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そのKPI、本当に役に立っていますか?

2024.09.03

Updated by WirelessWire News編集部 on September 3, 2024, 10:00 am JST

データドリブンな組織においてKPIの策定は重要です。しかし実は、自分たちのビジネスの特性をよく考えずに指標を定めている企業が少なくありません。そのKPIが自分たちにとって良い指標となるのかどうかを検討しないまま使っているケースが見受けられるのです。

データドリブンであろうとするために、適当にKPIを決めたり、誰かに言われるままに指標を採用してみたり、決めた指標の妥当性を振り返らずにずっと使い回したりするなど、本来はビジネスを改善させるためのKPIが、ビジネスや目標と整合しないため空回りしていることがあります。

取得できるデータのすべてがビジネスをドライブさせるわけではありません。SaaS企業がChurn Rateを見ているのも、広告を扱う人がコンバージョン率をみているのも、それらの指標がビジネス上で重要な理由を持っているからです。指標がビジネスをドライブさせるには、ビジネスと指標がお互いに連携している必要があります。

自分たちのビジネスについての十分な理解がなければKPIは選定できない

ビジネスをドライブさせるKPIを定めるために、まずはKPIを選んだ理由を説明できるようになりましょう。

例えば、あなたのチームの目標が「登録して1カ月以内のユーザーの離脱率低下」が目標だとしましょう。このとき、離脱率に影響がある指標として「プロフィールの入力完了率」が重要だと考えてKPIと設定しました。ここで一旦立ち止まり、その決定が妥当なのか考えてみましょう。ここでいう「妥当」とは十分なロジックがあり、説明ができることです。

この問題の答えは、きっといくつかのパターンが考えられます。例えば、まずは統計的な関係です。離脱率と入力完了率に相関がある、ということです。この前提の下に、入力率を改善させることで離脱率が改善する、と決定したということができます。

他にも、UXリサーチに基づく定性的な理由もあるでしょう。ユーザーへのインタビューや観察から入力の完了率がその後の行動に深く影響することが分かっているとしたら、このような指標をKPIとして設定することは妥当に見えますね。

このように目標とKPIの結びつきが説明できる状態になっていることが重要です。指標を改善すると自分たちの目標を達成できる(少なくとも大きく前進する)という関係性の説明です。一方で、目標と指標がリンクしていなければ、そして説明できないならば、指標を改善しても目標の達成に近付くことは難しいでしょう。これでは指標を決めた意味がありません。

KPIと目標の関係性を説明できるまで考えることは簡単ではありません。まず自分たちのビジネスと目標を理解する必要があるからです。その上で指標との関係を結び付けられなければなりません。適切なKPIを選定できていないのは、自分たちのビジネスや目標を十分に理解できていないことに起因しているケースも少なくありません。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
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