Updated by 清水 亮 on October 20, 2025, 17:21 pm JST
清水 亮 ryo_shimizu
新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。
普段からセルラー仕様のiPadを持ち歩いている。
そういう人は珍しいらしく、ガジェタッチというYouTube番組で「なんでiPad持ち歩いてんの?」というインタビューをされたくらいだ。
持ち歩く理由は、「光る本」としてどこでも読めて便利だからなのだが、なかなかわかってもらえない。
僕にとって本を読むことは呼吸することくらい日常的なことなのだが、世の中の人はそんなに本を読む時間を取れないらしい。不思議だ。
しかし、確かに朝から晩まで本を読んで生活している人間というのは、普通に考えたら引退した老人か未就学児くらいしかいないのかもしれない。本を読むことが自分の仕事になるというのはある意味でとても幸せなことなのだろう。
自宅に六畳ほどの仕事場があり、さらに浅草橋の技研ベースに行けば1フロアまるごと占有して自分の仕事ができるようになっているのだが、どちらにいてもやることは同じで、ひたすらiPadで本を読み続けているのである。
この「本」にはもちろん漫画も含まれる。漫画だからといって普通の本より勉強にならないとは思っていない。むしろエンターテインメント性の強い漫画の方がより多くのことを学ぶことができると思っている。
セルラー仕様だから本を読み終わったら次の本を買ってすぐにダウンロードできる。5Gはこのためにあるんじゃないかと思う。
さて、ただ最近は、iPadだけだと不便な場面が増えてきた。なぜならば、バイブコーディングを日常的にするようになってきたからだ。
仕事場にいる時は、バイブコーディングに指示を出して、その合間に本を読むということをよくしている。場合によっては、三つか四つのプロジェクトを同時並行的にやる。ところがiPad用のSSHクライアントは、バイブコーディングに使うにはちょっとだけ不便なのである。
それはキーボードがあいうえお順になってしまうことだ。
バイブコーディングになって、指示はほとんど日本語で出すようになった。英語の方がいいという説もあるが、彼ら(AI)は内部で英語で考えているんだから指示が日本語でもそれほど困ることはない。しかし、日本語で打とうとすると途端に五十音順キーボードが現れてしまい使いにくい。これは、ターミナルを操作しようとするとどうしても特殊キーをアプリ側で用意しなければならないからなのだが、なんだかこれも不便だ。
不便だなあと思っていたので、ChatGPTに何とかならないか相談したところ、WebSSHでブラウザからログインすれば普通のキーボードが使えるのでは?という提案をされた。確かに。
これでとりあえずClaude Codeに指示を出す時にフリック入力が使えるようになった。これはだいぶ楽だ。
その代わり特殊キーを入力するときは普通のsshに戻らなければならない。まあこれ以上やるんだったら自分でWebベースのsshクライアントを作ればいいんだけど、とりあえずこれで様子を見よう。
バイブコーディングが進歩してくると、自分のためのツールを自分のためにAIが作ってくれるようになった。当たり前のようだが、とんでもない進歩である。
ただし、AIにはまだ苦手なことがたくさんあって、その苦手な部分だけは人間のプログラマーが面倒を見てあげなくてはならない。
ただその「面倒ごと」の多くは、「より楽しむためのこと」だったり「より面白いこと」だったりするので、それに取り掛かるのが苦にならない。むしろ嬉しいのは、セルラー付きiPadによって文字通りいつでもどこでも、新しいアイデアを試せること。アイデアを思いついたら「ちょっとやっといてよ」と指示するだけでいい。これは楽だ。仮に失敗したとしても、「まあしょうがないね」と気持ちを切り替えることができる。
同じことを人間相手にやろうとすると、まずうまくいかない。
例えば、僕の場合、旅先などで一人でドライブしていると突然新しいアイデアを思いついたりすることがよくある。そのときすぐに部下に連絡して「こういうことを調べてくれ」とか「こういうものを作ってくれ」と頼んだりしても、それはせいぜい、同時に2,3人に頼めれば御の字だ。しかも、東京に戻るまでにそれらの調査や試作が終わっていることは滅多にない。原因はいくつかあって、電話だけでは本当の大切な情報が伝えきれないことと、そもそも頼んだ人間が目の前にいないと仕事をする気分にならないなどだ。
ところがバイブコーディングになると、5つでも6つでも、自分の想像力が及ぶ範囲においていくらでもアイデアを試せるし、試したアイデアが本当に有効かどうか世界中どこにいても自分で確かめることができる。これは超超強力だ。
そのためにPCに齧り付く必要もなければ大勢のスタッフを抱える必要もない。
iPadと電話回線、そしてアイデアを生み出す自分の頭脳さえあればいい。なんて楽しい時代なんだろうな。