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2023年夏、折り畳みの「ガラケー」に機種変更(2) 限られた機能と練れたUIが快適な件

2023.09.14

Updated by Toshimasa TANABE on September 14, 2023, 13:56 pm JST

新しい端末は、今年3月発売の京セラ製の最新のガラケー・モデル。カメラは800万画素。モバイルSuica非対応。ワンセグなし、5Gなどとは無縁、という端末だ(固定回線の代わりに使っているWiMAXのモバイルルーターが5G対応なのだが、さいたま市の仕事場では5Gは拾わない)。

料金は月額1,500円くらい(ガラケー向けの最安値プラン)。データ通信と音声通話のパッケージ料金で、データ使用量が100Mバイトを超えると速度制限(128kbps)がかかる。通話料は22秒30円、つまり、データ通信は出先ではほとんど使用しない(自宅や仕事場ではWi-Fi端末となる)、電話もどうしてもというとき以外は発信しない、という前提である。スマフォのときの使用実績からして十分だと判断した。

ガラケーに機種変更すると、当然、いくつか制約事項が出て来る。例えば、クルマにUSBでつないでカーナビにする(Android Auto)ことができない、などである。もちろん、事前に何ができなくなるかをざっと確認してみたのであるが、

・Android Auto(カーナビ)
普段は、よほどのときでないと使わないし、カーナビ無しで運転していた
期間の方がはるかに長いので、割と問題ない。

・SNS
アクセスは、文字入力が楽なPCの前にいるときだけにする。
インスタグラムはいろいろ気に入らなくて既にやめたし、
スマフォやアプリが前提の新規サービスには興味がない。

・モバイルSuica
Suicaのカードがあるので、チャージがちょっと面倒になるだけで問題ない。
既に、電車に乗ることも少なくなった。モバイルSuicaの残高は使い切って
しまえば良い。因みに先日、スマフォの電池が切れても、モバイルSuicaで
改札を通れることにびっくりしているNFCを知らない若者に驚愕した。

飲食店や商業施設などのアプリやクーポンの類
わずかなポイントを使うために無駄に何倍もの金を使うこともあるまい。
オフラインでQRコード提示で使えるものを使い切って完了。

・LINE
普段は使っていないし、以前住んでいた御殿場のガソリンスタンドの
クーポンや焼肉屋のお知らせなどがたまに来るが、既に割とどうでも良い。

・Bluetooth接続による運転中のハンズフリー通話
過去3年で、3回しかかかってこなかったし、どうでも良い内容の電話ばかり
だった。ハンズフリーではあっても、運転中の通話は多少危険だとも思う。

・アナログレコードをデジタル化した音楽データ(車内再生用)
iPad(ナビにはならない古いモデル)のアナログ出力をつなげば済む話。

といった感じで、すべてが割と問題ないと思えたのだった。

機種変更して2、3週間経過したが、ガラケーは機能が限られているだけに、無理に使おうとしないから快適、という側面がある。昔ながらのUI(ユーザ・インタフェース)も練れているし(進歩していないともいえるが)、特に不便ということはない。端末のソフトウエアとしてはAndroidベースらしいし、QRコードも読み取れる。Webアクセスもできるので、アプリによってはインストールできるものもあるのだろうが、特に必要性を感じないしストレージも少ないので、アプリは基本的に入れないつもりだ。

そういうわけで、ライフスタイルに多少の変化が生じている。例えば、食べたもの(正確には食べる前だが)の写真を撮らなくなった。800万画素のカメラでもそこそこ写るし(上の写真は、ガラケーで撮ってみた最初の写真、寿司屋の「ちらし丼」)、コンパクトデジカメを持って歩いても良いのだが、スマフォに嫌気が差したのと同様に、すべてが面倒に感じられるようになってきた。

食べたものは、手帳(実は紙の手帳を愛用している。オンラインのスケジューラの類は使っていない)にメモを残しているので、写真のタイムスタンプと手帳を照合すれば、いつどこで何を食べたか、そのときの情景などが鮮明に思い出せるようになっていたのだが、これも割とどうでも良くなってきた。それほど、バリエーションに富んだ食事や他人に誇れるような、あるいは意識高い系の食事をしている訳でもない。

