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業界初の M2M 市場向け LTE カテゴリー1 モジュール、ジェムアルトから販売

2015.09.09

Updated by Hitoshi Sato on September 9, 2015, 13:43 pm JST

ジェムアルトは2015年9月1日、業界初の LTE カテゴリー1(Cat 1)無線モジュールを発表した。同社の新しい「Cinterion(シンテリオン)M2M モジュール製品」は、M2Mおよび産業機器向けIoTアプリケーションを対象に設計されており、電力最適化、および最大下り 10Mbps、上り 5Mbps の伝送速度でシングルモード LTE を求める市場の需要に応えていく。

本製品は、2G/3G ネットワークが段階的に廃止されるなか、数十年先にLTEの長寿命化、高信頼性が要求される、メーター、追跡、車両管理、モバイルヘルスなどの IoTアプリケーション向けに理想的なソリューションとなる。

堅牢性に優れている「Cinterion ELS31」は、ジェムアルトの最先端かつM2M 向けに最適化された LTE 製品シリーズの第一弾で、長寿命設計で、帯域幅と電力効率性を大幅に向上し、動作温度範囲を-40度から85度までに拡張するなど、産業機器のIoTソリューション特有のニーズに対応する機能を搭載している。

新モジュールは、既存の Cinterion 産業用製品群と同じ実装面積で、2G/3G 対応端末から LTE への移行対応を容易にする。そして全ての Cinterion モジュール は、FTA(Full Type Approval)や現地通信事業者による認証を受けており、簡単に導入でき、画期的なソリューションの製品化までの時間を短縮する。マシン識別モジュール(MIM)、マネージド M2M プラットフォーム、セキュリティ技術など、ジェムアルトのコア・コンピタンスを活用する統合型の Cinterion 製品群に、LTE カテゴリー1 モジュールが加わった。

ジェムアルトで M2M 製品群・戦略担当副社長を務める Axel Hansmann は、次のようにコメントした。「M2M の接続数は 2020 年までに 10 億台に達すると予測されています。新製品の Cinterion LTE カテゴリー1 モジュールは、進化を遂げる 4G ネットワークをスマートかつ効率的でコスト効率良く利用することができ、IoT マーケットプレイスの大幅な拡大への道を切り開きます。新モジュールは、真のマシン型通信(Machine Type Communications)に向けた業界初の試みとなり、サイズ、電力、長寿命における利点を提供するだけでなく、当社の業界をリードする MIM やセキュリティ技術と容易に統合可能で、大きな付加価値をもたらします。」

ついにM2M・IoTもLTE対応に

現在、M2MやIoTは2Gや3Gで利用されていることが多い。リリースにもあるように、2Gは各国で段階的になくなっていく。日本のようにいっきにはなくなることはないが、2Gで利用している周波数を4Gや5Gに充てるために2Gをシャットダウンして3Gや4Gへ移行していくことは世界の通信の流れだろう。そしてそれに伴ってM2Mの通信もLTEに移行しようとしている。M2Mの通信ネットワークは動画のような大量のデータがやり取りされるものでなかったため、世界では2Gネットワークの利用が多かった。

今回ジェムアルトから業界初の LTE 対応のM2Mの無線モジュールが登場したことによって、これからM2M分野でのLTEネットワークの利用が進むだろう。そうなると従来の2Gや3Gよりも高速で大量のデータの送受信ができるようになり、世界中でM2Mの利用シーンも大きく変わるだろう。但し、そのためにはネットワークのカバレッジも重要になる。現在の世界でのM2M通信のネットワークが、2Gが主流なのは、データ量や使い勝手の問題だけでなく、2Gであればほぼ世界規模でカバレッジがあるからだ。M2Mは人間が行かないようなところにマシンやデバイスが移動したり、設置されるようなこともある。2Gは約20年にわたってネットワークのカバレッジを拡大してきた。LTE通信が対応していない場所では、3Gや2Gにスイッチするのであろうが、そのような地域にもLTEのカバレッジが拡大されないと、モジュールだけがLTE対応になったとしてもLTE通信の特徴を発揮することはできない。

 

 

【参照情報】

http://www.gemalto.com/press/Pages/Gemalto-boosts-connectivity-for-the-Internet-of-Things-with-the-industry-first-M2M-Cat-1-LTE-module.aspx

 

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。