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通信事業者にとって、どのようなトラフィックが実際に自社のネットワークを流れて、どのように使われているかを知ることは、洞察のためにとても重要です。Sandvine VP Solutions MarketingのCam Cullen氏が、最近のインターネットのトラフィックのトレンドを説明します。

Cam Cullen サンドバイン VP of Global Marketing

Cam Cullen氏
サンドバイン VP of Global Marketing

 

アジアと世界にはかなりの違いがある

今日はお気に入りのトピックであるインターネットのトレンドについてお話します。サンドバインとプロセラが合併したことで、トラッキングの精度が上がっています。そうした状況から、世界の地域ごとのネットワークのアプリケーションの使われ方の違いが見えてきて、特定のアプリケーションが通信事業者の皆さんのネットワークにどのような影響を与えるかがわかるのです。最新のアナリティクスのソリューションから、インターネットのトレンドとネットワークへの影響を見ていきましょう。

まず世界のインターネット利用の状況を見ていきましょう。現在では74億人以上の人口が世界にあります。そのうち、37億人近くがインターネットにつながり、普及率は50%に上ります。約70億のデバイスがインターネットに接続しています。人口と同じぐらいのデバイスがあるわけです。

アジアパシフィックには中国などをはじめとして38億人の人口がありますが、アジアパシフィックのインターネットユーザーは約6億5700万人と、まだインターネットの利用が整っていない状況です。さらにその中で日本は1億2600万人の人口に対して、1億1700万人のインターネットユーザーがいます。アクティブなソーシャルユーザーは約6400万人、1億8500万人の携帯電話の加入があるように、非常に高い数字を誇ります。回線速度は固定回線が18Mbps、モバイルでも11.6Mbpsという状況です。アジアパシフィックの他の国を見るとかなり状況が異なる国があります。例えばフィリピンでは、固定回線よりもモバイル回線の回線速度のほうが速くなっています。フィリピンは島国で、固定回線のインフラ整備が難しかったという要因があります。

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アジアの中でも違いがあるように、目を世界に向けるともっと大きな違いがあります。1つの視点としては、こうしたインターネットの接続性の違いによって、利用するアプリケーションも変わってくるのです。

サンドバインのアナリティクスソリューションを使うと、どのようにユーザーがアプリケーションを使っているかがわかります。HTTP通信の個々のトラフィックをまとめたデータを見ると、興味深い結果が得られます。

現在、ダウンロードでは世界でNetflixが最も多く使われています。一方、アップストリームではSSL(ウェブブラウジング)がトップに来ます。端末からネットワークに送るデータは暗号化されているということです。また、HTTPメディアストリームもアップストリームの上位に位置するようになりました。これはユーザーが動画をアップロードすることが多くなっていることを示しています。数年前までは、動画のアップストリームはトラフィックの上位に来ることはありませんでした。Facebookなどのアプリで動画をアップロードする使い方が広まったことが、こうしたトレンドを作り出しているのです。

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地域別に見ると、さらに面白いことがわかります。米国ではNetflixがダウンロードでは圧倒的で、テレビやケーブルテレビよりも好んで見られている状況を示しています。アップロードではSSLが40%を占め、オンラインバンキングの利用が多いことを表しています。一方でヨーロッパでは、ダウンロードもアップロードもHTTPメディアストリームが圧倒的に多くなっています。アップロードでは、ピアツーピアのファイル転送用プロトコルであるBitTorrentやクライアントソフトのμTorrentのトラフィックが多くなっています。アメリカ発祥のコンテンツがあまり普及せず、一方で新しい技術は好んで使うような傾向があります。ロシアのSNSであるVKが初めて上位に名を連ねてきたのも特徴です。

アジアパシフィックでは、ダウンロードは YouTubeがトップです。日本ではモバイル環境で使うことが多いですよね。一方で、アメリカでは圧倒的1位のNetflixはゼロに近いシェアです。アジアのローカルなコンテンツに対応できていないことが浮き彫りになっているようです。トラフィックの2位はFacebookです。グローバルではトップ5に入らないのですが、アジアでは人気が高いことがわかります。LINEはアジアのトップ5にランクインしています。

通信事業者の戦略転換にもアナリティクスの成果が生かされる

こうした地域ごとの状況の違いや、地域内でのトラフィックの傾向を正確に知ることで、通信事業者はサービスや戦略をユーザーニーズに適した方向に転換していくことができます。米国第4位のモバイル通信事業者であるT-Mobileの例を見てみましょう。T-Mobileはずっと加入者が横ばいの状況が続いてきましたが、ある四半期から加入者が増加するようにんっています。これは料金プランの見直しを行ったためです。ストリーミングビデオサービスに力を入れ、ビジネス戦略を見直し、料金設定を刷新したことによります。

