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医師とのつながり・データ・AIで変わる、遠隔診療と在宅医療

医師とのつながり・データ・AIで変わる、遠隔診療と在宅医療

2016.11.29

Updated by WirelessWire News編集部 on November 29, 2016, 08:00 am JST Sponsored by 株式会社オプティム

人間、誰しも歳をとれば身体の調子は悪くなるもの。高齢化社会の到来に伴い、医療・介護に対するニーズは増加の一途をたどっています。しかし、医療・介護はあくまでも社会保障の中で行われており、財源に限りがあります。このような状況において必要性が高まっているのが「遠隔診療」と「在宅医療」です。

2018年度診療報酬改定で遠隔診療の導入が加速?

現在すでに顕在化している課題が、病院の混雑です。検査の結果を待ったり、治療、検査結果説明や同意書承諾にかける時間が増え、病院の待ち時間は長くなる傾向にあります。患者から見ると、病院がいつも混雑しており長時間待たされるという不満につながります。医療機関としても、病院が混雑することで、重篤だったり急を要する患者に対して時間をかけることが難しくなり、十分な対応ができなくなります。

また、今後深刻になる問題が、患者自身が高齢化によって移動が困難になることで、「医療が必要なのに病院に行けない」患者が増えてくることです。

この問題を解決するために重要性が増しているのが「遠隔医療」です。2015年8月の厚生労働省通達により、かかりつけ医による遠隔診療が事実上解禁されました。また、政府の未来投資会議では、2018年度の診療報酬改定で遠隔診療の診療報酬について対面診療と同じ程度まで引き上げるべきだという具体的な提言が出されています。

スマホを使って「遠隔診療」と「予約相談」を提供

2016年春からオプティムが提供する「ポケットドクター」は、世界初のスマートフォンでかかりつけ医の診察を受けられるサービスです。2016年11月現在でおよそ300医療機関に導入済みで、多くの方がかかりつけ医による遠隔診療を利用しています。

電話の音声だけではなく、スマートフォン、タブレットからのライブ映像を活用した遠隔作業指示の基本特許技術「Overlay Technology」による赤ペン機能や、指差し機能を用いて、映してほしい箇所の指示や、症状のわかりやすい説明が行えます。高齢者に多い、比較的症状の変化が少なく、定期的な服薬が必要な慢性疾患などでは、特に有効となっています。

また、急な発熱や怪我など、「すぐに医師に診てもらう必要があるかどうかがわからない」という時に、医師が専門家の立場で相談にのってくれる「予約相談」機能には、200名の医師が登録しています。

▼「ポケットドクター」サービスのイメージ
「ポケットドクター」サービスのイメージ

資格はあっても働いていない医師のリソースを有効活用

現役で働く医師が空き時間を有効に活用するだけでなく、免許を持っていながら産休や育休、その他の事情で現在は働いていない医師も登録が可能で、患者に対応できる医師の数を増やすことができます。また患者にとって、「診察開始まで待ってもいいのか、救急外来に行くべきなのか」を医師に相談できる仕組みは、特に人や設備が不足している救急医療機関の有効活用につながります。

診断・指導に活かせるバイタルデータ記録

医師が診察や生活指導を行う時に重要になるのが、体重、血圧、心拍数、血糖値などのバイタルデータです。ポケットドクターは新たな機能として「ヘルスケア機器連携」の提供を開始しました。自宅でヘルスケア機器を用いて測定したバイタルデータを医師と共有しながらアドバイスが受けられます。「予約相談」と「ヘルスケア機器連携」を併用することで、適切に生活習慣を見直すことができるので、結果として病気の予防にもつながります。

「ヘルスケア機器連携」は2016年11月現在、Appleの「ヘルスケア」に対応したiPhoneで利用可能となっています。また、オムロン ヘルスケア株式会社との連携により、同社の提供する健康管理アプリ「OMRON connect」(オムロン コネクト)対応機器のデータも共有でき、まずは第一弾として血圧計が利用できるようになりました。

▼ヘルスケア機器連携で対応するオムロンの家庭用血圧計「HEM-7281T」
ヘルスケア機器連携で対応するオムロンの家庭用血圧計「HEM-7281T」

「自動的に蓄積されたデータ」でより正確な診断が可能に

オムロン ヘルスケア株式会社 グローバル事業企画本部 コネクテッドデバイス事業推進部 河野 誠二氏オムロン ヘルスケア株式会社
グローバル事業企画本部 コネクテッドデバイス事業推進部
河野 誠二氏

