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内容よりも音質? オンライン会議最大の武器は「マイク」かも

2024.06.20

Updated by WirelessWire News編集部 on June 20, 2024, 21:37 pm JST

データを参照することで見えてくる人の心の意外な動き。今回は、音質が内容の評価に大きく影響するという大問題について考察します。

高音質な講演は高く評価される

コロナ禍以降、オンラインで会議をしたり、動画を撮ってウェブ上で情報提供したりすることが増えました。私自身も大学の授業を動画化してYouTubeで公開したり、Zoomで会議に参加したりすることがけっこうあります。仕事のスタイルもずいぶん変わりましたよね。

ところでみなさん、会議や動画では音質にこだわってらっしゃるでしょうか。在宅期間中にすごくいいマイクを買ったよという人もいれば、PC付属のマイクで十分なんとかなっているよ、という人もいるでしょう。たかが音質、されど音質。今回は音質の良さがどんなふうにコンテンツの評価に影響するかについての研究をご紹介します。

南カリフォルニア大学のニューマン氏らは、科学的な内容の動画において、音質の良さがコンテンツへの評価に影響するのかを調べようと考えました。YouTube上にアップロードされていた物理学と工学の学会講演の動画を1本ずつ選び、音声にフィルターをかけます。エコーを取り除き、話を聞き取りやすくした高音質バージョンと、エコーをかけて話を聞き取りにくくした低音質バージョンです。果たして、音質の違いは動画コンテンツへの評価に影響するのでしょうか?

結果ははっきりしていました。高音質な動画を見た参加者の方が、低音質な動画を見た参加者よりも「良い講演だった」と評価していたのです。ちなみに講演者に対する好感度も話されていた研究の重要度も、高音質な場合の方が高く評価されていました。違いは音が聞き取りやすいかどうかだけなのに、研究の重要度評価も異なってしまうとは! なんとも理不尽な話です。

ニューマン氏は続いて、サイエンスフライデーという科学ラジオ番組内で研究者にインタビューをしている音声を使って、同じことを試してみました。この時は、高音質な音声は番組で流れたそのままの音声、低音質な音声には、電話の音が悪い時のようなノイズを乗せました。

結果は同じです。高音質なインタビューを聞いた人の方が、インタビューを受けた研究者の研究は優れていて、研究者は有能であったと回答していました。また、インタビュー自体も良かったと感じられており、SNSでシェアしたいと回答されていました。

別の研究でも、高音質で研究を紹介した動画の方が、低音質の動画よりも実際にSNSやブログなどでシェアされやすいことが報告されています。聞き取りやすい音声だったというだけで、研究内容も研究者自身も、インタビューも良かったと思われ、他人と共有してもらえるわけですから、音声の良さがいかに重要かがわかります。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
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