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新自由主義が狭めた宇宙

2023.01.24

Updated by WirelessWire News編集部 on January 24, 2023, 06:32 am JST

新自由主義で高い評価を受けたロナルド・レーガン

第40代アメリカ合衆国大統領を務めたロナルド・レーガン(1911-2004)という人は、アメリカにおいては高い評価を受けている。高評価の理由は主に二つ。まず「ソ連との冷戦を勝利のうちに終結させた大統領」という点。もうひとつはレーガノミクスと呼ばれた新自由主義的経済政策で好景気を誘導し、アメリカ経済を成長させたというものだ。

レーガンの評価は初期から高かったわけではない。彼は大学卒業後にラジオのアナウンサーを経て、ハリウッドで俳優となった。特に演技が上手いわけではなく、俳優としては大成しなかったが、俳優組合の運動に参加することで政治の世界に触れ、政治活動へと徐々に軸足を移していく。二枚目で通用する甘いマスクと高身長、そしてアナウンサー経験で培った流麗な弁舌は、政治活動にも役立った。

政治的立場は、個人の自由意志を重んじて政府による規制を最小限にすべきという共和党の主張に沿ったものであり、1948年から54年にかけて共和党右派のジョセフ・マッカーシー上院議員が主導した共産主義排斥運動、通称「赤狩り」に協力した。

1967年にはカリフォルニア州知事に当選した。州知事時代は「ベトナムを爆撃で駐車場にしてしまえ」などと言って舌禍事件を引き起こしたりもしている。1968年からは大統領選への挑戦を開始。1968年、72年、76年と共和党の予備選で敗退したが、1980年は共和党の大統領候補に指名される。民主党の現職であったジミー・カーター大統領がイランのアメリカ大使館人質事件への対応で人気を落としたことから選挙に勝利し、1981年1月20日、大統領に就任した。この時レーガン69歳。

ここから彼は途中で暗殺未遂に遭遇しつつも2期8年の任期を全うし、「偉大な大統領」という評価を得た。では、なにがどのように「偉大」だったのか。

彼の思考の根本は、アメリカ草の根の自由主義だった。個人を重んじ、その自由意志を妨げるものを排除する。妨げるものの中には、人間社会に秩序をもたらす政府も入っている。政府は小さいほど良いし、政策的規制は少ないほど良い。

とはいえ、それを大統領が打ち出す政策として具体化するには、単なる個人の嗜好だけでは済まない。強固な論理の背骨が必要となる。レーガンの場合、政策の背骨となったのが新自由主義・ネオリベラリズムだった。特に経済学としてのネオリベラリズムだ。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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