WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

脱ロシアで進む脱炭素。変わる世界のパワーバランス

2023.03.15

Updated by WirelessWire News編集部 on March 15, 2023, 07:46 am JST

エアコンの設定温度を1度下げることで、脱ロシアを目指すEU

ロシア産の化石燃料からの脱却を目指す「リパワーEU」のために、EUがどのようにエネルギーの消費量を抑えるかというと、基本路線は省エネのようだ。ドキュメントに詳細が書かれているわけではないが、「エアコンの室温設定を1度下げる」といったような努力がなされるようである。他にも、高速道路に速度制限をかけるという議論も出ている。政治的な目標を達成するためのコツコツとした努力だ。

このような形の政治的不買運動は人類の歴史上あるにはあったが、自分たちの生活必需品、それも社会の根底を支えているエネルギー供給を自ら「買いません」という宣言をするというのは、あまり例がない。自爆的な兵糧攻めともいえよう。持っている人に対して「私は買いません」ということを言って抵抗するわけだが、これは買わないほうにとって相当つらい。

今回の事象を石油ショックになぞらえる人がいるが、実際に起きていることとして論理が逆である。石油ショックは供給側が「売らない」と言ったのに対し、今回は需要側が「買わない」と言っているのである。

こうなれば、普通は需要が減るので値段が下がるはずだが、エネルギーがどうしても不可欠である以上、他の国から買わざるを得ない。

つまり、「ロシアから買わない」と言っているだけで需要は消えない。そのため、ロシア以外の供給国に需要が殺到して、結果的に値段が上がるという予測がマーケットで行われて原油高が起きた。これは石油ショックとは真逆の不買運動である。自ら必要な物資を買いませんという宣言をしているという意味で、非常に特殊な制裁の形だ。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
この筆者の記事をもっと読む

「本当のDX」を考えるウェブメディア『モダンタイムズ』創刊「本当のDX」を考えるウェブメディア『モダンタイムズ

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

RELATED TAG