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イギリス政府、AIを使いこなすためのフレームワーク発表

original image: Avida Dollars / stock.adobe.com

イギリス政府、AIを使いこなすためのフレームワーク発表

UK Government's AI Skills for Business Competency Framework

Updated by 谷本 真由美 on December 2, 2023, 12:00 pm JST

谷本 真由美 mayumi_tanimoto

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

イギリス政府は、AIやデータ分析の研究を行っているThe Alan Turing Instituteと共に、企業で働く人がAIを使いこなして働き企業の生産性を高めるためのガイダンスを発表しました。

https://iuk.ktn-uk.org/wp-content/uploads/2023/11/Final_BridgeAI_Framework.pdf

このガイダンスは、従業員が持つべき主要な知識、スキル、行動を示し、 AIツールの効果的な使用や機密データの安全な管理など、AIを安全に活用するために必要な要素を提示しています。

AI自体についての議論は多く見かけますが、

「どのようにAIを使ったら、組織の生産性を高められるか?」

という「使い方」に関しての指南や枠組みは見かけないので、かなり参考になります。

このガイダンスの対象のAIは「イギリスの国家AI戦略」で定義されています。

「通常は人間の知能が行うタスクを実行する機械、特にその機械がデータからそれらのタスクをどのように行うかを学習する場合」(出典:国家AI戦略、2021年9月)

単にAIというと、ぼんやりとしたイメージにつながることも多いのですが、あくまで「人間の代替としてタスク(やること)を処理する機械、またデータから自ら学習する」という明確な定義が大変に分かり易いですね。

このガイダンスの基盤の視点が「AIワーカー」、つまり「AIを使用して仕事をする人」を対象としているのも注目すべき点です。

AIワーカーとは、主な役割が「データ」と「AI」の領域外にあるが、これらの技術に隣接し、これらの技術の影響を受ける可能性がある役割に従事している従業員です。

AIワーカーの具体的な役割は以下のようなものになります。

つまり、AIを使って仕事する人は、AIのできることを理解し、リスクやどうしたら生産性を向上させられるかということを認識し、AIを使って新しい仕事を開拓していく人ということになります。

企業の教育訓練のポイントは、「AIを使って付加価値を生み出してくれる能力を引き出す」ということになりますね。

特にAIのリスクについては、日本では触れている文章や教育訓練の教材はあまり見当たりませんが、イギリスはじめ欧州は訴訟社会なため、想定されるデータ漏洩や訴訟などに関しても可能性を示唆しておくのは大変重要なことです。

次回の記事では、このガイダンスの具体的な教育フレームワークを解説します。