1974年のパソコン「ALTO」は、ディスプレイとキーボード、マウスを備えたものだ。今のパソコンは40年前に出た「ALTO」から、あまり変化していない。スマートフォンが登場したことも、パソコンのマウスが手に変わっただけで、あまり大きな変化ではない。このまま変化のない状態を、向こう30年間も続けていっていいのだろうか。
生物の最も大きな変化は、カンブリア紀に起きたといわれている。機械の世界でも、キーボードのように社会に定着してしまったものは難しいが、未だ定着していない他の分野であれば、カンブリア紀のような大きな変化が起こる可能性がある。その分野とは、「ユビキタス・コンピューティング」だ。
アラン・ケイは「将来を予測したければ、自分が発明してしまえばいい」といった。将来の常識になるようなものを自分で発明することは、発明家の多くの、また私の夢でもある。
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慶応義塾大学・環境情報学部 教授 増井俊之氏の語る「価値創造プロセスを革新するための方法」#5
2015年3月23日(月)19:30~22:00
慶応義塾大学・環境情報学部 教授 増井俊之(ますい としゆき)
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登録はこちら慶應義塾大学環境情報学部教授。1959年生まれ。東京大学大学院を修了後、富士通、シャープ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所などでの研究生活を経て、米AppleでiPhoneの日本語入力システムを開発した後、2009年より現職。携帯電話に搭載された日本語予測変換システム『POBox』や、簡単にスクリーンショットをアップできる『Gyazo』の開発者としても知られる、日本のユーザーインターフェース研究の第一人者。近著『スマホに満足してますか?』(光文社)では、認知心理学および実世界指向インタフェースの視点から、現在のスマホブームに警鐘を鳴らしつつ、画期的な新しい視点を提供中。