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PoC案件はなぜ失敗してしまうのか。AIベンダーが陥りがちな悪いパターン

2024.09.10

Updated by WirelessWire News編集部 on September 10, 2024, 14:17 pm JST

PoCが失敗するパターンのなかには、AIベンダー側に問題があるケースもある。よくある悪いパターンを紹介するので、AIベンダーは改善に役立ててほしい。また委託側はこのようなIAベンダーを見抜く、あるいは改善を要請することで、失敗を回避していこう。

悪いパターン1:ドメイン、タスク、リソースの関係性を把握できていない

AIプロジェクトには、コンピューティング・リソースや人的リソースが大量に必要になることがある。そのため、データのドメイン、対応するタスクの種類、そして必要なリソースの関係性を正確に把握しておくことが肝要だ。

データには、エクセルのような構造化データや画像のような非構造データが存在し、これらのデータタイプはプロジェクトによって異なるリソースを要求する。また、AIが解決すべきタスクは多岐にわたり、分類や回帰といった基本的なタスクから、専門的な知識を必要とするより複雑なタスクまで多様である。

構造化データを扱う場合は比較的少ないコンピューティング・リソースで済むが、非構造化データ、特に3次元データなどを扱う場合は、小規模なAIモデルであっても膨大なリソースが必要となることがある。

人的リソースに関しても、基本的なタスクではそれほど多くのリソースが必要ではないが、複雑なタスクになると相応のリソースが必要になる。したがって、プロジェクトを受注する前に、見積もりを慎重に行い、プロジェクトの規模や要求に対して適切なリソースを確保できるかを確認することが重要である。

悪いパターン2: 契約形態を準委任契約ではなく請負契約にしてしまう

これは、特に起業したばかりのAIベンダーや、大手企業とベンチャー企業との間に力の差がある場合に見られる。

PoCは通常の開発と異なり、可能な限り性能を高めようと努力するものの、データ不足や期待値の調整が上手くいかず、性能目標を達成できないことがある。このような状況であっても契約上の性能達成は求められるため、AIベンダーは膨らんでしまった開発工数を削減されるリスクに直面する。

PoCの後の開発フェーズにおいては請負契約が適切な場合もあるが、PoCの段階では要注意である。請負型で契約を結ぶ必要がある場合は、リスクを受け入れる覚悟で案件に臨むべきだ。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
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