食べたものを記録する欲求が消えたので、結局、食事に出るときには、携帯電話自体を持たずに、胸ポケットにサングラス、ジーンズの尻ポケットに財布(長財布をやめて小さい財布にした)、といった軽装で出歩くようになった。

写真は、本当に必要なとき(実はあまりない)はコンパクトデジカメで、競馬場に行くときなどは一眼レフを持って行くことにした。飯を食ったり、酒を飲んだりするときに携帯をまったく触らなくなったのは、なかなか快適だ。料理の写真撮影を禁止している店にそうとは知らずに入ってしまって腹が立つこともない。客の回転が勝負の安い店で、あるいは入店待ちの人がいるようなときに、飯を食い終わっているのに延々とスマフォをいじって席を占拠しているような輩とは一線を画すのである。

メールは、スマフォだとどこでも全部見られたけれど、見たところでPCがないと対応できない話がほとんどなので、仕事関連で優先度が高いメールだけをガラケーのキャリアメールに転送するようにGmailのフィルタで設定して、PCの前に戻ってから対応する。いずれにしても、仕事の請負形態や内容にもよるのではあるが、現在は本当に即時対応が必須、などということは、私の場合はほとんどない。

こうなると、QRコードを読んでのモバイルオーダーの店(サーバー不調でオーダーが通らなかったりするので困るが)からは足が遠のくし、会員アプリでポイント云々なんて店も割とどうでも良くなってくる。アプリ前提のマーケティングやサービス、LINE前提のマーケティングやコミュニケーションなどから離脱できたのがとても快適だ。

そういうわけで、端末を開いて、ボタンを押して遷移するメニューをくまなく全部見て、何ができて何ができないか、設定可能なのは何か、などを確認しつつ、「懐かしい使い勝手の最新端末」にかなり慣れてきたところだ。待ち受けの壁紙も変更したし、なんとなく自分の端末という感じになってきた。

下の写真は、通話後に表示されたメッセージ。なかなか分かりにくいが、いまの通話は一時的にバッファに入っているから保存できる、という機能で、通話中にメモを取らずに済む、ということらしい。とはいえ、バッファのサイズや何分くらい溜まるのか? 通話終了後、どのくらい残ってるのか? など仕様がよく分からない。こういうことがいくつかあったので、マニュアルを調べて疑問を一つずつ潰していく。

機種変更後の最初の週末には、初めて馬券を買ってみた。数少ないデータ通信の用途である。ガラケー用サイトを維持しているJRAには頭が下がる(確実に売り上げにつながっているから、なんだろうけれど)。おまじないのようなコード入力は、すっかり忘れていて使えないのだが、単勝、馬番、金額などをメニューで順に指定して容易に買うことができる。流し馬券を指定したときに「総流し」のボタンがないのが残念だったが、1-4番ならセパレーターなしで「01020304」と馬番を2桁で並べると良い、などということも改めて調べて困らなくなってきた。

いずれにしても、通話とキャリアメール、SMS、馬券購入くらいの用途で、電話はまず掛かってこないし掛けないし、モバイルSuica非対応ということもあって、普段持ち歩く必要性をあまり感じなくなるのであった。伝言メモ機能があるし、携帯電話でありながらほとんど留守電付きの固定電話に近い存在になっている。

食事や散歩の最中、酒を飲んでいるときなどはネットに居ない、ということで良いではないか。こんな使い方だと、充電器から外して丸1日経過しても、電池は95%くらい残っている。

 

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田邊 俊雅(たなべ・としまさ)

北海道札幌市出身。システムエンジニア、IT分野の専門雑誌編集、Webメディア編集・運営、読者コミュニティの運営などを経験後、2006年にWebを主な事業ドメインとする「有限会社ハイブリッドメディア・ラボ」を設立。2014年、新規事業として富士山麓で「cafe TRAIL」を開店。2019年の閉店後も、師と仰ぐインド人シェフのアドバイスを受けながら、日本の食材を生かしたインドカレーを研究している。

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