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B-1「女帝の時代」をみれば現代の日本がわかる

2019.02.01

Updated by Osamu Hashimoto on February 1, 2019, 10:00 am JST

小説家の橋本治さんが1月29日に亡くなられました。
追悼の意を込めて、2017年4月に収録された橋本治さんの映像講義を無償公開いたします。
心から橋本治さんのご冥福をお祈りします。
(スタイル株式会社)

現代社会を規定する「律令制」のルーツは奈良時代にある。そして奈良時代は、じつは「女帝」の時代だった。天皇家における「女性」の位置づけを見ていくと、現在にいたる日本の特殊な権力構造がよくわかる。かつて「女性である」ことと「天皇である」ことの間には矛盾はなかった。では、これからの天皇制はどうあるべきか。天皇をめぐる議論に一石を投じる、刺激的なハシモト流「天皇論」。(聞き手:仲俣暁生)

  • 学校で教える歴史は「ハッピーエンド史観」だから役に立たない(0:47)
  • 東大法学部を出て高級官僚になるのは、そんなにいいステイタスなのか(3:10)
  • 誰もが参加できる「世襲制」はもう終わっているかもしれない(4:36)
  • 教育は「一家というシステム」を成り立たせるために必要なものだった(5:14)
  • 私を悩ませる「天皇ってなんだ?」問題(9:21)
  • 天皇の「后」がどういう存在なのかがよくわからない(11:57)
  • 律令制ができあがった時代は「女帝」の時代(13:50)
  • 百人一首で天智天皇と持統天皇がペアになる理由(18:00)
  • 恋愛の自由がなかった聖武天皇(18:15)
  • 摂関政治で藤原氏が権力を握れたのは、天皇に女を選ぶ権利がなかったから(22:50)
  • 「女帝の時代」は男が萎縮する時代のはじまり(23:20)
  • なんで「女帝」は生まれたのか?(25:00)
  • 天智天皇の正式な「后」だった倭姫王の謎(26:00)
  • 最初の女帝、推古天皇は「蘇我王朝」の天皇ではなかった(30:19)
  • 「天皇の娘」は特殊な力をもつと思われていたと考えたほうがいい(31:18)
  • 皇統断絶を救った継体天皇の「后」・手白香皇女は仁賢天皇の娘だった(33:45)
  • 奈良時代は女の力が強い「女帝」の時代だった(36:48)
  • 律令国家が「女の時代」だったことを認めたくなかった明治政府(38:29)
  • 天皇を大切なものだと思うなら、天皇の娘を大切だと思うのも当り前(40:50)
  • 後白河上皇で「組織としての朝廷」は実質的に終ったのかもしれない(45:00)
  • 天皇家の血が特別なものなら、男女差別が入り込む余地はない(48:28)
  • 知識とは時間をかけて獲得してきたことの結果でしかない(50:00)
  • 「考えること」とは現在から「遡っていくこと」である(51:15)

計:53分16秒

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橋本 治(はしもと・おさむ)

1948年東京生まれ。東京大学在学中、駒場祭のポスター「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」で話題を集める。イラストレーターとして活動中の1977年に小説『桃尻娘』が小説現代新人賞佳作となり作家デビュー。以後、小説・エッセイ・古典の現代語訳・批評・戯曲などあらゆる分野で、40年にわたり八面六臂の執筆活動を行う。この講義に関連する著作としては、『日本の女帝の物語』(集英社新書)、『双調平家物語ノート1 権力の日本人』『双調平家物語ノート2 院政の日本人』(ともに講談社)などがある。2019年1月29日没。