IoTを使用したスマート掃除でコスト削減
Cut cleaning cost with IoT
2017.04.22
Updated by Mayumi Tanimoto on April 22, 2017, 08:09 am JST
Cut cleaning cost with IoT
2017.04.22
Updated by Mayumi Tanimoto on April 22, 2017, 08:09 am JST
前回は、マンチェスター市のIoTコンソーシアムであるThe CityVerve Projectに参加しているスタートアップ企業のSPICA TechnologiesのDevicepoint™をご紹介しましたが、SmartIoTでは、営業担当のJackさんからもっと面白い話を聞きました。
そもそもDevicepoint™は、クラウドを使用したIoTソリューションで、水道管などにセンサーを取り付け、リアルタイムでオフィスビルや病院の空調や手洗い用の水質管理を行う製品です。
しかし、このセンサーを「ビル管理や掃除にも使えないか?」という要望がビルのオーナーからあり、「スマートオフィス管理」「スマート清掃」ソリューションを開発することになったのです。
イギリスは、EU離脱が決まったとはいっても、英語が通じますし、欧州大陸に比べると企業環境が遥かに整っていたり、資金繰りが楽ですので、相変わらず欧州だけではなく世界中から人が集まってくるという欧州一のビジネスセンターの一つです。オフィスビル間の競争も激しいので、コスト削減に繋がる様なソリューションは、オーナー的にも管理会社的にもありがたいわけです。
「スマートオフィス管理」は、センサーをオフィスの一角に取り付け、会議室やオフィスの使用率や、温度、湿度などをモニタリングします。イギリスの場合、オフィスルの各部屋の使用率は通常40−50%なので、利用率をモニタリングすることでより効率的な使用が可能になります。部屋の環境のモニタリングは、ユーザーの満足度向上に繋がりますし、空調コストの調整も可能です。
イギリスの会社や大学は、年に何回は施設や部屋の利用率の監査というのをやります。各部屋の予約と実際の使用状況の台帳を照らし合わせたり、利用部門に問い合わせしなければならないという手間が発生しますが、こういう自動化ソリューションを入れると事務コストの大幅な削減になります。
また、ロンドンなど大都市はオフィスコストが高いため、ホットデスキングや在宅勤務を導入して、従業員の固定席をなくすことで固定費削減をしている組織が増えています。固定費の削減は事務系やオペレーション系の幹部のKPIに入っていたりしますので、コスト削減のインセンティブが働くわけですが、こういうソリューションがあると助かるのが目に見えます。日本だと、アメリカやイギリス、カナダに比べると、幹部やマネージメントのKPI目標が緩かったりするので、導入の動機が薄いかもしれませんね。(そもそも、必要もないのに都内に大規模オフィスをおいてるぐらいですから)
「スマート清掃」は、センサーをオフィスの一角や机に取り付け、清掃員が入室したかどうか、机の上を拭いたかどうか等をチェックすることで、清掃もれがないか、どこを作業してもらうか、という指示や管理が可能になります。人員配置や管理コストの手間がかなり削減されますね。細かい部分のチェックは若干難しいかもしせんが、抜き打ちのスポットチェックなどで品質管理は可能なのではないでしょうか。イギリスの場合、清掃業界は管理側も働く人も外国人が多く、お互いの意思疎通も結構大変なので、こういう自動化ソリューションで「証拠」が残ると、やった、やってない、で争うことも減るでしょう。
このセンサーを部屋や机に取り付けます
センサーを接続する端末
どちらもThe CityVerve Projectで実証実験中で、現在12の建物に500以上のセンサーが取り付けられています。デザインが地味なので机に取り付けられていても気がつかないような感じです。
IoTの要望が顧客サイドからあったというのが面白いですが、人手不足だが、人件費を上げるわけにも行かないという日本の企業でもこいうソリューションを熱望する所は多いんじゃないでしょうか。
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登録はこちらNTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。