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独自SIM発行が可能な「フルMVNO」を欧州事業者と実現、日本通信が今夏にも

2017.01.17

Updated by Naohisa Iwamoto on January 17, 2017, 06:25 am JST

MVNO(仮想移動体通信事業者)の動向の1つとして注目されているのが、「フルMVNO」だ。これまでNTTドコモやKDDI、ソフトバンクといったMNO(移動体通信事業者)が提供してきたHLR(Home Location Register)/HSS(Home Subscriber Server)といった加入者情報を管理するデータベースを、MVNO側で独自に運営・管理できるようになったMVNOをフルMVNOと呼ぶ。

日本通信は2017年1月16日、HLR/HSSを独自に保有するフルMVNO実現の方策について発表した。日本通信のヨーロッパ子会社を通じて、ベルギーに拠点を置くグローバル卸通信事業者のBICSとの間で、フルMVNO実現に向けて合意したのだ。これにより、1つの契約があれば世界中で利用できる独自SIMの発行が可能になる。具体的には、日本通信とBICSは、レイヤー2でネットワークを相互接続し、日本通信が所有するHLR/HSSなどによって構成されるコアネットワークを使って、通信サービスを提供する。日本通信によれば、独自SIMと同社のコアネットワークの間で、特許を取得した独自のメソッドを利用できるようになり、安全で信頼できる通信が可能になるという。2017年夏までにサービスの開始を目指す。

BICSとのネットワーク相互接続によるフルMVNO化で、まずは日本の顧客に対してモバイル通信機能を備えた製品のグローバル市場への展開を可能にする。さらに、欧州の顧客が日本市場への展開を可能にする環境も整える。特に、自動車市場の顧客への価値提供を視野に入れているという。

フルMVNOについては、インターネットイニシアティブ(IIJ)が2016年8月にNTTドコモとの間でHLR/HSSの連携について発表している。IIJでは2017年度中に国内初の「フルMVNO」としての商用サービス開始を目指しているが、欧州事業者と連携した日本通信が一歩先にフルMVNOとしての商用サービスを開始することになりそうだ。

【報道発表資料】
日本通信、欧州通信事業者BICSと「フルMVNO」で合意

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。