楽天モバイル、10月に5000人限定のスモールスタート
2019.09.09
Updated by Naohisa Iwamoto on September 9, 2019, 06:25 am JST
2019.09.09
Updated by Naohisa Iwamoto on September 9, 2019, 06:25 am JST
第4のキャリア、楽天モバイルのサービス開始時のイメージが明らかになった。2019年10月1日には、「無料サポータープログラム」というモニターの位置づけで5000人を対象にサービスを開始。その後、ネットワークの「安定稼働」の確証が得られた時点から有料の正式プランの提供を開始する2段階のスタートになった。
楽天の三木谷浩史会長兼社長は、楽天モバイルの携帯キャリア事業について、「ネットワーク整備が遅れているのではないかという報道もあったが、基地局建設は順調にペースを回復し、ネットワークをつなぐオペレーションの課題も克服して9月中には東京23区、名古屋、大阪で無事にサービスをローンチできる見通しが立った」と語る。とはいえ、10月1日に提供を始めるのは音声・データ通信ともに無料で利用できる5000人の「無料サポータープログラム」に限られる。9月6日の発表では、正式サービスの提供開始時期や、料金体系については言及しなかった。
楽天が目指す完全仮想化のネットワークの構築について、「不可能と言われた技術的チャレンジを世界で始めて実現した。見返りは基地局が非常にシンプルなこと」と三木谷氏は語る。楽天モバイルCTOのタレック・アミン氏は、30%の投資コスト削減、40%の運用コスト削減が可能で、基地局の開通も従来型では10時間かかるが、楽天では8分で済む」とメリットを語る。一方で、当初の運用については「安定稼働を確信しているけれど、しっかり確認してから有料のサービスに切り替えたい。そのタイミングは1カ月後かもしれないし、3カ月後かもしれない」(三木谷氏)という。無料サポータープログラムの提供時期を2019年10月1日から2020年3月31日までとしていることで、「本格サービス提供を6カ月延期するのか」という質問があったが、半年遅らせるということではなく「可及的速やかにフル稼働する」(三木谷氏)という意味であることを強調した。
一方で料金については、「他社はなかなか真似することのできない料金体系になるのではないか」と、漠然とした回答に終始した。携帯キャリア事業のサービスで提供する端末としては、スマートフォン7機種、Wi-Fiルーター2機種の計9機種を発表。OPPO、Galaxy、AQUOS、Xperia、arrowsの各ブランドのスマートフォン端末で、「7機種のうち86%は5万円以下で提供する」(楽天モバイル 常務執行役員 営業・マーケティング本部長 大尾嘉宏人氏)。また、クレジットカードサイズで「重さは79g、世界最小最薄フェリカ搭載の片手で使える高性能端末」(三木谷氏)を開発していることも明らかにした。この端末では、eSIMを採用することで「30秒で使えるようになる」(三木谷氏)と先進性も同時にアピールした。
追記[2019/09/09 10:30]
楽天モバイルの携帯キャリア事業については、基地局の整備が遅れているとして総務省が3回の行政指導を行っている。最初の指導は2019年3月6日で、総務省は楽天に対して2019年度末までの基地局の開設に関する具体的計画の提出を要請した。これに対して楽天は、2019年3月末に総務省に具体的計画を提出している。しかし、その後も「本年(2019年)6月末の時点で具体的計画に比して進捗状況に遅れが見られ」(総務省)たことから、7月17日に具体的計画の修正計画の提出および実行を要請した。2019年度末までの開設数計画値である3432局を確実に達成できる修正計画の提出と実行を求めたもので、総務省は7月末に具体的計画の修正計画の提出を受けている。さらに8月26日には、基地局の設置場所の確保への取り組み、基地局設置工事の作業進捗や管理の体制の整備、10月1日のサービス開始までに利用者に対してサービス内容の情報を提供する体制や苦情/問い合わせ処理のための体制の整備への取り組み--を求める3度目の指導を行った。
今回の楽天モバイルの発表は、こうした指導に対しての対応をアピールするものと見られる。一方で、10月からの低廉な携帯電話サービスの開始や、楽天モバイルの料金が他のキャリアの料金体系に波及する効果に期待していた携帯電話ユーザーに対しては、現時点で有効な解を示せなかったことも事実である。
【報道発表資料】
・楽天モバイル、10月より携帯キャリア事業としてのサービスを開始
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