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プロセラネットワークスは、仮想化されたパケットロジック・ソフトウェアを利用して、プローブ機能として活用、取り出したデータをビッグデータとして分析可能な形で提供するソリューション「eVolution」を提供しています。その背景となるオペレーターの変化と課題について、Solution Architecture担当ヴァイスプレジデントのヨアキム・アンダーソン(Joakim Anderson)に聞きます。

Solution Architecture担当ヴァイスプレジデント ヨアキム・アンダーソン(Joakim Anderson)

ネットワークオペレーターの変化を表す4つのキーワード

アンダーソン:プロセラがeVolutionというソリューションをご提供する背景には、変化するオペレーターのビジネスにとって、データの重要性が増しているということがあります。データはオペレーターの重要な収益源になっているのです。

オペレーターの変化を、4つのキーワードで整理しましょう。

1つ目のキーワードは「ネットワークアーキテクチャ」です。ネットワークを構築する際のネットワーク機器は、以前のハードウェアアプライアンスではなく、仮想化されたソフトウェアに変わりつつあります。ネットワーク運用は複雑化して、高い運用能力とオーケストレーションが重要になります。さまざまな構成要素を見直し、最適化されたソリューションを見極めるタイミングが来ています。

2つめのキーワードは「ビジネス戦略の変化」です。オペレーターはCAPEXの最適化をはかっています。ベンダーとの業務契約は、ライセンスベースに変わっています。ネットワークに対しては従量制料金体系へと変わりつつあり、ROIをシビアに評価するようになっています。

3つめのキーワードは「サービスアーキテクチャの変化」です。サービスの開発・展開スピードは早く、価値に基づく価格設定がされるようになりました。さらにコンテンツの収益化も意識されるようになっています。

そして4つめのキーワードが「データ・ドリブン」です。従来、我々プロセラネットワークスのお客様は、オペレーターのネットワークエンジニアリング部門でしたが、今やCTOやCDO、マーケティング、財務、カスタマーケアなど、あらゆる部門でデータを使った意思決定がなされるようになっています。

菅野:プロセラのソリューションはお客様がトラフィック管理をするために必要なデータを、ネットワークや弊社の機器から収集していますが、これらのデータをトラフィック管理以外のさまざまなユースケースに展開できるということですね。

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アンダーソン:例えば加入者に対するマーケティング、サービスプランニング、加入者体験の向上などについて、データの分析とそれにもとづく意思決定、そしてアクションへとつなぐことができます。

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プロセラのアナリストは、ビッグデータに関する世界のトレンドを把握するための意見交換を実施しており、どの分野で投資が行われているか、また今後その投資がどう変わっていくかを把握しています。

オペレーターにとってビッグデータはCEM、革新的ビジネスモデルの開発、オペレーション効率化、精密マーケティング、リアルタイム分析の5つの分野で価値があり、2020年までの5年間で投資は4倍に増えると予測しています。プロセラのソリューションから取得できるビッグデータはこれらの分野それぞれにかかわりがあり、ビジネスチャンスになると認識しています。

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統合され、構造化されたリアルタイムのデータが求められる

菅野:ネットワークオペレーターの変化からデータの重要性が増してきたことを見てきましたが、一方で、オペレーターは、従来のビジネスモデルではトラフィックは急伸しているのに収入は増えないという悩みを抱えて、加入者への課金を増やすか、新たな収益源を見つける必要に迫られています。こうした状況下で、データに求められるものはどのように変わっているのでしょうか。

アンダーソン:これまで取得できたデータは、ハードウェアをベースにしており、ネットワークの状況だけに限られていました。加入者の状況はネットワーク装置のシグナリングだけで判断され、接続できているかどうかだけが重視されていました。データはWi-Fi、固定、モバイルなどのアクセス技術ごとにベンダーがまとめて集計しており、全体を1つにまとめて見ることができなかったのです。アプリケーションの可視化も限られており、リアルタイムでデータを活用することは困難でした。

今後求められるのは統合されたデータです。ハードウェアの縛りから離れて、アクセス技術によらず、ベンダーからも独立していることが求められます。オペレーターの差別化のためには、サービス品質の良いネットワークを提供しなくてはいけませんから、ネットワークのQoEを適切に測定することで、加入者体感とサービス品質を明確にする必要があります。暗号化されたアプリケーションの品質も可視化し、リアルタイムなアラートに活用できるようなデータ構造が求められます。

