photo by 竹田茂
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大島新に流れる反骨精神
今回は映画の話から始める。
『君はなぜ総理大臣になれないのか』、なかなか挑戦的なタイトルである。
現在、立憲民主党政調会長を務める小川淳也代議士を追ったドキュメンタリーだ。
政治は突き詰めれば選挙。そこで勝つか負けるか、ですべてが決まる。小川代議士は選挙に弱い。選挙区ではずっと自民党の候補に負けてきた。それでも熱く政治を語る、語り続ける。
そんな一人の若き政治家(当時は)を17年も追い続けた。この映画には続編がある。昨年末公開され、ロングランで上映されている『香川1区』。2021年10月の総選挙に至るまで、その結末までを撮った半年間の記録だ。小川代議士は勝った。映画のラスト近く、TVの選挙速報開始と同時に香川1区当確のテロップが流れる、歓喜の叫びに包まれる選挙事務所。深々と頭を下げ続ける小川代議士。政治のリアルがよく描かれた映画だ。この2作のドキュメンタリーを撮ったのが大島新。大島渚の息子である。父と子。二人を知る僕は、どうしてもこの二人に脈々と流れる反骨を思ってしまう。
切腹の練習をさせられた大島渚が許せないもの
父・大島渚さんは、僕より二つ上、学年は三つ上になる。
僕は大島渚監督の映画をずっと観ている。
『青春残酷物語』『日本の夜と霧』『愛のコリーダ』、そして『戦場のメリークリスマス』。大島監督は京大を卒業し、松竹に入った。しかし、60年安保を描いた『日本の夜と霧』が公開後すぐ上映中止となり、松竹を去る。その後、フリーとなり数々の話題作を撮り続けた。僕が「朝生(朝まで生テレビ!)」を始めようとした時、大島さんはフリーで活躍をし始めた頃だった。朝生は開始早々からタブーに次々と挑戦した。「昭和天皇論」や「被差別部落論」「原発論」「暴力団論」など、激論を展開した。そして、そのほとんどは大島さんが言いだしたものだった。大島さんは、司会の私がいささかでもひるみ、はぐらかすような姿勢を見せると、「バカヤロー」「逃げるな」と怒鳴った。その迫力、その覚悟が桁違いだった。
※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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