画像はイメージです original image: Drazen / stock.adobe.com
新型コロナの検査結果を患者に入力させ現場の工数を減らすイギリス
UK government let patients to insert data to collect Covid stat
2022.08.31
Updated by Mayumi Tanimoto on August 31, 2022, 22:36 pm JST
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UK government let patients to insert data to collect Covid stat
2022.08.31
Updated by Mayumi Tanimoto on August 31, 2022, 22:36 pm JST
前回(いまだにFAXを使う日本の新型コロナ検査報告)は、日本の新型コロナ検査報告の現場ではいまだにFAXを使う、付加価値の高い診断や治療行為を行う医師に、検査結果入力作業をやらせている先進国は日本だけである、と指摘しましたが、今回は極力無駄な工数を省いているイギリスの現場を紹介したいと思います。
日本の新型コロナ検査で特に気になるのが、医療従事者が処理しなければならないステップの多さです。患者側がセルフサービスで処理するステップが少ないのです。プロセスを分析すれば、患者自身がセルフサービスで処理できる項目はたくさんあるのです。
イギリスの場合は、コロナが広がってからすぐに全国で無料のPCR検査キットと抗原検査キットが配布されました。国立病院のサイト、もしくはアプリから患者自身がキットを注文すると、自宅に郵送されるか、近所の薬局や図書館で受け取ることができます。
自宅では、検査前にキットのバーコードを患者自身がサイトかアプリで登録し、抗原検査は結果をサイトかアプリから記録、PCR検査の場合はキットを郵便ポストに投函した時間と郵送袋のバーコードを記録します。PCR検査の場合は、1-2日後に結果がメールで通知され、サイトとアプリ上に反映されます。
国立病院のサイトとアプリは連動しており、どちらにも患者の氏名、患者番号、住所、性別、年齢等の個人情報が登録されています。国立病院が所有する患者データベースにリンクしているので、検査結果はそのままアップデートされます。患者はサイトからもアプリからも、すべての検査結果を見ることが可能です。
病院でも、抗原検査やPCR検査を受けて結果を報告することになりますが、その場合も、国立病院は同じサイトとアプリに情報を入力することになります。患者の個人情報は既に入力されていますので、結果を入れるだけです。報告された結果はデータベースで同期されます。
ここまでの流れを見て分かる様に、データ入力のほとんどを患者自身が行います。サイトやアプリを使いこなせない高齢者や外国人、障害者もいるわけですが、その様な人々は、家族や地元の支援団体に援助してもらうことになっています。デジタルが前提というトップダウン型です。
これに関しては、弱者切り捨てではないのかという声は上がっていません。全体の利益やスピードを優先し、こぼれ落ちるグループはなんとか支援しましょうとう流れだからです。
ワクチン情報もリンクしているので、ワクチン証明書、陰性証明についても、ここから紙での郵送依頼(ただし時間がかかる)、メールによる電子データ(即時)、アプリ上の証明(iPhoneの場合はそのままApple ウォレットに格納可能)で取得できます。サイトやアプリでリクエストすれば、自動で送られてきます。
その他に健康診断、手術、投薬、病院訪問日などのデータもすべて見ることができます。これは全国どの人でも同じです。
政府はこれらデータベースの他に、別途ランダムに行った検査などを使って動向分析を行います。
こういった流れの中には、紙が介在する必要はありません。もちろんFAXも存在しません。またイギリスは、日本の様な保健所がありませんので、この点でも日本よりもステップが少なくなるわけです。
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登録はこちらNTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。