「Windows RTで競合排除」- モジラとグーグル、マイクロソフトに抗議
2012.05.11
Updated by WirelessWire News編集部 on May 11, 2012, 12:38 pm JST
2012.05.11
Updated by WirelessWire News編集部 on May 11, 2012, 12:38 pm JST
マイクロソフト(Microsoft)がリリース予定のWindows OSの一部で、「Internet Explorer」(IE)以外のブラウザが利用できなくなるとして、Firefoxを提供するモジラ財団(Mozilla Foundation)が抗議の声をあげている。
パソコン市場の成長が減速するいっぽう、アップル(Apple)の「iPad」をはじめとするタブレット市場の急拡大が続くなか、巻き返しをねらうマイクロソフトでは、Windows OSの次期バージョンで、インテルの「x86」アーキテクチャーに対応する「Windows 8」に加え、タブレット市場で優勢なARMアーキテクチャーのプロセッサに最適化した「Windows RT」もリリースする予定。
だが、この「Windows RT」で動くウェブブラウザについて、サードパーティ製品が事実上締め出しを食っているという抗議の声がモジラ関係者から上がり、「Chrome」ブラウザの開発元であるグーグル(Google)からもこれに賛同するコメントが出されている。
現在、Windowsのユーザーはサードパーティー製のソフトウェアをほぼ自由にインストールできるが、「Windows 8」でも「デスクトップモード」を選択した場合はこれまで通り自由にソフトウェアを利用できる。それに対し、「Windows RT」で用意される2つのモードーー「Metro」と「Windows Classic」のうち、「Windows Classic」では、利用できるソフトウェアが「マイクロソフトストア」経由でダウンロードしたものに限られるため、FirefoxやGoogle Chromeなど、IE以外のブラウザは事実上利用できなくなる可能性があるという。
この件についてモジラ財団で法務を担当するハーベイ・アンダーソン氏(Harvey Anderson)はCNETに対し、「マイクロソフトは新しいバージョンのOSで、ユーザーから選択肢を奪い、市場競争やイノベーションを否定しようとしている。IEをWindows RTで動く唯一のブラウザーとすることは、暗黒時代への完全な逆行」とコメント。またモジラ広報担当のアサ・ドッツラー(Asa Dotzler)氏は、「Windows RTのClassicモードで動くブラウザーが実際にあるのに、マイクロソフトはわれわれのブラウザーには同じことを認めようとしない。またMetroモードで利用できる多数のAPIはサードパーティ製ブラウザには提供されていない」とコメント。
この点について、マイクロソフトの法務担当者はモジラに対し、サードパーティのブラウザに制限を課している理由を2つ挙げたという。その1つは、ARMプロセッサに特有のセキュリティおよび電源管理に関する要求条件で、これを満たせるのはいまのところマイクロソフトだけ、というもの。さらに、Windows RTは「もはやWindowsではない」と答えたとも、モジラのアンダーソン氏は説明している。
周知の通り、マイクロソフトは1990年代にネットスケープ(Netscape)と繰り広げた第一次ブラウザ戦争の際、米司法省などと独禁法をめぐって裁判を争い、OS市場での圧倒的に有利な立場を利用して他社ブラウザの利用を排除することを禁じた判決を受けていたが、この判決の有効期間は昨年5月に終了している。
なお、アップルのiOS端末では、インストールできるソフトウェアは厳しく管理されている。また、Chromeブラウザを唯一のソフトウェアとするグーグルの端末「Chrome Book」でも他社製ブラウザをインストールすることは認められていない。
【参照情報】
・Microsoft bans Firefox on ARM-based Windows, Mozilla says - CNET
・Google agrees with Mozilla's Windows RT browser concerns - CNET
・Microsoft Accused of Hindering Firefox Browser - WSJ
・So who picks the browser on a mobile device: You or "them"? - GigaOM
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