写真:Mehaniq / shutterstock
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絶対に伝えたいメッセージを伝えるときには、マナーに則った的確な言葉遣いをやめた方が良いのかもしれません。オンライン上のコミュニケーションでも役立つ心理学を紹介します。
汚い言葉遣いの人は正直者?
ビジネスマナーを実践していらっしゃる方は、大事な取引先へのメールには「マジでお世話になりました」とはなかなか書けないことでしょう。もちろん私も書きません。「大変お世話になりました」とか「誠にありがとうございました」とか、そんなところでしょうか。ところで、ご友人に送るメールではいかがでしょうか。「マジ助かったわー」などと、少し崩れた言葉遣いをされることもあるのではないかと思います。
さて、取引先へのメールと友人へのメール、どっちが「本音」ですか?
そりゃもちろん、友人へのメールですよね。くだけた言葉遣い、もうちょっと言うと、汚い言葉遣いの方が、その人の正直な気持ちを反映しているのではないでしょうか。
こう考えたのは、マーストリヒト大学のフェルドマン氏たちです。フェルドマン氏らは、参加者が日常的にどれくらい汚い言葉を使っているかと、参加者の正直さとの関係を、ウェブ調査で調べました。その結果、普段から汚い言葉をよく使っている人ほど、正直さも高いという結果になっていました。
これはなかなか興味深い結果です。日常的な感覚では、汚い言葉遣いの人は信用されないという方がしっくりくるのに、実は汚い言葉遣いの人の方が正直者だというのです。
政治のクリーンさと汚い言葉遣いの関係
フェルドマン氏はさらに、Facebookの投稿内容を分析して、投稿内容の正直さと言葉遣いの関係を調べます。正直な人ほど一人称代名詞(私)や三人称代名詞(彼女、彼ら)をよく使い、動きを示す動詞(着く、行く)をあまり使わないという研究を元に、参加者が書いた直近のFacebook投稿の正直さを推定します。同時に、投稿に含まれる汚い言葉(damn、fuck、pissなど)の割合を求め、正直さとの関係を調べました。すると、やはり投稿内に汚い言葉が含まれている割合が高いほど、その投稿の正直さが高いと評価されることが示されました。
フェルドマン氏が最後に行ったのは、アメリカの州ごとの政治のクリーンさと、その州に住む人のFacebookでの言葉遣いの汚さの関係を調べることです。その結果も、上記のデータと一致していました。客観的な指標でクリーンな政治システムだと評価されている州ほど住人の言葉遣いが汚かったというのですから、面白い話ですよね。
※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
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