オムロンは、1973年に血圧計第一号機を発売しました。当時はなかなか受け入れられませんでしたが、「日常生活の中で、家庭で測ることが重要」であるということを時間をかけて広めることで、現在は全世界で年間1,000万台以上の血圧計を出荷しています。

これまで、家庭で測定した血圧をお医者様に見せるためには、患者さんが測定結果を手帳に書きこむ「日記式」の記録を行っていました。しかしこの方法では、単純に書き間違いや手書きの文字が正しく読み取れなかったり、測り忘れをごまかしたり、医師に怒られるのが嫌で血圧を低く申告したりといった理由で、医師に正確なデータが伝わらないことがままありました。その結果、指導をしても十分な成果が得られないということがあったのです。

自動的に蓄積された正確な測定データを医師が見ることで、小さな変化も見逃すことなくより正確な診断が可能になります。我々は従来機器の製造からデータを管理するクラウドサービスまでを自社で提供していましたが、「OMRON connect(オムロン コネクト)」はオープンに他社の健康アプリなどにも弊社の機器のデータを活用していただこうという考え方で始めました。11月から血圧計、2017年以降には体重体組成計、活動量計も対応機種を発売します。

オプティムの「ポケットドクター」との連携は、他社連携の第一弾として、遠隔医療分野での取り組みとなります。我々は血圧測定については40年以上の経験の蓄積を生かし、医師にとって役立つような集計・グラフ化のノウハウなどをオプティムさんとも共有していきます。「測って・気づいて・変えていく」という中で、我々は測ることに注力し、「気づいて・変えていく」という部分をオプティムさんと一緒にさせていただくという流れを進めようとしています。

(2016年10月28日 IoT/M2M展秋 講演より)

「地域包括ケア」に向けた在宅医療推進

医療をめぐるもう一つの課題がコストです。少子高齢化に伴う社会保障費の抑制が必要とされる中、医療費の削減も求められています。そのために国は政策として「時々入院、ほぼ在宅」を掲げ、在宅医療・在宅介護を推進しています。その一環として病院の病床数削減が徐々に進められています。

▼病院病床数の変化
(厚生労働省「医療施設動態調査(平成28年1月末概数)」より)
病院病床数の変化

また、診療報酬制度も、なるべく長期入院をさせないよう、1か所の病院で90日以上は入院しづらい制度となっており、期限が来たら他の病院に転院させられるといった事態が発生しています。

患者視点から見れば、1か所で落ち着いて治療を受けられない現在の入院システムよりは、住み慣れた自宅で過ごせた方がQOLは高くなります。厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の方針を掲げています。

そこで問題となるのが、看護にあたる家族の負担です。専門家がいない自宅で正しい処置ができるか、病状の変化を見逃さないかという不安に加えて、介護も必要になると、24時間休みなしの見守りに徘徊の危険や排せつの世話などで家族は休むことができず、肉体的にも精神的に追い詰められます。

AIカメラでプライバシーを確保しつつ、自宅のベッドを病院のベッドに!

在宅看護に求められる専門家の支援。オプティムの新サービス「在宅医療安心パック」は、タブレット、スマートウォッチ、AIカメラで、自宅にいながら医師や看護師に見守ってもらっているような状態を実現します。

在宅医療安心パック

在宅医療安心パック

サービスの中心となるのが、オプティムが独自に開発した「AIカメラ機能」です。普段の監視は「OPTiM Cloud IoT OS」上に搭載されたAIが行い、カメラの映像を人が見ることはできません。画像解析技術によりAIが見守り対象者の転倒、長時間動いていない状態、そして徘徊の可能性につながる長時間の不在を検知した時のみ、家族と病院に通知し、さらに家族が許可した時にのみ病院から映像へのアクセスを可能にすることで、患者や家族のプライバシーと見守りの両立を可能にしています。

「回診」「バイタルデータ測定」「ナースコール」を自宅で実現

入院中には、医師や看護師による毎日の回診と血圧や体温などのバイタルデータ測定によりその日の体調を把握し、適切な処置がとられます。また、患者は何かあった時にナースコールで看護師を呼ぶことができます。在宅安心パックは、テレビ電話で病院から在宅患者に声をかけ、会話ができる「お声がけ機能」、必要に応じて遠隔診療が受けられる「遠隔診療機能」、スマートウォッチにより測定したバイタルデータを病院に送る「バイタルデータ収集機能」、緊急時にはスマートウォッチからボタン一つで医療機関に連絡できる「ナースコール機能」により、自宅のベッドを病院のベッドと同様に見守ります。