これらは、プロセラが長年かけて取り組み提供してきたことです。こうしたデータを活用することで、お客様は今後の投資についての適切な決断を下せるし、運用についても最適な決断をしていただけます。

動画・IoT・クラウドがトラフィックに急速な変化をもたらす要因に

Solution Architecture担当ヴァイスプレジデント ヨアキム・アンダーソン

アンダーソン:通信事業者をとりまく最近のトレンドとしては、例えば以下のようなことが挙げられます。

1)動画トラフィックは引き続きデータ増加の主要因

これまでは加入者数の増加がデータ増加の主要因でしたが、ここ数年の傾向を見ると、動画の影響が増加しています。動画の解像度はますます上がり、コンテンツプロバイダーも品質のよいHD、ウルトラHDの動画をインターネット経由で提供するようになりつつあります。また、ブロードキャスト方式から個人が好きな時に好きな動画を見るVOD方式へのシフトが進むでしょう。

リアルタイム3Dで、スポーツやライブをライブで楽しめるようになります。没入型VRコンテンツも増えるでしょう。当然、膨大なデータがネットワークでリアルタイムに送られますので、ネットワークの負荷がますます増えることになります。

2)全てがインターネットに接続される

家庭内の照明や冷蔵庫などもネットワークにつながり、データを送受信するようになります。人ではなくモノが行うデータ送受信がネットワーク負荷を上げます。

3)スマートデバイスによるクラウドとの通信量増大

クラウドにデータを置き、必要な時にダウンロードするサービスが増えています。例えばApple TVは、さまざまなデータを扱えますがデバイスに保存されているデータはほとんどなく、コンテンツは必要な時にクラウドからダウンロードするアーキテクチャです。

オペレーターはトラフィックの傾向に関する情報を常に注視し、ネットワークをどのように変えるかを考えなくてはいけません。変化は急激に起きる可能性があります。1つのアプリが大流行して、そのことによりネットワークの挙動が変わることがあります。例えば、Snapshotという若者に人気があるSNSサービスで、動画を扱えるようになったことで、国や地域によってはデータ使用量トップ10に入るようにまでなっています。

菅野:プロセラ製品はトラフィックやネットワークコンポーネントからデータを収集していますが、それ以外のデータもオペレーターは持っています。そうした情報とトラフィックデータを掛けあわせてさまざまな戦略判断をされているでしょう。プロセラのデータをオペレーターのビッグデータシステムにエクスポートすることで、戦略に役立つ情報を取り出すことができます。

仮想マシン上のソフトウェアで取得したプローブデータをビッグデータに統合

アンダーソン:eVolutionは、全てのアクセス技術、全てのベンダーのデータから構造化された統合情報を取り出せます。汎用的な仮想マシン上で動作するソフトウェア・ライセンスとして提供されるので、大きな投資は不要で、必要に応じて柔軟に導入できます。

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eVolutionの強みは、ネットワークに流れているデータは全てハンドリングできるので、必要な形にマッピングや相関付けができることです。特定ネットワークの加入者の位置情報取得や、オペレーターから見たピークがいつ、どの場所で発生し、その時どのアプリがどのくらい使用されていたのかといった情報を元に、加入者数が変わった時のシミュレーションができます。また、これらのデータをビッグデータの一部として他のデータと合わせて使っていただくことで、別分野の分析にも活用していただけます。

これは、最初にお話した、「データを必要とする人が増えている」ということに対応したプロセラからのご提案です。エンジニアだけでなく、財務部門やマーケティング部門も、ネットワークの状況を知ったうえで意思決定する必要があります。そのためには、プロセラのツールによるネットワークの可視化が必要なのです。オペレーターの主要な収益はデータによってもたらされます。つまりビジネスモデルが変わったのです。

