから買えば良い、と考えておられる方も少なくないようなのでどうも世の中はうまくいかないですね。
 
 しかしアフィリエイト収入といっても、現実はそんなもんです。
 昨年末、私はアフィリエイト収入で得たお金を使って社員を対象に忘年会でビンゴ大会をやりました。
 
 これはこれでなかなか楽しい思い出になりました。
 

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清水 亮(しみず・りょう)

新潟県長岡市生まれ。プログラマーとして世界を放浪した末、 '17年にソニーCSLとWiL LLC.とともにギリア株式会社を設立し、「ヒトとAIの共生環境」の構築に情熱を捧げる。 '17年より東京大学先端科学技術研究センター客員研究員を兼務。著書として「教養としてのプログラミング入門(中央公論社)」「よくわかる人工知能 (KADOKAWA)」「プログラミングバカ一代(晶文社)」など。

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