国に先駆け在宅医療推進に取り組む織田病院で実証実験を実施

佐賀県の社会医療法人 祐愛会織田病院(以下 織田病院)では、病院完結型医療から地域完結型医療を目指し、入院中のケアを自宅退院後も継続すべく、薬剤師、管理栄養士、訪問看護師、理学療法士、介護福祉士、メディカルソーシャルワーカー、ケアマネージャーなど多職種からなるチームによって訪問サービスを行うことにより、自宅も病棟の一つと考える「メディカル・ベースキャンプ」というコンセプトを掲げた体制作りに取り組んでいます。

オプティムは、織田病院のご協力のもと、在宅医療安心パックの実証実験を行っています。患者様からは緊急時の不安が軽減した、また患者様のご家族からも介護の不安が軽減したなどご好評をいただいています。

特に「お声がけ機能」は、相手が応答しないと会話ができないFacetimeなどのテレビ電話アプリと異なり、しばらく待って応答がない時は接続を開始することで、看護師から声をかけ様子を見ることができる、まさに病院の回診と同様の対応が遠隔で実現できることが評価されました。

「在宅医療」から「在宅介護」へ広がるニーズ

既に介護施設の不足は顕在化しており、地域のニーズがあってもベッド数が足りないため利用者を受け入れられない介護施設が急増しています。自宅のベッドを病院のベッドに変える「在宅医療安心パック」を活用して、普段は家族が自宅での介護をしながら専門家が見守り、緊急時には駆けつけての介護支援ができれば、大きな支えとなります。

「メディカル・ベースキャンプ」で院内でも院外でも同じサービスを

社会医療法人 祐愛会織田病院 情報管理室 システムエンジニア 森川 伸一氏社会医療法人 祐愛会織田病院
情報管理室 システムエンジニア
森川 伸一氏

日本の病床数は諸外国に比べても多いと言われており、国は2020年に向け32万床を自宅や介護施設への切り替えを進めようとしています。また、当院の新規入院患者様のうち、85歳以上の割合はここ10年で2倍以上に増えています。85歳になると、要介護率がほぼ50%となり、また配偶者も同様に80歳を超えている場合も多く、病院に来たくても来られない、という実情を抱えています。

高齢患者数の増加と病床数削減により、在宅医療は必須になると考えています。そこで、自宅を病床、地域を病棟に見立てた仕組みとして、病院に患者さんを集める病院完結型の「メディカルセンター方式」から、病院から地域へ出動していく地域完結型の「メディカル・ベースキャンプ方式」への転換により施設から在宅への取り組みを進めています。

病院では医師と看護師だけでなく、理学療法士、介護福祉士、メディカルソーシャルワーカー、ケアマネージャーなど多職種のチームで患者様をサポートしています。現在当院は111床の病床数ですが、院外でも同じ体制で患者様をサポートできるようにして、在宅を病床と見立てることができれば、病床が無限大になるのではないかという前向きな考え方を持っております。

在宅の病床化に向けて、新たな在宅医療にチャレンジしていきたいと考えています。そこで、退院した患者さんにも安心していただくために、「在宅医療安心パック」を実証実験させていただきました。

患者様からは「お声がけ機能」が、毎朝先生とお話しできることで安心できると好評でした。また、院内のメディカル・ベースキャンプでは、在宅医療安心パックの画面を大画面で表示しています。また、同じ情報は訪問看護師のタブレットでも表示できます。チームで常時在宅患者様の状態を共有することで、的確な指示が出せるようになったと考えております。

院内の患者様について毎日スタッフがカンファレンスを行うように、在宅の患者様についても在宅医療安心パックの画面で状態を確認しながらカンファレンスを行い、院内の患者様にも院外の患者様にも同じサービスを提供する挑戦をしています。

在宅医療安心パックは使い始めたばかりですが、実証実験を行うことでしか得られない、生の現場の情報が数多く得られています。実証実験で得られた問題点を一つ一つ克服し、長所はさらによいものにしながら、今後もIoT、AIを使って、ますます地域のための在宅医療の充実を図りたいと思っています。

(2016年10月28日 IoT/M2M展秋 講演より)

住み慣れた場所で日常生活を送りながら、必要に応じて専門家の力を借り、安心して暮らしたい。そんな当たり前の願いをかなえられる社会を実現するために、オプティムは医療×IoTに取り組みます。

オプティム

お問い合わせ先:https://www.optim.co.jp/inquiry
関連URL
株式会社オプティム:http://www.optim.co.jp/
●ポケットドクターWebサイト:https://www.pocketdoctor.jp/
オムロン ヘルスケア株式会社:http://www.healthcare.omron.co.jp/
社会医療法人 祐愛会織田病院:http://www.odahp.com/

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