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5G予測、2025年に26億加入、30年には世界需要が約170兆円に
2019.12.23
Updated by Naohisa Iwamoto on December 23, 2019, 13:30 pm JST
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2019.12.23
Updated by Naohisa Iwamoto on December 23, 2019, 13:30 pm JST
国内でも2020年に商用サービスが始まる5Gは、今後どのように普及拡大していくだろうか。スゥエーデンのエリクソンの「エリクソン モビリティレポート」、電子情報技術産業協会(JEITA)の「第五世代移動通信システム(5G)の世界需要額見通し」の内外の2つの予測の数値が発表された。
エリクソンのモビリティレポート2019年11月版では、米国、韓国、欧州などで商用サービスが始まった5Gは、2019年度末までに1300万加入を獲得、その後は急速に加入が増加して、2025年には26億加入に達すると見る。モバイル加入契約の全数は、2019年度第三四半期で約80億、2025年には89億に伸びる中で、5Gが利用を急拡大させるとの予測である。2019年度第三四半期時点では、LTEがモバイル加入契約の52%を占め、初めて過半数を超えた。この後もLTE加入は増加し、2022年に54億加入でピークを迎える。それ以降はLTEの比率は徐々に低下し、5Gのシェアが高まっていく。
▼5Gは2025年に26億加入に(エリクソンの資料より)
また、世界の月間モバイルトラフィック量は、2019年には約38億エクサバイトで、年間増加率は68%と高い数字を維持している。今後、5Gの普及拡大に伴いトラフィックは増加を続け、2025年には約160億エクサバイトに達する。この中で約45%のトラフィックが5Gネットワークによってやり取りされると見ている。
▼2025年のモバイルトラフィックの45%が5Gに(エリクソンの資料より)
エリクソンは、2019年9月時点で5G商用サービスを提供する世界の約50のネットワークのうち、24のネットワークにシステムを提供するなどのサポートを行っている。現時点ではすべて4Gのネットワークと組み合わせて稼働させるNSA(ノンスタンドアロン)型のネットワークだが、2020年半ばには5Gだけで稼働させるSA(スタンドアロン)型のネットワークに対応した端末の提供が始まり、SAによる商用サービスが始まると見る。
JEITAの予測では、市場規模の拡大の様子が示されている。5G市場の世界需要額は年平均63.7%増で成長し、2030年には168兆3000億円に達するとの見込み。これは2018年時点の世界需要額の約300倍の大幅な拡大になる。需要を品目別に見た場合には、IoT機器では自動運転車やロボット、ネットワークカメラなどにより需要が牽引される。また、ソリューションサービスでは製造、金融、流通・物流などの分野で需要が高まると見ている。
▼5Gの世界需要額は2030年に170兆円近くに(電子情報技術産業協会(JEITA)の資料より)
エリクソンも産業界でのICT関連収益と5Gの寄与について予測数値を出している。2030年の産業界全体のICT関連収益は約3兆8000億米ドル(約410兆円)となり、その中で通信事業者の産業界での5Gによる収益は7000億米ドル(約76兆円)を占めると見る。コンシューマー向けの用途が中心の現状の収益に対して、大きく産業界での収益が伸びてくる。
また、JEITAではローカル5Gについても需要を予測している。高いセキュリティレベルや通信の安定性が得られる特性をもつローカル5Gは、工場や農場、建設現場やイベント会場、病院などで導入が見込まれると予測する。そのローカル5G市場の世界需要額は、年平均65.0%増で成長し、2030年には10兆8000億円に拡大する見通し。国内でも2030年に1兆3000億円の需要額に達するとの予測である。
▼ローカル5Gは国内外で急拡大(電子情報技術産業協会(JEITA)の資料より)
【報道発表資料】
・Ericsson Mobility Report: 5G subscriptions to top 2.6 billion by end of 2025
・5Gの世界需要額見通しを発表
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