WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

民間にチャンスをもたらす「小型化」と「拡張性」

2023.02.14

Updated by WirelessWire News編集部 on February 14, 2023, 06:30 am JST

人工衛星の最低条件とは

最初に質問。人工衛星とはどんなものでしょうか。

世間には様々な情報が溢れているので、人工衛星といってなにも思い浮かばないという人は少ないだろう。なにか太陽電池パドルを拡げた姿や、くるくると回っているものとか、パラボラアンテナを地球に向けているところとか、色々なイメージを思い浮かべるはずだ。

ではその本質はなにか。

なにか宇宙に物体が浮かんでいる。それだけでは衛星ではない。では、それが人の手の加わった人工物体ならいいのか。いや、そうでもない。宇宙空間にあるだけなら、そもそも道具としての意味がない。

最低でも、「地球と情報を交換できる」ことが、衛星の最低条件となる。

一番簡単な衛星は、ミラー衛星だ。表面が鏡になっていて光や電波を反射する。地表から照射して、その反射波を受け取るというものだ。

世界初の通信衛星「エコー」(1960年5月打ち上げ)は直径30mの風船だった。電子装置は一切搭載していないが、表面が金属でコーティングしてあって電波を反射する。地上から送った電波を反射し、反射波を別の場所で受信することで通信衛星として使用できる。受動型通信衛星とよばれる形式だ。

この手の衛星としては、測地衛星というものもある。光を入射した方向に反射する特殊なミラーやプリズムを表面にびっしりと並べた衛星だ。地上からレーザー光線で照射すると反射し、照射した場所に送り返す。レーザー光発射と受光の時間差から、地表と衛星との距離が測定できる。正確な軌道が分かっていれば、この距離から、地上の特定の場所の正確な位置や地球の形状などを高精度で測定することができる。日本も1986年に打ち上げた「あじさい」という測地衛星を今も運用している。基本的に壊れる部分がないので、いつまででも運用できるわけだ。

地表ともっと複雑な情報の交換をしたいとなると、衛星側に送信機、受信機、アンテナ、電源といったものを搭載することになる。一番簡単な情報として衛星地震の温度や、回路の電圧電流といったものを送るなら、相応のセンサーも必要となる。一歩進んで地表を撮影したければカメラと画像情報を処理する回路が必要だ。「送られてきた微弱な電波を増幅して送り返したい」ならば、増幅回路を載せることになる。

宇宙環境に耐えうるスマートフォン

それやこれや考えてみると、衛星の機能とは、ほぼ携帯電話・ないしはスマートフォンと同じということに気が付く。携帯電話・スマートフォンは、電源のバッテリーを積み、双方向の通信機能は付いているし、カメラのようなセンサーも搭載している。もちろん衛星にはテンキーやタッチディスプレイのようなヒューマン・インタフェースは不要だ。だから、衛星とは「ガワを剥いてキーとディスプレイを外した携帯電話・スマートフォン」と同じということになる。

携帯機器だから当然片手で持つ事ができる大きさだ。つまり衛星は、片手サイズまで小さくできるのである。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
この筆者の記事をもっと読む

「本当のDX」を考えるウェブメディア『モダンタイムズ』創刊「本当のDX」を考えるウェブメディア『モダンタイムズ

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

RELATED TAG