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PepperとAzureが手を結ぶ 新たな認定制度とワーキンググループを立ち上げ

2016.07.25

Updated by Asako Itagaki on July 25, 2016, 08:51 am JST

ソフトバンクロボティクスとマイクロソフトは、PepperとMicrosoft Azureの連携によるアプリ開発を推進する。7月22日、ソフトバンクグループが開催した「SoftBank World 2016」で行われたセッション「Pepperと拓くクラウドを利用したデジタル改革」で、2つの施策を発表した。

ひとつはソフトバンクロボティクスの新たな認定制度「ロボアプリパートナー with Microsoft Azure」。Microsoft AzureとPepperの両方について技術を有する企業が対象で、具体的にはマイクロソフトの「Microsoft Certified Professional」のAzure関連資格、「Microsoft Partner Network」の認定およびソフトバンクロボティクスの「ロボアプリパートナー」の両方の認定を受けた企業が申請可能。

もうひとつは、Microsoft AzureをプラットフォームとするIoTプロジェクトの共同検証を行う「IoTビジネス共創ラボ」に、Pepperを活用したソリューション開発を目指す「Pepper ワーキンググループ」を立ち上げる。「ロボアプリパートナー with Microsoft Azure」に認定された中で、特に技術が高いと判断された開発者が参加でき、Pepperの導入を検討している企業とのマッチングの場を提供する。

Microsoft AzureのCognitive ServiceとPepperは相性がいい

マイクロソフトは、「Mobile First」「Cloud First」へのビジネスモデル転換の中で、人工知能をはじめとした先端技術の研究に注力している。

深層学習を利用した画像認識の分野では、世界最大の画像データベースImageNetのデータを利用した画像認識コンテスト「ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge (ILSVRC)」で、2015年には誤認識率3.5%と世界一の成績を挙げている。日本マイクロソフト株式会社執行役最高技術責任者の榊原 彰 氏(写真)は「人間の誤認識率は5.1%なので、我々の深層学習テクノロジーは人間を超えた」と胸を張る。

マイクロソフトはこの深層学習テクノロジーをはじめVision(画像認識、分析)、Speech(音声入出力)、Language(言語識別、文章解析と推測)、Knowledge(知識データベースを使った分析・予測)、Search(ウェブ上の情報収集)の5分野でCognitive ServiceとしてAPIを提供している。利用者は比較的安価なAPIを利用して、深層学習などのコンピューティングパワーが必要な処理にAzureを活用できる。

Pepperは周囲の状況を理解し、目の前にいる人と自然言語で会話するロボットだ。PepperがCognitive ServiceでAzureと連携することにより、複雑でコンピューティングパワーが必要な処理をAzureで処理することが可能になり、高度処理を自然にこなし提供するアプリを実現できる。

▼ロボアプリケーションプラットフォーム「SynApps」(株式会社ヘッドウォータース)のデモンストレーションが披露された。Azure上のCRMシステムとPepperが連動する。一度接客したお客様の顔と名前を覚えて次回来店時には名前で呼びかけたり、商品の購入履歴を元にした商品のお勧めができる。

ソフトバンクロボティクス株式会社事業推進本部本部長の吉田 健一氏は、「デバイスとクラウドがあっても、アプリがまだ整っていないのが現状。広めていくために、パートナーの皆様にキラーアプリを作っていただきたい」と、AzureとPepperの連携に期待を寄せる。

IoTビジネス共創ラボの「Pepperワーキンググループ」については、8月24日に説明会が開催される。ワーキンググループの概要説明のほか、Pepper × Azure用のプラットフォームとしてのCloud Robotics Azure Platform や ロボアプリ開発事例などを紹介する。

【関連情報】
Microsoft Azureを活用するロボアプリ開発の促進を目的に、 認定制度「ロボアプリパートナー with Microsoft Azure」を開始(ソフトバンク)
IoTビジネス共創ラボ 第1回 Pepper WG ワークショップ

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。