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土地や電力など地域資源を活用、ワット・ビット連携で国内AIインフラ構築へ

土地や電力など地域資源を活用、ワット・ビット連携で国内AIインフラ構築へ

November 21, 2025

岩元 直久 Naohisa Iwamoto

WirelessWire News編集長。日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。ITジャーナリスト、フリーランスライターとしても雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。

AIの普及がGPU計算需要を急速に押し上げている。こうした計算需要に対応するための次世代型AIデータセンター構築の検討が国内で始まった。参画するのは、AIを活用した自動化による生産性向上事業を手掛けるRUTILEAと、東北電力、日立製作所、日本開発銀行の4社。各社の知見と技術力、金融力を総合することで、地域に根ざした新しい産業として次世代型データセンターの構築を目指す。

AIの社会実装の進展は、高度な計算資源を多く必要とする。日本が自国でAIインフラ供給能力を確保することは、国内でAI活用と社会実装の推進を下支えすることになる。同時に、海外のAIインフラに頼る状況で懸念される経済安全保障上の課題への対応にもなる。こうした背景から4社は、次世代型AIデータセンター構築の事業主体の組成を含めて検討を始めた。

土地、電力、事業規模のそれぞれの側面で、利用者の規模に応じた拡張性を確保したデータセンターを構築することを目指す。4社の役割は以下の通り。RUTILEAは、福島県内でのAIデータセンターの運用実績を元に、AIワークロードに最適化したデータセンターの設計・運用モデルを提供する。東北電力は、データセンターの脱炭素化と地域価値の最大化を電力供給の観点から支える。日立製作所は、データセンターのインフラ整備とAIを活用したデータセンター運用基盤の最適化を手掛ける。日本開発銀行は、地域活性化、国際競争力強化、脱炭素化を金融面からサポートする。

プロジェクトでは地域の電力や通信インフラを最大限に活用。増大するAIワークロードに対応可能な拡張性を確保しながら、脱炭素社会と地域産業活性化の実現を目指す。具体的な課題としては、土地や電力などの地域インフラを活用したGPU対応型AIデータセンターのモデル検討を進めることや、再生可能エネルギーの活用や地元企業との連携を通じて、脱炭素、産業振興に貢献するAI基盤モデル創出することが当面の課題になる。これらの取り組みは、電力と情報通信のインフラ整備を一体的に推進する、経済産業省と総務省の「ワット・ビット連携」構想の具体化への貢献の側面でも期待される。

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