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「ゴジラ −1.0」の成功からIT業界が学べること

What Tech industry can learn from the success of Godzdila -1.0

2024.03.04

Updated by Mayumi Tanimoto on March 4, 2024, 12:00 pm JST

『ゴジラ −1.0』が日本だけではなく、北米や欧州でも大ヒットしています。ゴジラ映画として素晴らしい作品であり、このところワンパターンだったハリウッドに大変な衝撃を与えています。

この作品が映画として面白いという点も非常に重要なわけですが、ビジネスが学べることも多いのが特徴です。『ゴジラ −1.0』は、ここ20年くらい業界でトレンドになっていることと全く逆のことをやっています。

まずその一つが、製作チームです。日本人が主体で同じ言語と同じ文化を共有する人々が、日本の特定のスタジオや撮影所に集まって作業しているのです。製作の主体となった白組のオフィスは大変コンパクトで、そこ1カ所に関係者が集まって重要な作業を進めています。

ハリウッドの映画制作もIT業界も、世界中にチームが散らばってバーチャルに作業することが当たり前になってきていますが、これと全く反対のことが行われているわけです。

世界中に才能が散らばっているから、各地から最も優秀な人を集めて作業するためにバーチャルにやる必要があるのだ、というのがこの仕事のやり方の説得方法でした。ところが、もし特定の地域に 技能を持った人々がいるのであれば、同じ町の同じオフィスに集まって作業するのが最も効率が良いわけです。

多くの企業では、コロナ禍後にリモートワークをやめて再び オフィスに集まって作業することが当たり前になりつつありますが、やはり対面でのコミュニケーション効率の良さには敵わないということを証明しているのでしょう。

2点目は、働く人々の均一性 です。ここ20年くらいのIT業界における人材獲得の議論は、働く人が多様であればあるほど良いものができる、というものでした。 しかし、これは実際のところどうでしょうか。

『ゴジラ −1.0』は、主に日本人が働いて作り上げたものですが、ハリウッドを凌ぐ品質のものができています。IT業界以上に思考や センスの多様性がものを言うクリエイティブ業界であっても、同じ文化や言語を共有する人々が集まって作業しても良いものはできるのです。

チームメンバーが多様過ぎて共有するものがないと議論がまとまらずあまり良いものができない、ということを体験している方も多いのではないでしょうか。そしてこれはビジネスに限らず、多様性を進め過ぎてきた北米や欧州社会にもいえることかもしれません。

人種や文化が多様な都市は、雑然としていて犯罪が少なくなく、大変 非効率です。東京のような清潔で何でも効率が良い都市に比べると、驚くほど住みにくいのです。様々なコストも高いため、ビジネスの拠点としても良い環境であるとはいえません。

しかも、多様性を重要視している北米や欧州の大都市であっても、生産性の高いビジネスが存在する町というのは、住んでいる人々や 集まっている会社の人々が非常に 似通っていて、同じような考え方を共有しています。意外と多様性がないわけです。

多様性が乏しいということが、かえって強みになるということの証明ということもいえるのではないでしょうか。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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