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大阪で初心者AIハッカソン参加者募集開始!ゼロコード時代の最先端ハッカソン

2025.03.08

Updated by Ryo Shimizu on March 8, 2025, 09:51 am JST

本欄で取り上げ、あちこちから問い合わせをいただいている、初心者AIハッカソンだが、大阪大会の募集が開始された。
来月4月26日に梅田で開催する予定である。

今、AIハッカソンシーンは、ゼロコード化が急速に進行している。
筆者が開発してクローズド・アルファテスト中のMemeplexZeroは、一切コードに触れることなくWebで動くアプリケーションを実装するプラットフォームである。

最近、たとえば何かを説明するための図を作図するのですら、このツールを使うようにしている。
それほどまでに便利なのだ。

先日、「初心者のためのAI講座」で、最近DeepSeek-R1やUnslothでにわかに有名になった「量子化」という概念について説明するための図をMemeplexZeroに書いてもらった。ただの図ではなく、アニメーションである。

このアニメーションは、デプロイできるため、ここで誰でも見ることができる。

量子化のイメージを伝えるため、量子化ビット数が増えるほど粗くなるということを見事に再現してくれた。

この開発スタイルの重要なポイントは、一切コードに触れないことである。
何しろコードを書くのが三度の飯より好きな筆者にしてからが、ほぼ完全にコードに触ってない。

とりあえず「こういうの作って」と頼むと、何か変なものが出てきて、「違う違う。もっとこういうの」というやりとりを続けるだけだ。
このやり方でハッカソンを行うと、劇的にプログラミングが捗る。むしろAIが思考している間、何をすればいいのかわからなくなるほどだ。
複数のスレッドを同時に立て、同時並行で複数の仮説が試せる。

今はAIの方がよほどプログラミングが達者なので、人間がプログラムを直接触る必要がどんどんなくなってきている。
特にJavaScriptやPythonのような枯れた言語は、世の中にたくさんのプログラムのお手本があるのでAIも得意分野としている。

それどころかプロンプトを少し工夫するだけでAIはもっと色々なことができるようになる。
最近驚いたのは、Claude3.7はインフォグラフィックスも生成できるということ

こうなると、いよいよ人間に残された仕事とは何だろうと思えてくる。
逆に筆者は最近、Pomeraをまた買った。
Pomeraとは、インターネットに接続できない、原稿書き専用のワープロである。

これで買うのは何回めかだが、同じ機種ばかり買っている。
なぜ毎回買うのかというと、無くしてしまうからだ。

それでも買うのは、やはりPomeraにはPomeraにしかない魅力があるのだ。

AIが当たり前の時代になって、いよいよPomeraには独特の魅力があることに気づいた。
それは、AIが入っていないことだ。

ネットがあれば通知が気になるし、AIがあればついAIに意見を聞きたくなる。
AIが常に一緒にいる状況は、大学の研究室みたいなもので、ちょっと顔を上げれば教授や先輩がいて、何でも親切に教えてくれるような環境に近い。

しかし、それでは人間は進歩できない。自分の創造性を高めるためには、敢えてそうした紐帯を断ち切り、一人きりで酒場で原稿を認(したた)めるようなところが必要になる。
実際、朝起きて、喫茶店に出かけて行って、コメダ珈琲のモーニングなんかをつまみながら原稿を書くと、驚くほど捗る。
自宅の机で何時間唸っても出てこないようなアイデアが、Pomeraだけを前にすると泉から湧いてくるように湧き上がり、ぼんやりしたあらすじが急激に形を伴うようになるのだ。

実際、「朝Pomera活」を始めてから、仕事が急速に捗るようになった。

Pomeraで書いた原稿は、QRコードやWiFi、SDカードで取り出せるが、Pomeraで下書きを書いて写真を撮り、ChatGPTに見せれば内容を膨らませてもらうこともできる。
PCのエディタで原稿を書くと、AIが介入してきて、それが便利な時もあるが、ほとんどの場面では不便だし邪魔だ。

自分の考えをまとめようとしている時に他人の提案など全く必要がない。俺はプロの物書きだ。AIはどこまで行っても所詮はアマチュアなのである。
むしろ、自分の考えを散文的に書いて、誰かに見せるときにChatGPTに清書させるとかの方が使い方としては真っ当なのかもしれない。

ゼロコード時代のプログラミングは、「いかにコードを書かないか」「コンピュータに触れていない時間に何を考えるか」ということで決まるようになるだろう。
純粋にアイデアだけの問題であり、僕はさらに新しい「ゼロコード時代のプログラミング教育」を再構築する必要がある。

AIと人間のアイデアが絡まり合い、人の構想をAIがどう実現するか、人は自分の中にどれだけ明確なビジョンを持てるようになるか。
今年の初心者ハッカソンは、事実上サイボーグ化された人類が行う初のハッカソンとなるだろう。

第一回の東京大会(東日本大会)はすでに応募が締め切られているが、現在は大阪大会の募集が開始されている。
お誘い合わせの上、ぜひご参加いただきたい

全日本AIハッカソン

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清水 亮(しみず・りょう)

新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。

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