写真:Goskova Tatiana / shutterstock
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料理とデータ活用は不可分な関係
週に数回、自宅の台所に立つ。といっても、大した料理を作るわけではなく、せいぜいあり合わせの食材を煮たり焼いたり、市販の総菜にひと手間加える程度だが、その際に大いに重宝しているのが、「バズレシピ」「まかないチャレンジ」「中華一筋」等々の各種の料理動画である。
これらの動画では、一般的な家庭の台所で、ありふれた食材や調味料を使って作れる料理が紹介されており、そこで示されているレシピに従って調理すれば、私のような素人でもそこそこおいしい料理が作れてしまうのだからありがたい。これらの動画の人気は再生回数を見れば一目瞭然だが、それと同時に、おいしい料理がデータの活用と不可分の関係にあることが分かる。
食に関しては、職場の環境からも刺激を受けることが多い。周囲には、自分は料理が好きなので、卒業研究でも是非取り上げたいという学生が例年一定数いる。とはいえ、私の所属先は料理学校ではなくデザイン学校なので、いくら出来栄えがすばらしくても、料理そのものを卒業研究として認めるわけにはいかない。
ではどうするのかというと、食にちなんだ様々なデザイン(例えば、皿やカトラリー、メニューカード等の制作、レストランの内装、地酒や地ビールのブランディング等々)を提案・制作してもらうことになる。そういえば、数年前にある学生が制作した、バジルの代わりに大葉を使った和風ジェノベーゼの作り方の動画はなかなかの傑作だった。なんにせよ、食の問題は、デザインという観点からも考えてみる必要が感じられる。
食とデザインの関係には、データが密接に関わっている
デザイン史家の高安啓介によると、食とデザインの関係は、以下の7つに分けて考えることができるという。
1)仕組みのデザイン
2)食の出来事のデザイン
3)食品のデザイン
4)料理のデザイン
5)食の空間のデザイン
6)食の道具のデザイン
7)食の伝達のデザイン
非常に興味深い仮説だが、ここにデータという視点を加味することによって、食とデザインの関係をさらに突き詰めることができるかもしれない。
※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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