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ChatGPTはなぜ流行ったのか。2023年における影響

2024.05.23

Updated by WirelessWire News編集部 on May 23, 2024, 07:16 am JST

2023年の最大の話題はなんといっても生成AIの勃興だった。特に、ChatGPTは2022年11月の発表直後から話題を集め、登場から2カ月で利用者が1億人を越えるなど大きな話題となった。その要因と影響について改めて振り返る。

ChatGPT流行の最大の要因は「わかりやすさ」

ChatGPT は2023年において話題の中心となり、日本でも新語・流行語大賞にノミネートされました。さらに開発元のOpenAI社におけるCEO追放騒動が連日報道されるなど、IT業界のみならず社会全体に今も大きな影響力を及ぼしています。

なぜ、これほどまでにChatGPTは話題になったのでしょうか。IT業界では定期的にブームが起きており、ここ数年を振り返るとDX(デジタル・トランスフォーメーション)、メタバース、Web3などが話題になっています。しかしこれらは抽象的で実際に役立つイメージができないなどの問題があり、一般社会には浸透せずに限定的な話題に留まっていました。

対してChatGPTは「わかりやすい」「効果がすぐわかる」「仕事に使える品質」を実現しており、発表時から文章の代筆やプログラミングなどで人間に近い性能を誇っていました。そのおかげで利用者が増えて使い方などがSNSなどで共有され、さらに拡散するという正のサイクルによって利用者を増やし続けたのです。

日本における経済効果は40兆円

話題性のみならず、経済的な影響も見逃せません。既に企業においてChatGPTの導入が進んでおり、日本マイクロソフト社の発表では日本で560社、世界では1万1000社を突破したと発表しています。

今後、ChatGPTを含めた経済効果は日本国内において40兆円にのぼると試算されているほか、マッキンゼーによれば世界的には2030年までに2.6兆ドル(390兆円)から4.4兆ドル(660兆円)まで成長すると見込まれています。中でも影響を受ける業界としては、IT/ハイテク、金融、製薬/医療機器、教育が挙げられます。

企業の利用については、調査会社のガートナーが2026年には8割以上の企業が生成AIを活用すると推定しています。投資金額も拡大しており、マイクロソフトはOpenAI社において最大100億ドル(約1兆5000億円)の投資を発表、後発となったAmazonとGoogleは生成AIのスタートアップであるAnthropicにそれぞれ最大40億ドル(6000億円)と20億ドルの投資を表明しました。

雇用はAIよりも景気後退による影響が大きい

ではChatGPTや生成AIは、実際の仕事にどのような影響を与えていくのでしょうか。既にコンサルティング、プログラミング、クリエイティブ職において生成AIは実用化されており、情報収集と分析、プログラムの自動化、イラストや映像の生成などがAIへの代替を検討されています。いわばパソコンの画面上で行なわれる頭脳労働をAIが担おうとしています。

一方でChatGPTや生成AIの導入によってすぐに人員削減やリストラが起きるとは考えにくく、アメリカのIT企業におけるエンジニアの解雇は起きているものの、そこには雇用流動性が高く転職が容易な背景があります。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
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