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T-Mobileが導入したのは、動画のデータのシェイピングと、無制限での利用というトレードオフの関係にある戦略です。動画データは非常に大容量ですが、スマートフォンなどのモバイルデバイスで見ることに最適化してデータ量を削減するシェイピングを提供することで、トラフィックを削減できます。一方で、シェイピングを利用してモバイル通信で動画を見てくれれば、ユーザーには一定額で利用できるデータ通信量を無制限にしますよという提案です。

無制限のプランを導入したことで、当初は収益が低下しました。ネットワークのパフォーマンスも下がりました。しかし、それまで最も評価の低い通信事業者だったT-Mobileは、戦略の転換による無制限プランの導入を行い、トラフィックを適切に制御する事により、すべての評価項目でユーザーから最良のキャリアという高い評価を得られました。どんな形でトラフィックを管理するかの視点が重要になります。

カナダの大手通信事業者のロジャーズ・コミュニケーションズも、サンドバインのソリューションを使ってトラフィックマネジメントを行っています。トラフィックを認識して、ダウンロードに対してクオリティを少しだけダウングレードすることで、帯域を確保する戦略に出ました。この戦略でロジャーは大きな成功を手に入れました。

アプリケーションの中でもゲームは、ネットワークに対する影響として特徴的な性質を持っています。オンラインゲームは世界では非常に人気があり、オンラインで見るだけでなくテレビでゲームのライブ放送をするアプリケーション Twitchが非常に増えてきています。投資家がオンラインゲームのチームを買って運営するような状況にもなっています。

ゲームでは、パフォーマンスが非常に重要になってきます。特にレイテンシー(遅延)は大きな要素で、数ミリ秒、数マイクロ秒の遅れによってゲーム上で誰かを殺す前に自分が殺されてしまうのです。すでに、通信事業者によってはゲーマーがどこにいてどのようにネットワークを利用しているかの分析をすることで、ゲーマーをターゲットとしたポジショニングやターゲットを進めているところもあります。

SNSも地域によってユーザーの利用動向が異なるアプリケーションです。特にアジアパシフィック地域のアクティブユーザーはパワフルにSNSを活用しています。今後の成長が期待できる分野といえるでしょう。例えば、アジアパシフィックの中で見ると、Twitterは日本で特に人気があることがわかります。また日本でも多くのユーザーはFacebookにアクセスしています。しかしアジア太平洋地域にはさらに上を行く地域があります。Facebookの利用者数のランキングで、都市単位ではバンコクが世界で1位になっています。東京はFacebook利用者数のトップ10には入ってこないといった具合です。

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メッセージアプリでは、世界でみるとSnapchatが多く利用されています。しかし、アジアパシフィックに限って見ると、メッセージのダウンストリームのトラフィックの96%がLINEとなっています。LINEは世界でトップではないものの、アジアパシフィック地域を中心に多くの利用があることがわかります。こうしたメッセージの利用の動向に対応して、モバイル通信事業者はSNSのデータ通信量の無料サービスを提供するようになっています。メッセージはトラフィックが少ないアプリケーションなので、ゼロ課金でサービスを提供しても収益にはあまり影響を与えません。ただし、ユーザーによっては抜け穴を作って不正にゼロ課金を利用しようとする場合もあります。こうした場合でも、サンドバインの技術を使うことで、抜け穴による不正検知とコントロールが可能です。

まとめると、重要なのはサンドバインのお客さまである通信事業者のみなさんが、ある特定のアプリケーションがネットワークにどのような影響を与えるかを理解することが重要だということです。アプリケーションのネットワーク利用状況を分析し、それを元にしてアクションを起こすサイクルを作ることが、ユースケースとして必要です。

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ネットワークの機能を理解し、ビジネスの観点でユーザーへの利便性や競合他社との差異化を図ることで、収益性を高めることができます。そのためには、ネットワークの利用パターンを、性別や年齢、居住地、職業、家族構成といった人口統計学的(デモグラフィック)な属性で分析し、それぞれの通信事業者に合わせた収益化を進める必要があります。サンドバインは、提供するツールやソリューションによってこれらの分析から収益化を支援しているのです。

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【関連情報】
ネットワークインテリジェントを提供する サンドバイン
メールでのお問い合わせはこちらまで japansales@sandvine.com

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特集:トラフィック可視化で変わるネットワークの姿

サンドバインがご提供する「トラフィックの可視化/制御ソリューション」は、増加するビデオトラフィックやIoT時代に向け、ネットワーク制御に欠かせない技術となります。本特集では、さまざまな視点から、今後求められるネットワークの形とトラフィック可視化/制御の技術をお伝えします。(提供:Sandvine