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明日は明日の風が吹く

2014.09.29

Updated by Kenji Nobukuni on September 29, 2014, 10:00 am JST

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再生可能エネルギーを使ってスマートフォンなどに充電するというと太陽光発電を利用したものが多数市販されているが、Omni3D社(ポーランド)のエアエナジー3D(AirEnergy 3D)はポータブル風力発電機だ。晴れの日ばかりではないから、風力で充電できれば梅雨時にも夜間にも安心だろうし、バックパックなどに取り付けて歩けば、人目を惹くこと間違いなさそうだ。

エアエナジー3Dを購入するには3Dプリンターが必要だ。電極やコードなどいくつかの部品は同社から送ってもらう必要があるようだが、回転するらせん形のタービンなど主要な部品は3Dデータを基に「自作」する必要がある。Kickstarterでの資金調達に成功しており、来年2月には出荷が開始される。まだ290ポンド(約5万円)と高額だが、将来的に3万円台に抑える計画もあるようだ。

もちろん、バックパックに取り付けて電車のエアコンの風を電力に変換するばかりではなく、自宅のベランダや自転車置き場の屋根に取り付けることもできる。300ワットの出力で、複数のガジェットを同時に充電できるそうだ。何基か並べれば家庭用の電力の一部を再生可能エネルギーで賄えるようになるかも知れない。同社はエアエナジー3Dをオープンソースにしているので、さまざまな改良版が出てくる可能性がある。

Kickstarterでの資金調達が2,500ポンド増えるごとに1個のキット(3Dプリンタ出力済)をアフリカの村に届けるチャリティーも行っていた。今度、効率や強度が向上していけば、バックパックや自宅だけでなく、自転車や自動車に取り付けたタービンの回転を普通に見かけるようになる時代が来るかもしれない。

【参照情報】
Omni3D社のウェブサイト
AirEnergy 3DのKickstarterのページ
This 3D-printed turbine fits in a backpack to deliver wind power anywhere
Omni3D's AirEnergy 3D: Compact Enough to Fit into a Backpack

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来