データの活用にあたっては、個人レベルではなく集計したデータを使います。多くの情報を関連付けることで、場所ごとに適した新しいサービスの提案やネットワークの拡張など、さまざまな決断が可能になります。データに基づき設計されたサービスは、加入者から見れば、自分を理解して欲しいと感じるサービスになります。

eVolutionは仮想化基盤上にソフトウェアとして提供されるので、必要に応じて柔軟にデータを取得できます。リアルタイムAPIによって、リアルタイムのデータをIPFIXを通して外部データベースに送信します。ODBCでプロセラ内部のデータにアクセスできる形で導入することもできます。

菅野:取得した様々なトラフィックデータを集計することで、ネットワークやユーザー体感の「スコア」として活用することも可能です。ネットワーク構築時の指標として頂く事もできますし、通常トラフィックの品質は、1日の中で時間に応じて周期的に変化していきますが、通常似たような周期になります。それらが通常の周期から外れた時、何らかの品質、容量の問題が起こっていると推測できます。

また、通常のプローブでは、トラフィック以外の様々な情報とマッピングされない状態で取得される為、結びつけが難しく、実際はそのデータを有効に活用できない、または具体的に活用するのに非常に長い時間がかかるケースが見受けられます。

例えば10Mbpsのスループットがあったとして、10Mbpsのサービスに加入されている方にとってはとてもいい品質ですし、100Mbpsの契約をされている方にとっては悪い品質ということになります。遅延が大きくてもストリーミングユーザーにはあまり体感として問題を感じられませんが、ゲームユーザーにとっては品質が悪いということになります。つまり絶対的なデータが全てではなく、さまざまな要因もセットで考慮する必要があります。プロセラではさまざまなデータを予め統合し、且つリアルタイムにエクスポートや分析を行うので、容易にデータの活用ができるのです。

ビッグデータを活用すれば「ゼロ課金」も利益を増やす

Solution Architecture担当ヴァイスプレジデント ヨアキム・アンダーソン 菅野真一

アンダーソン:皆、自分たちのビジネスをどう変えるかを考える時、答えはデータの中にあると考えています。加入者の挙動を把握することで、何をすべきかのモデル作りができます。

例を挙げましょう。アメリカのT-Mobileは、ロークオリティのストリーミングに課金しない「binge-on」というプランを発表しました。同社はこの決断に至るまでに、加入者の挙動を詳細に分析して、採算がとれる形で実現可能かどうかを判断しました。

その結果、「低品質のストリーミングは無料、高品質であれば課金する」というモデルによって、ビットレートが低い通信に加入者を誘導することでビデオトラフィックを小さくすることができそうだとわかりました。

オペレーターの最大の悩みは、ピーク時のトラフィックへの対応です。ビッグデータにより加入者の行動を詳細に分析することで、行動を上手に変えるように誘導できるのです。どのように行動すれば有益かを加入者に理解していただくことで、加入者から見ても経済的な行動をとっていただき、データの爆発的増加にも対応できるようになるでしょう。すなわち投資を最適化して利益を増やすことができるのです。

別の例としては、スウェーデンのあるオペレーターが、加入者を集めるために、Spotifyのような音楽ストリーミングサービスを無料提供しています。これは、無料サービスで加入者との関係をつなぐ事例です。

菅野:日本でも我々のサービスでゼロ課金を実現しています。オペレーターはトラフィックに課金することで儲けているのですから、ゼロ課金は本来利益と相反します。しかしビッグデータの活用で、一側面を見れば利益と反しても、全体としての利益を生む様な事例が有効になるケースが増えていくでしょう。

あるオペレーターでは、特定端末ユーザー向けのプロモーションとして、その端末を購入したユーザーをターゲットに、関係するウェブサイトやアプリの利用についてはパケット無料というサービスを提供しています。

今までオペレーターは定額制でサービスを提供していましたが、MVNOも含め、ターゲットを明確にしたさまざまなプランが生まれています。ビッグデータは、ターゲットの明確化と、そのターゲットにどのようなサービスをすればよいかを知るために必要です。eVolutionは、プロセラの仮想化技術を活用して、プローブデータをオペレーターの持つビッグデータに統合して、より戦略的な意思決定を可能にします。

【関連情報】
さまざまな利用パターンの可視化でユーザー体感を向上するソリューション プロセラネットワークス
メールでのお問い合わせはこちらまで japan-sales@proceranetworks.com

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